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新しいマーケティングのすすめ(18)

「事業とマーケティング」

「人生100年時代」という言葉が使われ始めて久しいです。この言葉は、多くの日本のビジネス・パーソンの生き方に変化を与えています。私は、「人生100年時代」を実践するためには、大きな課題が2つあると考えています。1つは、自分で「定年」を決めないといけなくなった事。もう1つは、自分のビジネスとの関わり方に合わせて、今まで以上に学び続けないといけない事です。

この課題の「定年」に関しては、それぞれの方の意思や生活環境など、さまざまな条件が影響しており、私が客観的に議論できると思いません。しかし、「学び」に関しては、私の今までの経験も含めて、少し論点を整理できますし、実はそのヒントが、この「知るギャラリー」にもあります。そこで、これから数回、マーケターがマーケティングの世界で、学び続けるということはどういうことかを考えたいと思います。

会社の常識は社会の非常識

この「知るギャラリー」には、実に多くの種類の記事が存在しています。多くの読者の方は、それゆえに、自分の興味のある記事に出会い、それをキッカケに、その記事が更新されたり、関連する記事が公開されたりすれば、この「知るギャラリー」に戻って来て、新しい情報を取得します。結果、多くの人は、自分の興味のあることについての知識が増え、興味のないことは知識があまり増えません。これは、ごく自然なことですが、これが時に、企業の成長とマーケターの成長を阻害しています。

私が花王に在籍時、Webサイトのコンテンツを設計しているときのお話をします。当時、自動車メーカーでWebサイトの担当をされている方に言われた言葉はとても印象的でした。「御社の製品には使われている材料や部材が少ないから、簡単で良いですね。」この言葉を聞いた時に、最初は少し困惑したのですが、自動車の製品とシャンプーなどを比べてば、この言葉は事実なので納得しました。

実際、シャンプーの製品カタログには、ボトルの大きさのサイズの説明もなければ、その製品の設計図面などはありません。自動車の製品カタログでは、車の外側のサイズや内部の空間のサイズもあり、それぞれの細かなパーツの説明もあります。シャンプーには、すすぎ時間の説明も、シャンプーの方法の説明もありませんが、自動車には基本的な走行性能や操作方法の説明があります。

ここで議論したいのは、「シャンプー」の製品カタログと「自動車」の製品カタログを同じ情報量にするという議論ではありません。むしろ、「シャンプー」と「自動車」の製品カタログに、なぜこれだけの違いがあるかを、私たちマーケターはきちんと理解しているか、ということなのです。

なんとなく「シャンプー」の製品カタログはこういうものだよね、ではマーケターである私たちは何も理解していないのです。この「こういうもの」とは、ある意味「会社の常識」や「事業内のコモンセンス」なだけであり、真の理解とは異なるかもしれません。

マーケターは、「会社の常識」を、持続させる仕事を行なっているわけではなく、「お客さま、顧客の理解」を永続的に行う仕事です。

時に、「会社の常識」が、マーケターの学びの意識を低下させているかもしれません。そこで、おすすめは、この「知るギャラリー」の記事で、自分の事業に関係のない記事も、意識的に、月に1本でも良いので、読んで欲しいのです。そのことで、「会社の常識」的な事柄を、真剣に考える機会を得られることになるでしょう。

他社の事例を、自社ならどうするかを考える

この「会社の常識」を崩すという思考トレーニングは、マーケターにとって、とても重要な活動です。その活動のヒントに、私が普段行っていることを少し紹介しましょう。

新聞やWebメディアには、多くのマーケティングの事例が紹介されます。例えば、「外食事業のモバイルオーダー導入」や、「あるメーカーのパッケージの、アニメ・キャラクターのタイアップ」など、数多くのマーケティングの事例が報道されています。私は、このような報道を目にしたら、自分ならどうするか、自社の事業にあてはめたらどのように実践するかを考えるのです。

あるとき、「サブスクリプション」という活動が増えた時に、「シャンプーのサブスクリプション」は、あり得るのかを考えました。そうすると、「サブスクリプション」と「定期購買」の違いは何?という疑問文にぶつかりました。そして、消費者は一つのシャンプーを使い続けるのかという疑問を考えることになるのです。

この時に、自分の事業や、自分の得意なマーケティング領域から離れている事例を参考に考えると、自分のマーケティングの思考の得意な部分、不得意な部分が明確になります。

自社の制約条件を知ることは、自社の可能性を知ること

この得意、不得意は、自分のマーケティングの思考に依存する部分と、自社の事業の制約条件に依存する部分に分解可能です。

この「知るギャラリー」の読者のマーケッターは、次の分類で2つに分けられます。お客様に直接会うマーケティング会社と、間接的に会うマーケティング会社です。

実は、先ほど例で出てきた「サブスクリプション」というマーケティングのプログラムは、お客様に直接会う会社であれば実行が容易です。しかし、間接的にしか会っていない会社では、顧客名簿の取得や管理が大きな課題になり、取り組みがそれほど容易ではありません。

しかし、「課題」は、解決できることも多くなりました。特に、デジタル・トランスフォーメーションと、人材の流動性により、解決しやすくなったことも増えています。つまり、「自社でできないと考えていたこと」は、今では「拡張可能な領域」かもしれないのです。これも、ある意味、「会社の常識」の破壊なのでしょう。

毎日行える学びや経験は重要

マーケティングには、多くの思考のためのフレームワークがあります。3C分析や、セグメーション、ターゲティングなど、さまざまな思考用のフレームワークがあります。この思考のフレームワークを使って、他社のマーケティング事例を自分事化することは、重要なマーケティングの学びなのです。ぜひ、この瞬間から、他の「知るギャラリー」の記事を読んで、そして思考してみましょう。この誰でもできるトレーニングは、マーケターの成長につながると思います。

著者プロフィール

株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充プロフィール画像
株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充
1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

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