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通信大手キャリアの低価格新プラン開始 契約見直しへの影響は?

2021年春、通信キャリア大手3社から、それぞれオンライン専用格安料金プランのサービスが開始されました。

3月17日にはソフトバンク の“LINEMO”、23日にはKDDIの“povo”、26日にはdocomoから“ahamo” が開始され、いずれもリーズナブルな価格ということで、スマホユーザーの関心を集め、たびたびニュースにもなったことを記憶されている方も多いのではないでしょうか。

第1弾の「通信キャリア“新プラン” を大規模リサーチ! 一歩リードしたプランは?ユーザー層は?」では、新プラン開始直後の加入実態や通信プランの検討状況を取り上げましたが、この第2弾では、新プランの認知が広がったことを受け、通信キャリアや料金プラン選定の意向・意識に起こりつつある変化についてご紹介したいと思います。

2021年4月26日 ~ 5月16日に実施したインテージの自主企画「携帯電話に関する基礎調査」(24万人が回答)を元に分析しました。

1.今後契約したいキャリア・プランは? 新プランが有力候補に!

第1弾では、幅広い年代にわたって40~50%のスマホユーザーが「検討している通信プランがある」という結果を紹介しました。その中で新プランはどの程度検討されているのでしょうか。「検討している通信プラン」について確認してみました(図表1)。

21年3月にサービス開始されたオンライン専用の20GBでリーズナブルな新しいプラン(docomo“ahamo”、au“povo”、SoftBank“LINEMO”)を契約検討している方が、同じキャリア内の他プランと同等以上いることが分かりました。
具体的には、「ahamo」を検討している方は14.1%(docomo内で最も検討率が高い)、「povo」は6.4%(au内で最も検討率が高い)、「LINEMO」3.8%(Softbank内で「メリハリ無制限」に次いで高い検討率)という結果になりました。

新プランは、今後の料金プランの見直し先として有力な候補になった、と言えます。

図表1
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  • 新プラン以外の料金プランで検討率が高かったのは、docomoの「ギガホ・ギガホプレミア・ギガホライト」、「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」でした。

2.いま、料金プランの見直しをする理由は?

次に、プランの見直しを検討している方に、その理由を確認しました。(図表2)

図表2newplan2_03.png

見直しをする理由1位は「支払い料金を安くしたいから」でした。
特に新プランを検討している方の8割が「支払い料金を安くしたいから」を選んでおり、新プランのリーズナブルな価格に魅力を感じているといえそうです。

2位以降の理由としては、「今のプランに不満があるから」「ポイント還元があるから」「2年縛り・割賦払い期間が終わるから」「データ容量が魅力的だから」が僅差で並びました。新プラン検討者は「今の料金プランに不満があるから」「データ容量が魅力的だから」が高い傾向になっており、リーズナブルなのに20GBである点も評価されているといえます。

また、「楽天モバイル」「LINEMO」「povo」「UQmobile」は、「プランなどが分かりやすいから」という理由が比較的高く、わかりやすい料金プランだとの評価を得ているようです。

3.大容量が安く使える新プランの登場で、求めるデータ容量は変わった?

新プランの登場により、次に契約を検討するデータ容量にも影響があったようです。

図表3は、1年以内にプランを見直して変更した人の「見直し前」と「現在」の容量、次のプランを検討している人の「今後検討している容量」です。
1年以内にプランを見直した人は、現在は見直し前よりも容量に増加傾向が見られ、「容量無制限」が2割近くになっています。
次のスイッチ候補がある人は、さらに小容量離れが起きそうです。

図表3
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今後の通信プランのスイッチで特に増加しそうな容量としては「20GB以下」でした。

検討するキャリア・プラン別で、「今後検討している容量」を比較してみた結果もご紹介します。(図表4)

