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年末年始の食卓トレンド、いまどきのおせち事情とは?

今回は年末年始の食卓に関する最新データからトレンドを解説します。食マーケットに関わる皆様や一般のご家庭にも役立つ情報をお届けします。

すでに「10年ひと昔」を何回か重ねた古い記憶になりますが、今回のコラムを書きながら、大学の民俗学の講義で年末年始の行事や食の由来を学んだことを思い出しました。
すす払い、門松、お年玉、そしておせち料理の一つ一つ…。年越しや正月の生活習慣は、日本古来の風習や文化的背景を映し出す手がかりともいえます。今も昔も、新年を迎えることが特別なイベントであるのは変わらないはずで、年末年始の食卓データからもそうした様子を垣間見ることができます。

知るギャラリーで年末年始の食卓事情を発信するのは二度目になります。
前回2018年は、キッチンダイアリー®のデータから京浜、京阪神、東海の3エリアのお正月の食卓事情を比較してご紹介しました。実はこの記事、今も年末年始が近づくとアクセスランキングが上昇するのです。 年末年始に何を食べるのか多くの人の関心事の様です。
それから7年、 この間に年末年始の食卓事情にどのような変化が起きているのでしょうか。今回は2024年~2025年にかけての年末年始の食卓データを2019年~2020年のデータと比較しながら読み込んでいきたいと思います。
この2つの期間は「年末年始の曜日の並びが同じ」という観点も含めて選んでいます。

1. 大晦日の夜の食卓:2019年 vs 2024年ランキング比較

まずは大晦日の夕食について、インテージキッチンダイアリーでデイリーランキング の上位を比較してみます。

図表1

大晦日 夕食ランキング(2019 vs 2024)

第1位は「天ぷらそば(温)」で手堅い人気を維持しています。2019年比でも食卓出現率を表すTI値 がアップ、2位の白飯に大きく差をつけています。ランキング内にあるそばメニュー4種(天ぷらそば(温)、天ぷらそば(冷)、そば(冷)、そば(温))のTI値を合算すると、2019年:551回 → 2024年:557回 とほぼ横ばいなので、年越しそばとして用意するメニューが「そば」類の中で少し変化し「天ぷらそば(温)」のTI値が上昇した 、ということかと思われます。大晦日の夕食に限っては、半分以上の家庭でそばを食べていることになります。年越しの夜 にはおそばが欠かせないということでしょう。
そのほか上位陣の顔ぶれは大きく変わりませんが、2019年よりもTI値が上がったメニューとして、「にぎり寿司(119%)」「ローストビーフ(116%)」「オードブル(前菜盛り合わせ)(151%)」があります。(括弧内は2019年比)
いずれもパーティメニューで、かつ冷めることを気にせずゆっくり、少しずつ食べられる「冷菜メニュー」です。また、いわゆる「フライングおせち」も153%と大幅にのびています。
大晦日に「カウントダウンを祝い、家族で盛り上がる」「パーティー気分で年越し」という楽しみ方をする家庭が、緩やかに増えてきていることの表れかと分析しています。
ゆく年くる年を家族で楽しみつつ夜更かし。そして元日の朝はゆっくり起きて午後から動く、そんな過ごし方が想像されます。
年賀はがきの発行枚数の急激な減少から見ても、「元日の朝に届く年賀状をみんなで待って、その日のうちに返礼をだし…」という元日の過ごし方は、今やオールドスタイルなのかもしれません。

2. 三が日の食卓:おせち料理に起きた静かな変化

次に、年が明けたあと、3が日の食卓データを見ていきましょう。

そもそも、おせち料理を食べる家庭の数はどのくらいあるのでしょうか?

図表2

おせち料理経験率(12/30週)

年末年始が含まれる12/30週*の「おせち料理」の経験率(期間内に1回でも「おせち料理」が食卓に出た世帯の比率)を5年前と比較すると 2019/12/30週 54.6%→ 2024/12/30週 53.6% とほぼ変わっていないことがわかります。5年前と変わらず、半分以上の世帯で「おせち料理」が食べられていることになります。
*12/30週;12/30(月)を週の始まりとし、そこから1/5(日)までの7日間をさす

この経験率(世帯の数)との対比として、おせち料理が食卓に出た回数を示すTI値の変化を見てみます。(実際には年が明けた2020年と2025年の三が日のデータです)

図表3

三が日 日別おせち料理出現回数(2019 vs 2024)

おせち料理ですので、三が日の中でも元日の出現回数が最も高いのは変わりませんが、どの日をとっても減少傾向がはっきりと出ています。前章でふれた「フライングおせち(12/31分)」の出現回数を足しても、経年による減少傾向はあきらかです。
食べる世帯の数は変わらないのに、回数が減少している。すなわち、おせち料理は3が日に「繰り返し食べるもの」ではなくなってきているとも読み取れます。

お正月を代表する料理として、もう一つ「お雑煮」があります。お雑煮は経験率、TI値とも5年前とほぼ変わらずです。

◆経験率(世帯の数)
2019/12/30週 63.6%→ 2024/12/30週 64.3%
◆TI値(出現回数)
2019/12/30週 104.3回→ 2024/12/30週 103.6回

お雑煮はおせち料理よりも敷居が低い、年末年始の食生活に取り入れやすいメニューのようです。

3. 今どきのおせち料理:宅配おせちは新風か?

