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インターネットリサーチ(Web調査)の進め方・方法

マーケティングリサーチにおいて活用されている「インターネットリサーチ(Web調査)」は、アンケート調査の一種です。具体的にはどのような調査手法なのでしょうか?メリットや調査の進め方、注意点とその対策についてわかりやすく解説します。

インターネットリサーチ(Web調査)とは?

インターネットリサーチ(Web調査)は、調査対象者(回答者)にインターネットを通して「アンケートサイト」にアクセスしてもらい、Web上で回答してもらう調査手法です。

インターネットリサーチ(Web調査)は、アンケート調査の一種で、「定量データ」と呼ばれる「量(金額や数量など)」や「割合(パーセンテージ)」のように数字で表現されるデータを収集する「定量調査」においてよく使われます。インターネットリサーチ(Web調査)が一般的になる以前は、紙の調査票を用いて行われる「郵送調査」や「留置き調査」などが主流でしたが、それらと比べるとインターネットリサーチ(Web調査)は、短時間で多くのデータを収集できるという特長があります。

インターネット調査のメリット

インターネットリサーチ(Web調査)は、インターネットを通して回答データを収集するため、紙の調査票を配布・回収する工程や、回収した記入済みの調査票から回答データを入力する工程など、人の稼働が発生する工程を大幅に削減することができます。そのため、紙の調査票を用いた調査手法に比べて、時間を短縮するだけでなく、コストを下げることにもつながります。加えて、「動画を閲覧した上でその評価を聴取すること」や、「回答者によって評価対象とする商品のスペックを出し分けること」など、紙の調査票だけでは難しいことも、インターネットリサーチ(Web調査)では可能です。

また、設問の遷移が容易かつスムーズであることも、インターネットリサーチ(Web調査)ならではのメリットで、回答者にとってもアンケートに答える負荷を軽減することにつながります。例えば、「Q2はQ1で〇〇と答えた人に回答してもらう」といった設問も、回答者の負荷なく行えます。

紙式のアンケートだと「Q1で『はい』と答えた人はQ2-1に進み、『いいえ』と答えた人はQ2-2に進んでください」といった説明文を記載して誘導する形態になり、回答者はわずらわしく感じるでしょう。回答の負荷を低減することは、収集したデータの精度にも影響するため、この点もインターネットリサーチ(Web調査)のメリットと言えます。

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インターネットリサーチ(Web調査)の進め方

インターネットリサーチ(Web調査)の実施に必要な期間は、その内容によっても異なりますが、概ね3週間程度が目安となります。プロセスは大きく「調査企画・設計」「調査票作成・実査」「集計・データチェック」「分析・レポート」の4段階に分かれます。ひとつずつ順を追って解説します。

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1.調査企画・設計

インターネットリサーチ(Web調査)に限らず、どのようなリサーチにおいても言えることですが、企画段階では「仮説」の構築が重要です。例えばある会社に「商品のリニューアルが成功した原因を調べたい」というマーケティング課題があったとします。その場合、「テレビCMが良かったのではないか」「店頭の販促が良かったのではないか」「新たなコンセプトがターゲットにマッチしたのではないか」といった仮説を立てることができ、これらの仮説をもとに調査を設計していきます。何を明らかにしたいのか、誰に対して調査するか、何人に調査するか、どのような質問内容にするか、といったことを検討します。

調査対象者(誰を調査するか)条件の設定は、場合によりますが、基本的には具体的に行ったほうが良いとされています。例えば、「アルコールをよく飲む人」に調査したい場合、どのようなアルコールの種類を飲むのか、飲用頻度はどの程度か、などアルコールの飲用実態によって、「クラフトビールを週3回以上飲む人」のように定義することで、よりビールのマーケティングに役立つ調査結果を得ることができます。一方で、例えば「ノンユーザーのポテンシャルを明らかにしたい」場合など、対象を広く設定するほうが良いケースもあり、テーマによって吟味する必要があります。

標本サイズ(何人に調査するか)は、分析を意識して必要な数を決定します。男女別に比較するのか、性年代別に比較するのか、あるいは特定のブランドユーザー(ブランドAのビールを飲んでいる人)別に分析するのか、など、どこまで詳細に分析するのかを予め決めておき、そこから逆算して標本サイズを決めます。分析可能な最少標本サイズは、一般的には30程度とされており、例えば20~60代の男女を対象にした調査を行い、性年代別に分析を行うことが決まっている場合には、性年代ごとに少なくとも30人を、性年代の数(10セル)ごとに設計する必要があるため、全体の標本サイズは30×10=300は必要になります。また、実際にはその中でも「商品認知者」や「商品購入経験者」などと条件を絞っていくことも多く、それらを加味して標本サイズを多く設定して、標本サイズを決定します。

