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生活者インデックスデータ

新しいマーケティングのすすめ(6)

株式会社マーケティングサイエンスラボの本間がお届けする“「未知」の新しいマーケティングを考える”ためのコラム。本日のテーマは「データのわかりやすい説明」です。

グラフを読むのではなく、現象を説明する

調査会社はデータを基に、マーケターの考えを整理することを手伝ってくれます。そして、私はデータサイエンティストとして数多くの分析結果を説明し、事業やマーケティングの支援を行っています。どちらもデータを基軸に目的に適した何らかを説明することを生業にしているのですが、今回は、データを相手にわかりやすく伝えるポイントについて考えていきたいと思います。

前回の「平易な言葉」「よく使われる単語」を使った説明同様に、現在のビジネスシーンにおいては、データを使ったプレゼンテーションも重要です。相手に伝えたいことが伝わらなければ、データ収集もデータ分析も水疱に帰するのです。

では、それを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。私のポイントはとても単純です。

  • データをグラフや、ビジュアルにする
  • グラフを使って現象を説明する
  • 分析から得られた「主張」を分かり易いストーリーにする

この3つを行うだけで、データを使ったプレゼンテーションは格段に変わります。

データをグラフやビジュアルにする

近年のマーケティングでは、データをよく活用するようになりました。「前年比」「対予算費」のようなお金に関する数値も、「購入回数」「顧客満足度」のような市場やお客様の理解にもデータは使われています。

しかしマーケティングの現場では、これらのデータを「文章」で見ることが多いのではないでしょうか?この文章でデータを見たり、聞いたりした時に、私たちはそのデータを適切に理解して、脳内に適切なイメージを作れているでしょうか?そして、そのイメージはデータを見聞きした人全員が同じイメージでしょうか?この視点を持ってデータをどう伝えるか?を考えることが重要なのです。

データを見聞きすることの困難な例を提示しましょう。「ここから北に100m進んで、最初の角で西に曲がり、その角から4軒目が、お目当てのパン屋です」と言われるよりも、紙に簡易な地図を書いた方が分かり易いですよね。

ビジネスに置き換えてみます。「平均値5」と聞くと、皆さんはどの様な分布を思い描くでしょうか?

このように、実はデータを「グラフ」で見ることと「文章」で見聞きすることには、分かりやすさの点からも、得られる情報量の点からも大きな差があります。振り返ると小学校や中学校で何度も学んだはずなのに、会社や組織に入るとなぜか忘れてしまっているポイントです。「社会」や「理科」の授業で入手したデータや実験で得られたデータは、必ずグラフにしていたはずです。それは「グラフ」がデータを使ったコミュニケーションの基本だからなのです。

調査で得られたデータや、外部から購入したデータをグラフにして観察することは、表で書かれたデータを眺めるよりも、何倍も多くの思考ができるはずです。つまりデータを使って何かをプレゼンテーションを行う時にも、「グラフ」は伝えるために必要で、かつ重要なキーファクターなのです。

また、プレゼンテーションでグラフを使う時にはグラフはシンプルにする必要があります。グラフにフォーカスしてはいませんが、ビジネスプレゼンテーションについてはピーター・テンプル氏のYoutubeが非常にためになります。
興味がある方はぜひ一度ご覧になってみてください。(https://www.youtube.com/watch?v=hXnTFoxfGt8

グラフを使って現象を説明する

Data Story Telling

私の好きなTedTalkのプレゼンテーションに、○○さんのData Story Tellingというものがあります。皆さんは、この3つの英単語が並ぶことに違和感を覚えるかもしれません。特に、Dataという「客観的」な意味の単語と「Story Telling」という「主観的」な意味の単語が併記されている点が大きいのかもしれません。

マーケティングの調査を行い始めた頃は、調査は客観的なもので「事実」を正しく捉えれば良いと考えていた頃もありました。例えば「この商品には、私たちが考えたほど機能的な魅力がないので、多くのお客様が欲しいと思っていない」という事実を伝えれば、この商品の担当マーケターが改善策を考える。私は調査の支援をおこなっているのだから、改善策を考える役割ではない。このように考えていた頃もありました。この様な立場の時には、確かに「Story Telling」は私のプレゼンテーションになく、Data Tellingに止まっていたのでしょう。

しかし実際には、Dataをよく眺める立場の人の方が、さまざまなことに気づくことがあります。その気づきを説明するのは、事実を淡々と語れば良いのではなく、相手が理解し易い表現、表示方法で説明する必要があるのです。それが、Data Story Tellingという考えです。

この記事を読んでいる調査関係者やデータサイエンティストの皆さまは、いわばデータと論理使いのプロです。そして、説明する相手はビジネスのディシジョンメーカーですが、データの取り扱い力は、皆さんの方が優れているかもしれません。私たちの仕事は、データから分かる事実を伝え、データから気づいた主張を述べて、ディシジョンメーカーに質の高い判断を行ってもらうように促すことです。その為には、プレゼンテーションを聞いてもらう相手が、理解し易いストーリーで、相手が理解し易い表現を使うことが重要です。

消費者調査はいつも同じ形式のレポート。Webアクセス分析レポートはアクセス分析ツールが出力した画面コピーのまま。これでは不十分で、相手の理解は得られにくいでしょう。相手が説明する皆さんから何を知りたくて、何を判断したいと思っているのか。そして、相手にふさわしい説明方法は何か?ここまで考えて準備することが重要です。

調査結果の資料もシンプルにしよう

このように考えると、私たちがマーケティングの現場でよく使う消費者理解の調査は、まだまだ改善の余地があります。多くの調査のレポートは、事実伝達のデータ説明の部分が多いと思います。例えばインターネットを使った調査の場合には、当然すべてのアンケートの結果をグラフや表にして報告するでしょう。また、グループインタビューでも、発言の概要をテキストにして報告するでしょう。

立ち止まって考えてみてください。この調査データの報告部分に何か「主張」は存在しているでしょうか?マーケティングの調査では「確認したいこと」「知りたいこと」が明確にあるでしょう。その確認のために、さまざまなアンケートの取得やインタビューを行います。そこから、「確認したいことが確認できたのか」「知りたかったことは何だったのか」を説明する。そして、この「主張」を分かりやすく簡潔に記述する。これが、調査の先のマーケティングアドバイスの段階なのだと思います。

今、マーケティングは大きな成長の前の「踊り場」の段階にいる気がします。このような時期には、実務家マーケターの仕事は膨らみます。試行錯誤が多くなるからです。マーケティングをデータから支援する私たちは、この実務家マーケターの調査の意図を理解して、分かりやすい調査結果報告を行うようにすべきなのでしょう。

著者プロフィール

株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充プロフィール画像
株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充
1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

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