さて、食べる世帯数は変わらないのに回数が減っているという「おせち料理」ですが、年代別に見るとちょっとおもしろい動きがあります。
先ほどご紹介した「経験率」を年代別にみてみます。

図表4

おせち料理 年代別経験率(12/30週)

かなり絞り込んだデータのため傾向値になりますが、20代での経験率上昇と50代での減少が見られます。この背景には何があるのでしょうか。ヒントはおせち料理の“調達スタイル”にありそうです。見ていきましょう。

キッチンダイアリーでは食卓に上がったメニューを「どのように用意したか?」という点にも踏み込んでデータを集めています。「おせち料理」についてもどのように用意したのか、食卓に出るごとに情報を聴取しています。

図表5

おせち料理の用意の仕方 回数構成比

2019年と2024年の比較から、「おせち料理」を「宅配」で調達したと回答した比率(回数構成比%)が、特に20代30代で伸びていることがわかります。一方で40代以上ではあまり変化が見られません。もちろん、おせち料理自体が年代の高い層を中心としたメニューであり、全体としてはわずかな変化ですが、各年代別の経験率の変化と関連性がありそうです。

さまざまな料理がつめられた「おせち料理」の販売 ですが、少し前までは百貨店、高級料亭などが限られたお客様に提供するサービスだったともいえます。現在ではインターネット販売のおかげで、注文しやすく各段に手に入れやすくなりました。 そしてそれにともない「少人数用おせち」「一人用おせち」「中華おせち」「スイーツおせち」などバリエーションが豊富になっていることが、ネット情報からも感じられます。おそらくですが、各地方の特色をとりいれたものも増えていると想像します。また、使う側からすると受け取りに行く手間が省けることも大きな魅力です。

ネットで注文できる「宅配おせち」が時代とともに、生活者の多様な気持ちに応えられる市場になってきている。そして、ただでさえやることの多い年末年始です。「宅配おせち」で省力化し、楽しくイベントを過ごしたい、そんな気持ちをかなえてくれるところに魅力を感じている方も多いのではないでしょうか。
そして、その気持ちはどの年代にもある要素だと考えます。市場開拓の機会としてベテラン主婦も重要なターゲットとなりうるはずです。

4. おわりに

今回、曜日の並び が同じということで、2019年~2020年にかけてと2024年~2025年にかけての年末年始の食卓データを比較してきました。
大晦日のメニューランキングやおせち料理の今どき事情から、生活者の年末年始の過ごし方は少しずつ変化をつづけていることがわかりました。
お正月を祝わなくなったわけではなく、自分たちの生活スタイルに合った形にアレンジして年末年始を寿いている。食卓データからもそんな気持ちがうかがえました。皆様それぞれの年末年始の過ごし方に置き換えても、きっと共感いただけるところがあったのではないでしょうか。

一般に、食卓データは「52週」という早いサイクルでの季節変化と、そのタイミングをつかむために使われることが多いのですが、今回のような少し長めの時系列データを追うことで、「生活習慣の変化のきざし」を事実ベースでとらえることもできます。
これは弊社のモニターの皆様がこうした日々の調査に、長きにわたり継続的にご協力いただいているからこそであり、そしてそのために私たちも努力を続けていることの証でもあります。
ご協力いただいているモニターの皆様への深い感謝、そして弊社サービスをご愛顧いただいているお客様への感謝をこめて1年の締めくくりを迎えたいと思います。

関連サービス

【キッチンダイアリー®】
1,260世帯の食卓・調理の状況を食場面(朝食・昼食・夕食)ごとに継続的に捉えたデータです。商品開発のヒントとして、また、流通向けの販促提案情報としてご活用いただけます。

著者プロフィール

栗原千明(くりはらちあき)
株式会社インテージデータマネジメント事業本部コンシューマーデータマネジメント部

1990年 インテージ(旧社会調査研究所)入社。カスタマイズ調査のフィールドおよび企画分析担当をへて、「キッチンダイアリー」を2003年の開発時より担当。以降、消費者パネル調査の部署で各サービスの主幹として執務。現在は主に食品領域のデータ分析を担当

株式会社インテージデータマネジメント事業本部コンシューマーデータマネジメント部

1990年 インテージ(旧社会調査研究所)入社。カスタマイズ調査のフィールドおよび企画分析担当をへて、「キッチンダイアリー」を2003年の開発時より担当。以降、消費者パネル調査の部署で各サービスの主幹として執務。現在は主に食品領域のデータ分析を担当

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