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2.調査票作成・実査

インターネットリサーチ(Web調査)の設計ができたら、調査票を作成し、実査を行います。ちなみに、「実査」とはマーケティングリサーチにおいてよく使われる言葉で「実際に調査を行い、データを収集する」ということをさします。調査票の質問の文章を作成するときは、回答者によって異なるニュアンスで伝わることがないようにします。回答者が回答しやすいものから尋ねていったり、回答者の思考をさまたげない構成にしたりする必要があります。例えば、過去の実績も将来見通しも調査したいときは、過去→現在→未来の順に質問をすると、回答者は迷いなく答えることができます。

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3.集計・データチェック

実査に続いて、集計とデータのチェックを行います。集計には単純集計とクロス集計があります。

単純集計は、回答結果をそのまま集計するものです。例えば「『Aというサービスを知っているか?』という質問に対して『内容まで知っている』が20%、『名前だけ知っている』が50%、『知らない』が30%だった」といったことがわかります。

クロス集計では、複数の項目を組み合わせることで、例えば「『Aというサービスを知っているか?』という質問に対して『内容まで知っている』の割合が『男性』では25%なのに対し、『女性』では15%と、『男性』に比べて低かった」といったことがわかります。この場合、「サービスAの認知率」と「性別」をクロスして集計していますが、さらに「年代」「居住地」など複数の項目をクロス(多重クロス)して分析することもあります。

4.分析・レポート

分析とレポートの作成は、仮説が正しかったのか、間違っていたのかがわかる内容にします。そもそもインターネットリサーチ(Web調査)を実施するのは、マーケティング課題を解決するための意思決定をサポートするためです。仮説とおりの分析結果となれば、意思決定をしたのち、改善に取り組むことができます。仮説とは異なる分析結果が出たとしても、戦略を見直すことが可能です。インターネットリサーチ(Web調査)に限らず、リサーチの成果品であるレポートは、意思決定や戦略見直しの重要な資料にならなければなりません。

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インターネットリサーチ(Web調査)の注意点と対策

インターネットリサーチ(Web調査)を実施する際には、次の3点に注意する必要があります。

  • 調査対象がインターネット利用者に限られることを考慮する
  • スマートフォンやパソコンなど、回答デバイスに配慮する
  • 調査ボリュームを肥大化させない

それぞれの注意点の内容と対策を紹介します。

インターネット利用者に限られることを考慮する

インターネットリサーチ(Web調査)の調査対象者(回答者)はインターネット利用者に限定されます。したがってこれまでは、ネット利用者比率が低い高齢者への調査は困難とされてきました。ただ最近は、スマートフォンやパソコンを使いこなす高齢者が増えているため、調査対象年齢は年々上がっています。また高齢者への調査を重視したい場合は、インターネットリサーチ(Web調査)と紙方式のアンケートを組み合わせることによって調査精度を高めることができます。

マルチデバイスに配慮する

スマートフォンが普及した昨今では、若年層を中心に、インターネットリサーチ(Web調査)をスマートフォンから回答する人も増えています。そのため、回答デバイスをパソコンに限定してしまうと回答者の偏りが出てしまう危険性があります。また、スマートフォンはパソコンと異なり、画面サイズが小さいため、調査画面の見せ方にも工夫が必要です。それらを考慮し、パソコン、スマートフォンのどちらからでも同様のユーザーインターフェイスで簡単に回答できることは、正しい調査結果を得るためにも重要なポイントとなります。インターネットリサーチ(Web調査)を行う調査会社を選定するときにマルチデバイスに配慮しているかどうか確認したほうが良いでしょう。

調査ボリュームを肥大させない

インターネットリサーチ(Web調査)の場合、質問項目の数を過剰に設定してしまうことがあります。紙方式のアンケートの場合、調査票のボリュームが視覚的にわかりやすく、調査ボリュームを抑制できます。しかし、インターネットリサーチ(Web調査)の調査票を実際につくると、ボリューム感を感じにくいため質問項目が増えてしまうことが一因です。またインターネットリサーチ(Web調査)は実査直前まで調査票を修正できるので、つい「やはり〇〇についても尋ねたい」と質問を追加してしまうことがあります。ボリュームがありすぎる調査票だと回答者が疲労してしまい、回答精度が落ちる危険性があるため注意が必要です。調査ボリュームを肥大させないためには、調査設計の段階で何を明らかにするのか、そのために何を聴取すべきかを整理し、調査票作成の段階でもこれに立ち返ることが必要です。

インターネットリサーチ(Web調査)によって、データ収集は短時間、低コストで行えるようになりました。昨今では、アンケート画面の作成やデータの収集などを調査会社に委託せずユーザー自らが行うセルフ型のリサーチサービスなども普及したことで、さらに実施のハードルは下がっています。一方で、そのプロセスや注意点を理解して行わないと、本来の意義であるマーケティングにおける意思決定を誤ったものにしてしまう危険もはらんでいるのも事実です。今回ご紹介した点もぜひ参考にしていただき、インターネットリサーチ(Web調査)を効果的に活用しましょう。

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