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新しいデータ表現を考える

はじめまして、インテージの経営企画部にて自社クリエイティブのデザインを担当している谷と申します。

突然ですが、皆さんは「データ」と聞いて何を頭に思い浮かべますか?大抵の方は、棒グラフや円グラフなどの「グラフ」として表現された状態をイメージされると思います。それはグラフがデータを視覚化してわかりやすく見せるためのものとして開発されており、私たちが普段データに触れる場面の多くはグラフとセットだからです。

しかし、昨今ではグラフで示しても、「わかりづらい」と社内から言われることがあったり、積極的に資料を見てもらえなかったりなど、データの表現の仕方に悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか。

私は、高校のころからデザインの道を志し、ずっとその道に身を置いてきました。
社会人になってからもデザイナーとして働いていましたが、データマーケティングとは縁遠い業界でした。上記のようないわゆるグラフへの「苦手意識」は私自身も少なからず持っている自覚があります。

こうしたデータに対する苦手意識の一因が、既存のグラフ表現にあるのであれば、新しい表現の仕方を考えることで、見た人がより理解を深められ、かつ興味を持てるものになるのではないか。ひいてはデータを正しく活用したマーケティングを推進できる人を1人でも多く増やすことができるかもしれない。そういった思いを抱き、新しいデータ表現を模索しています。この記事では、実際のデータを用いて行った、新しいデータ表現についての研究開発について紹介します。

新しいデータの表現を模索する

今回、新しいデータ表現の研究開発を進めるにあたり、満たすべき条件として2つの軸を設定しました。

1「データへの理解度を高められる」表現であること
見た人がデータの価値を享受するためには、何のどんな数が表されているのか、直感的に理解できないといけません。その理解の精度を高めるための表現を考えました。

2「データを見る人の興味関心を高められる」表現であること
グラフや数字に対して苦手意識がある方は、そもそもデータに触れることを避けていると考えられます。とすれば、そういった人たちが興味を持つにはどのような表現が求められるのかを考えました。

表現技術の可能性や今後一層のペーパーレス推進、デバイスを通したデータ閲覧の未来を見越し、アウトプットはWebとし、上記で設定した2つの軸を開発の軸として制作を進めました。

アウトプット作成にあたり使用したデータは弊社主催の産学連携ワークショップにて実施された、「現代の生活者のリキッド消費傾向調査」の結果を使用しました。

【調査概要】
目的:
タイパ・コスパ、持たざる消費などの特性を持ち、現代の消費傾向として注目される「リキッド消費」。この「リキッド消費」の実態を明らかにし、世代別や消費・サービスジャンルにおける特徴を把握することで、今後の商品サービス開発やマーケティング施策の立案において、効果的なアプローチやそのヒントを見出す。

分析内容:
商品カテゴリごとのリキッド消費の傾向を聴取して点数化し、リキッド消費のしやすさで生活者を3つのクラスターに分類。それぞれの特徴を明らかにして理解を進めた。

調査期間:2023年2月2日~ 2023年2月7日

調査対象者:10代~60代 男女 5,504人

リキッド消費を読み解く3つのクラスター
コンベンショナル・クラスター:社会全体の変化を感じておらず、これまでと変わらない伝統的な生活を続けている人々

プレカリティ・クラスター:社会全体の変化を感じているが、将来に対する不安も抱いていており、消費活動が流動化していない人々

リキッド・クラスター:社会全体の変化を感じており、また日頃の生活において合理主義的な価値観を抱いていて、消費活動も流動化が顕著な人々

このデータをどのように表現したのか、次章でアウトプットを紹介します。

WebGLの技術を生かしてデータ表現に奥行き感を持たせる

作成したアウトプットはこちらのサイトで公開しています。(PC専用コンテンツです。PCからご覧ください。データの「理解度」を高めるためと「興味関心」を高めるために、それぞれ以下のような工夫をしています。

