新しいマーケティングのすすめ(20)
データマートが必要
マーケティングにデータサイエンスの導入は急務です。多くのマーケティング組織では、データサイエンティストの発掘や育成が急ピッチで進んでいます。私も、多くの企業でデータサイエンスのレクチャーやワークショップを行っていますが、意外と見落としていることは「データ」があるのか?という点です。
データサイエンスの話をしていると、ファースト・パーティー・データが少ないという課題を多くのマーケターの方から打ち明けられます。ファースト・パーティー・データとは自社で保有できるデータで、顧客のデータや取引先様のデータなどが該当します。
ここで質問です。
ファースト・パーティー・データ以外は充分足りていますか?
多くのマーケターの方々は、「ファースト・パーティー・データだけでなく、すべてのデータが不足している」と恐らく答えるでしょう。
例えば、マーケティングを支援している関係者と共同で取得・保有する「セカンド・パーティー・データ」も、第三者が取得・公開している「サード・パーティー・データ」も、実際には不足しているのでしょう。
データサイエンスが話題になったとき、「データマート」という言葉も、一般単語になったはずですが、まだ多くの企業には「データマート」がありません。マーケティングに関するデータ観察や、仮説を検証するために必要なデータが、集中的に保管されている場所であるデータマートは、実はデータサイエンティストの不足と同じ程度の課題なのです。
公開されているデータは、積極的に活用しよう
このデータマートの中で、今回は「サード・パーティー・データ」、つまり公開されているデータについての利用を紹介します。皆さんは下記の「データカタログサイト」をご存知でしょうか。
このサイトは、日本政府が、提供しているサイトです。それまで、日本政府が取得していたデータは、省庁別に管理、公開されていました。この「データカタログサイト」では、それを横断して公開してくれています。
例えば、データ>データセットというメニューをクリックしてみましょう。
左側にデータの取得・管理省庁が出ますが、このように横断されてこのサイトにデータが公開されていることは、とても有益です。
B2Cのマーケティングでは、人口や世帯数などを参照することが多いのですが、これらのデータの取得方法がとてもこの簡単になりました。データセットを検索の場所に、「2020 人口」などと検索すれば、見たいデータ名が出てきます。
そして、多くのデータがcsv形式で保管されており、ダウンロード可能です。
このようにデータが、一括公開されただけでも便利になったのですが、お勧めしたいのは、皆さんの会社のデータマートに、きちんとこれらのデータを保管することです。オリジナルのデータは、「データカタログサイト」にありますが、実は企業ごとにデータの項目名や、必要なデータが異なるのです。また、使用する統計ソフトも異なるので、自社のデータマートに、これらのデータを継続的に、自社で使いやすい形式で保管することは、今からでも行えるデータマートの強化です。
データが増えると、仮説づくりの精度があがる
データサイエンスについては、この連載の3回目でも記載した通り、探索的な仕事であり、最初に仮説を考えることが重要です。その仮説を立てるためには、データを観察(眺める)することが求められ、その時にデータを簡単に眺めることはとても重要です。
多くの会社では、データのリンク集は存在できますが、データを手元の統計ソフトで簡単に眺められるようにはなっていません。仮説づくりの精度を上げるためにも、ぜひ公開されているオープンデータの活用を積極的に取り組んでみてください。
そして、このことをこの連載で紹介する理由がもう一つあります。「データカタログサイト」にも、国家予算が支出されています。そして、その予算の妥当性の一つの根拠データとして、この「データカタログサイト」の利用、つまりアクセス数があります。アクセスが伸びなければ予算が減少するかもしれません。
そもそも、私たちが支払った税金でできているサービスなので、マーケターの皆さんには、特に積極的に利活用するべきだと思います。
転載・引用について
◆本レポートの著作権は、株式会社インテージが保有します。
下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記ください 。
「出典:インテージ 「知るギャラリー」●年●月●日公開記事」
◆禁止事項:
・内容の一部または全部の改変
・内容の一部または全部の販売・出版
・公序良俗に反する利用や違法行為につながる利用
・企業・商品・サービスの宣伝・販促を目的としたパネルデータ(*)の転載・引用
(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)
◆その他注意点:
・本レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません
・この利用ルールは、著作権法上認められている引用などの利用について、制限するものではありません
◆転載・引用についてのお問い合わせはこちら