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AEOとE-E-A-TでAIの第一想起を勝ち取る方法ー新しいマーケティングのすすめ(56)ー

AIエージェント時代に再評価される「FAQページ」の戦略的価値:AEOとE-E-A-TでAIの第一想起を勝ち取る方法

AIエージェントが消費者の購買行動を根底から変えようとしている今、私たちはマーケティングのあらゆる前提が覆される「地殻変動」の入り口に立っています。かつて消費者は検索エンジンで情報を探し、SNSでの共感を基に購買を決定してきました。しかし、これからの消費者は、自らの代理人として動くAIエージェントに「対話」で相談し、購買までも代行させるようになります。

この新しい時代において、マーケティングの最重要課題は「いかにしてAIに発見され、推奨されるか」という点に集約されます。そのための戦略として、本稿では、多くのウェブサイトに古くから存在する「FAQページ」が、実は極めて強力な武器になるという事実を、3つのポイントに沿って丁寧に解説します。

AI時代に、さらに重要になる「E-E-A-T」

従来のSEOが検索順位の上昇を目的としていたのに対し、これからのAI時代に求められるのは、生成AIの「引用元」として選ばれるための戦略、すなわちGEO(Generative Engine Optimization)です。AIは、ユーザーの複雑な問いに対して、ウェブ上の複数の情報源を統合・要約して一つの回答を生成します。このとき、AIがどの情報を「信頼できる引用元」として選ぶか。その判断基準として極めて重要になるのが、Googleが提唱するE-E-A-T(Experience – 経験、Expertise – 専門性、Authoritativeness – 権威性、Trustworthiness – 信頼性)というコンセプトです。
AIは、その思考プロセスにおいて、以下のような情報を高く評価する傾向があります。

  • 経験(Experience)
      ◦他のサイトの情報をまとめただけの内容ではなく、独自の調査データや一次情報、
       具体的な使用事例や体験談が含まれていること。
  • 専門性(Expertise)
      ◦コンテンツが専門的な知見に基づいており、正確であること。
  • 権威性(Authoritativeness)
      ◦業界団体や公的機関、専門家といった権威ある第三者から言及・引用されていること。
  • 信頼性(Trustworthiness)
      ◦情報が最新かつ正確で、透明性が高いこと。運営者情報が明確であること。

つまり、ブランドがAIに選ばれるためには、自社のコンテンツをAIにとっての「信頼できる教科書」として整備し、ブランドについて正しく、かつ好意的に学習させる「アルゴリズム教育」という視点が不可欠になるのです。

E-E-A-Tの最適な実践の場が「FAQサイト」である理由

では、このE-E-A-Tを具体的にどのようにコンテンツに落とし込めばよいのでしょうか。その答えの一つが、ウェブサイトに古くから存在する「FAQページ」の戦略的活用です。FAQページは、AI時代に重要となるもう一つの概念、AEO(Answer Engine Optimization)を実践する上で、理想的なフォーマットを持っています 。

AEOとは、検索エンジンがユーザーの質問に対し、リンクの一覧ではなく直接的な「答え」を返すことを前提にコンテンツを最適化する手法です 。FAQページは、もともと「一つの質問に、一つの明確な答えを返す」という構造で作られているため、AIがユーザーの問いに対する「答え」として抽出しやすいのです。

そして、このAEOに最適化されたFAQページは、E-E-A-Tを体現するための絶好の器となり得ます。

  • 専門性と信頼性の証明
      ◦ユーザーから頻繁に寄せられる質問に対して、網羅的かつ正確に回答することで、企業が
       その領域の専門家であり、信頼できる情報提供者であることをAIに示すことができます。
  • 経験の提示
      ◦「このような場合、どうすればいいですか?」といった具体的な質問に対し、過去の顧客
       対応で得られた知見や具体的な解決事例を交えて回答することで、机上の空論ではない
       「経験」に基づいた情報であることをアピールできます。
  • 権威性の構築
      ◦自社がその製品やサービスの公式な提供者であるという事実は、それ自体が最も強力な
       「権威性」の証となります。FAQページは、その公式な見解を示す第一の場です。

これまでカスタマーサポートの一部門と見なされがちだったFAQページは、AI時代において、自社の専門性、信頼性、そして経験をAIに直接学習させるための、最も効率的で価値の高い「戦略的コンテンツ資産」へと変貌を遂げるのです。

既存のFAQサイトをAI時代仕様に進化させるための5つのTips

皆様のウェブサイトにある既存のFAQページも、少しの工夫でAIに最適化された強力なマーケティングツールに生まれ変わらせることができます。以下に、今日から着手できる具体的な5つのTipsをご紹介します。

Tip 1:コンテンツを明確な「Q&A形式」で構造化する
ユーザーが実際に検索窓やAIエージェントに投げかけるであろう具体的な質問を予測し、それを見出し(H2, H3タグなど)として設定します。その直下に、質問に対する直接的な回答を記述する構成を徹底してください。

Tip 2:回答の冒頭で簡潔な答えを提示する(フロントローディング)
AIが回答を抽出しやすいよう、各回答の冒頭で、質問に対する結論を40〜60語程度の短い文章で要約して提示することが非常に効果的です。詳細な説明や背景はその後に記述します。

Tip 3:「構造化データ」を実装し、AIに内容を明示的に伝える
 FAQページのどの部分が「質問」で、どの部分が「回答」であるかを、機械が読み取れる形で明示的に伝える「構造化データ(FAQPageスキーマなど)」を実装します。これは、AIの解釈精度を格段に向上させるための重要な技術的施策です。

Tip 4:E-E-A-Tの要素を意図的に盛り込む
各回答に、以下のような要素を加え、情報の質を高めましょう。

  • 独自データや事例を追加する(経験)
      ◦回答を裏付ける社内データや、顧客の成功事例などを具体的に記述します。
  • 専門家による監修を入れる(専門性・権威性)
      ◦社内の専門部署や、外部の専門家による監修者情報を明記します。
  • 信頼できる情報源へリンクする(信頼性)
      ◦公的機関の統計データや、関連する法令のページなど、権威ある外部サイトへ適切に
       リンクを張り、主張の客観的根拠を示します。

Tip 5:情報の一貫性を担保し、「検証」に備える
現状、約9割のユーザーがAIの回答をGoogleなどの既存検索エンジンで再検索し、情報の「裏付け」を行っています。この「信頼の二重構造」を理解することが極めて重要です。FAQページで、AIに提供する情報と、公式サイトや第三者レビューサイトなどユーザーが検証のために訪れるであろう場所で得られる情報に齟齬がないよう、一貫性を保つ必要があります。AIによる「推奨」とユーザーによる「検証」の情報が一致して初めて、購買への確信が生まれるのです。

未来のマーケティングは、AIを「教育」することから始まる

AIエージェントの台頭は、マーケティングの主戦場を、人間の心理を動かすことからAIのアルゴリズムを納得させることへとシフトさせます。その最前線において、FAQページは単なる顧客サポートツールではなく、AIに対して自社ブランドの価値を体系的に教え込むための「評判データベース」そのものとなります。

皆様も、ぜひこの機会に自社のFAQページを見直し、未来の顧客であるAIエージェントとの最初の、そして最も重要な対話の準備を始めてみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充プロフィール画像
株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充
1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。u003cbr /u003e2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。u003cbr /u003e2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

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