データへの「理解度」を高めるポイント

イ) アニメーションによる変化
グラフ表示する商品カテゴリや生活者セグメントを切り替える時に、アニメーションを加えることで、旧来のグラフでは表現できなかった「グラフの変化」を表現することができました。こうすることで、結果としての大小などの視覚情報だけでなく、表示されるまでの体感時間が加わり、よりその程度を掴みやすくなると考えました。

ロ) 複数セグメントの同時比較
例えば複数のセグメントを横断して調査結果を比較する場合、紙に印刷された資料やパワーポイント等で作成した報告資料ではページを行ったり来たりする必要があります。しかしWeb上の空間に配置することで、それらの比較を一画面で行うことが可能になり、理解が深まると考えました。

データへの興味関心を高めるポイント

イ) インタラクティブ性:自分で操作して情報を取得できる
今回のアウトプットではデータの閲覧者が操作できるポイントが多く設置されており、それらを操作することで図が有機的に変化していきます。表示年代を切り替えることや、表示カテゴリを絞ることができます。マウスオーバーで情報がポップアップするところもあります。例えば、「一覧図」では、自分でカテゴリのON・OFFを切り替えることで比較したい要素のみを表示することができるなど、自分の手で操作することで、図がシームレスに連動し、欲しい情報を取得することができます。この一連のアクションが面白味になると考えました。まずは操作することが楽しい、そこからデータって楽しい、という感覚に繋がることが期待できます。

食品カテゴリのみON表示

ロ) 奥行のあるグラフィックやサウンド
操作による楽しさをより高めるために、奥行きのあるグラフィックやサウンドの要素を加えています。さながら無限に広がるデータの海を泳ぐような浮遊感を得ながら、自分のアクションをなぞるように画面が動いたりサウンドが鳴ったりする様子は、テレビゲームやメタバースにも通ずるような没入感を演出させています。

万人がデータの価値を享受できる表現へ

今回の取り組みについて、産学連携ワークショップに参加されていたいくつかの企業の方からご意見を伺いました。「どう見せ方を変えれば、データの持つ価値を伝えやすくなるのか、そしてそれをビジネスに生かすことができるのか」など、まさに今回の研究開発の根幹に触れるような悩みを持つ方が多く、そこで得られたのは、データのビジュアライズに対する期待や切望でした。

現時点ではグラフ的なビジュアル要素が色濃く残っており、完全な「新しい表現」とするためには、改良の余地がまだまだあると考えられます。そのため、今回の制作をベースに、アイデアを高次元に上げ、「より新しい・わかりやすさ」の表現を求めていくことが肝要であると感じています。

今後とも「誰もがデータの価値を享受できる世界」を求め、グラフに代わる、わかりやすい、データ視覚表現を継続的な追究していきたいと思います。

著者プロフィール

株式会社インテージ 経営推進本部 経営企画部 販促企画グループ 谷 直輝プロフィール画像
株式会社インテージ 経営推進本部 経営企画部 販促企画グループ 谷 直輝
大学ではアートやデザインの美術分野を専門に学び、海外への留学を経験。
卒業後、日本の伝統工芸のメーカーで、デザイナーとして勤務。
プロダクトからグラフィックまで幅広く担当する。2021年インテージ入社。
様々なクリエイティブを通して、よりわかりやすく、楽しく、新しい気付きを与えられるよう奔走中。

大学ではアートやデザインの美術分野を専門に学び、海外への留学を経験。
卒業後、日本の伝統工芸のメーカーで、デザイナーとして勤務。
プロダクトからグラフィックまで幅広く担当する。2021年インテージ入社。
様々なクリエイティブを通して、よりわかりやすく、楽しく、新しい気付きを与えられるよう奔走中。

VISUALIZINA LIQUID COMSUMPTION DATA

Web制作
Producer:小林 尚規(STUDIO DETAILS Inc.)
Director:湊 さおり(STUDIO DETAILS Inc.)
Art Director:中村 文隆(STUDIO DETAILS Inc.)
webGL Developer:中野 美咲(mofu) 
Sound Design:Detch
Sound Produce:SPLUCK
How To Movie:小倉 裕香(STUDIO DETAILS Inc.)

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