新しいマーケティングのすすめ(30)
「データ分析にAIを活用すれば、誰でもプログラマー」
プログラマーは、記憶が有用な時代ではなくなった
私がビジネス・パーソンになったばかりのころと、現在のプログラミングは隔世の感があります。私がビジネス・ライフをスタートした1992年には、まだエクセルは登場しておらず、簡単なデータ集計でも、その都度、コンピューターにプログラムを書いて、データ分析を行っていました。
当時のコンピューターのプログラマーは、プログラミングの正確さと速さが重要で、優秀なプログラマーほど、プログラミングの慣用句のような、よく使うプログラムを暗記していました。
そして、私のような凡人プログラマーは、『ニューメリカルレシピ・イン・シー 日本語版―C言語による数値計算のレシピ』という書籍を机の横において、何度もめくったページを開けて、サンプルのプログラム・コードを本から写し、プログラミングを行っていました。
ところが、AIの登場により、この手法が陳腐化したのです。つまり、誰でもプログラマーになれる時代になったのです。そして、このAIの登場は、プログラミングを大きく変化させようとしています。汎用的なコードであれば、AIに問い合わせてコピーしたほうが、ミスなく、生産性も高くなるのです。
ここでのプログラミングとは、エクセルの関数の記述から、Pythonのようなコーディングまで含んでいます。マーケティングでは、さまざまなデータを集計・分析する必要があるでしょう。ぜひ、以下のサンプルを参考に、マーケティングの現場の生産性を高めてください。
Google Bardは、コードの生成が得意
ここで、Google Bard(https://bard.google.com/)という、AIサービスをご紹介します。この生成系AIは、会話型の通常のAIです。従って、一般的な以下のような、料理のレシピも的確に教えてくれます。
図表1
このGoogle Bardの特徴は、プログラムのコードについての回答が優秀な点です。例えば、Google Bardに、「エクセルで、日付を日本語で曜日表示する関数を教えて」と聞いてみましょう。
図表2
上記のように的確に表示してくれます。同じことは、Googleの検索でも行えましたが、Googleの検索の場合は、「検索する」→「検索ページのリストが表示される」→「相応しそうなページを選んで、ページを表示」と、1段階多いうえ、時々間違った情報に出会うことがありました。しかし、AIでは、複数の情報を重ね合わせて、的確な情報を抽出するので、ほぼ間違いのない情報に出会います。
このGoogle Bardは実に優秀で、多くの人が困っている、Power Pointのフォントを一緒にするプログラムも紹介してくれます。Google Bardに、「PowerPointで、フォントを一緒にするVBAを教えて」と聞いてみましょう。
図表3
なお、ここで表示しているGoogle Bardの回答画面は、一部分になっているので、実際に利用する場合には、自分でGoogle Bardに質問を行ってみてください。
AIの利用は、仕事を専門家から奪うのではなく、行いたい人が行えるようにする
さて、今回の事例、エクセルでほとんど関数を使わない人や、その他のプログラミングを行わない人には、無関係に感じるかもしれません。しかし、メリットをよく受ける人は、ノン・プログラマーの方でしょう。プログラム言語を知らなくても、AIを活用することで、簡単にプログラムできるようになるのです。
マーケティングの現場では、複雑なデータ分析を、プログラマーがいないとの理由で、放置していたこともありました。しかし、AIが登場した今、ぜひAIを活用して、トライしてみましょう。
マーケティングのデジタル活用は、このように重要なテーマなのです。
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