図表4
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「SoftBank(LINEMO以外)」は大容量を候補とする人が多く、3割の方が「無制限」を候補とする、としています。
「楽天モバイル」検討者も「無制限」を候補とする方人は3割、その一方、「3GB以下」の小容量とする人も4割と多く、候補とする容量が両極端であるのが特徴的です 。
新プランの検討者は、キャリアによる多少の違いはあるものの、「20GB以下」を中心に検討しています。
「Y!mobile」「UQmobile」といったサブブランド検討者は、「~3GB以下」と小容量希望者が過半数を占めています。

今後、大容量ユーザーが増えそうなのは「SoftBank(LINEMO以外)」、小容量が増えそうなのはサブブランド、新プランは「20GB」、といったキャリア・プランによる容量すみわけが進むかもしれません。

4.オンライン契約の新プラン 今後、スマホ本体はどこで買う?

ここまで、新プランの検討率や検討理由、検討している通信容量などを見てきましたが、新プランの特徴として「大手で20GBなのにリーズナブル」かつ「すべての手続きがオンラインで完結」ということが挙げられます。

従来型のプランの場合、各キャリアに対応するスマホを購入し、その店舗で機種変更手続きを取ることが一般的でした。
新プランは「すべての手続きをオンラインで」する必要があり、新プランユーザーがスマホの買い替えをする場合は、新プランに対応したSIMフリーのスマホを用意し、自分で機種変更の設定をすることになります。(※新プランで機種変更ができないわけではありません)

今後、新プランユーザーが機種変更をするとき、どこでスマホを購入しようと考えているのでしょうか。スマホ本体の購入場所」について注目してみました。

図表5
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スマホユーザーTOTALでもっとも多くの人が購入予定として挙げているのが「通信キャリア実店舗」で、約半数の人が選んでいます。次いで多かったのは「通信キャリアオンラインショップ」の2割で、現在通信キャリアからスマホ本体を購入する予定の人がかなり多いことが確認できます。

そして現在「ahamo」「povo」のユーザーであっても、4割が「通信キャリア実店舗」で購入予定と回答しており、新プランユーザーでも「通信キャリア実店舗」でスマホ本体を購入したいと考えている方は一定いるようです。
通信キャリア実店舗での買い換えの際に、スマホの実物を確認したり、比較検討しながら店員にアドバイスをもらう人は多いと思いますが、新プラン対応の機種のすべてが通信キャリア店舗にあるとは限らず、逆に、通信キャリア実店舗にあるスマホすべてが新プラン対応でもないため、通信キャリア実店舗でのそのようなサービスを受けにくくなってしまいます。

今後新プランがシェアを拡大するにつれ、ショップのサービスやサポートが受けられない事への不満を感じる方が増えたとしたら、それが新プランのシェア拡大の支障となるかもしれません。

すでに通信キャリアでは、店頭でのサポートを受けられる有料サービスも開始するなど、新プランへのユーザー要望を受けて動き始めています。この動きを受け、プランを検討中のスマホユーザーがどれだけ新プランに移行するのか、今後も通信キャリアの動向、ユーザーの意識の変化に注目していきます。


今回の分析は、2021年4月26日 ~ 5月16日に実施した、インテージ自主企画「携帯電話に関する基礎調査」をもとに、インテージの通信業界チームのメンバーが行いました。

【インテージの「携帯電話に関する基礎調査」】
携帯電話に関する基礎調査は、自社モニターに対して年3回、毎回20万サンプル超の大規模アンケートを実施し、利用通信キャリアや保有スマホ端末情報など通信領域の細やかな属性情報を取得しています。
保有機種情報数:1,600機種以上 ※携帯電話端末・タブレット含む
対応実績:1,900件以上

【インテージの通信業界チーム】
インテージでは、通信業界を専門とするリサーチャーが製品開発やリニューアル、ユーザーの利用実態とその変化など、開発から上市、浸透の各プロセスで多数の調査を実施し、業界の皆様のマーケティング活動をご支援しております。数多くのマーケティング支援で培ったノウハウとインテージの保有する多様なソリューションを結集することで、高品質でスピーディーなアウトプット提供を実現し、お客様のビジネス変化に柔軟に対応しています。

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