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職場の冷房温度実態 ~“がまん”の男性、“快適追求”の女性?!快適に過ごすためのみんなの対策とは?

環境に配慮した冷房の設定温度として2005年から政府が提唱している「室温28℃」。環境省が推進する「クールビズ」とともに、世間一般に広く認知されていますが、実際、職場で働く方たちは、どのような室温管理で、どういった工夫をして夏場を過ごしているのでしょうか。

今回の調査は、首都圏で仕事をもつ20~59歳の男女1,490人を対象に、夏の職場の設定温度に関する意識や実態を聴取しました。

夏の職場、暑い?寒い?-快適度の実態は?

室温は、仕事への集中力に影響する環境要素のひとつ。はたして、職場では何度くらいに設定され、どの程度「快適」と感じられているのでしょうか。実態を探るべく、首都圏で仕事をもつ方々に聞いてみました。

まず、夏の職場の室温の感じ方を見てみましょう(図表1)。

「『ちょうどいい』と感じることが多い」回答者は、全体で36.3%。『暑い』、『寒い』回答者はそれぞれ約4割、約2割と、6割超の人が「適温ではないことが多い」と感じていることがわかりました。また、感じ方には男女差が見られ、男性では半数近くの人が「『暑い』と感じることが多い」と回答、次いで『ちょうどよい』が 約4 割、『寒い』は1割強にとどまる一方、女性は『暑い』、『ちょうどいい』、『寒い』が、それぞれ30%台と分散。女性は男性以上に、室温の感じ方にはばらつきがあり、適温と感じている人の割合が低いことが明らかになりました。

図表1

Key Point1

夏の職場の室温、「ちょうどいい」はわずか36.3%!男性より「ちょうどいい」率低い女性

「快適」と感じる温度設定と実際の職場の温度設定、ギャップはどれくらい?

では実際、職場で設定されている冷房温度と、働く方たちが「快適」と感じる設定温度は一体どれくらいなのでしょうか(図表2)。

職場の冷房設定温度は、全体平均では「25.7℃」。一方、自分が快適と感じる職場の冷房設定温度は全体で「25.2℃」。その差0.5℃と、首都圏で働く方たちの職場では、おおむね快適な環境に近い状況であることがうかがえますが、先に見た図表1(適温と感じないことが多い人が、全体で6割超)とは矛盾するように思える結果となりました。これは、同じ設定温度であっても、人やパソコンの密集度、送風口の位置などの環境要素や、暑い外からオフィスへ入った時、終日デスクワークをしている時といった条件によっても室温の感じ方は異なるためかもしれません。

男女別では、男性が快適と感じる設定温度は平均「25.0℃」であるのに対し、女性は「25.7℃」と、男性に比べやや高めです。筋肉量が女性より多い男性は発熱量が多く、女性より暑がりといわれますが、その差が、この調査結果に表れているといえそうです。

また、職場の冷房設定温度と、女性が「快適」と感じる設定温度が同じ(平均「25.7℃」)という結果となりましたが、前項の図表1では、職場の冷房設定温度に対して「『ちょうどいい』と感じることが多い」女性の割合は3割止まりでした。設定温度が一定でも、その時々の人の密集具合などの条件による体感温度に対して、女性は男性よりセンシティブなのかもしれません。

図表2

次に、勤務形態別にも「快適」と感じる冷房設定温度を見てみました(図表3)。

内勤者が「快適」と感じる設定温度の平均は「25.3℃」。一方、外出が多い外勤者と屋外で作業する人では24℃台と、やはり低めの結果となりました。

図表3

Key Point2

職場の平均冷房設定温度「25.7℃」 は、女性の快適温度

我慢派?温度変更派?-職場が暑い/寒い時、どう対処?

寝苦しい夏の夜。暑さで目が覚めた夫がエアコンのスイッチをオンに。寒さを感じた妻がスイッチをオフに…。体感温度の違う男女がそんな攻防を繰り広げるエアコンのテレビCMがありますが、職場でもこうしたバトルは繰り広げられているのでしょうか。職場で暑さ、寒さを感じた時の行動について探ってみました(図表4)。

全体では、暑い時、寒い時とも「他の人に配慮して我慢」、「周囲に確認し設定温度を変える」がそれぞれ2割強に対して、「自分の判断で温度を変える」の選択率は約1割という結果でした。職場では、自分の感覚だけで設定を変える人は少なく、周囲に配慮した行動がとられている様子がうかがえます。

ここで興味深いのが、男女の行動の違い。暑い時、寒い時ともに女性は、「周囲に確認し設定温度を変える」という人の割合が男性よりも高い一方、男性は「面倒なので我慢」の割合が女性より高い結果に。特に暑い時、「寒がる人がいるので」という周囲への配慮からの我慢も含めた「我慢派」は男性では約半数にのぼる一方、女性では36.5%にとどまっています。女性は男性以上に、快適な環境を整えるために積極的に、かつ、周りの人たちにも配慮しつつ行動している姿が想像できます。 図表2で見た、「職場の冷房設定温度=女性の快適設定温度」という結果も、温度設定は女性主導なことが多いから、といえそうです。

図表4

Key Point3

男性は「我慢」、女性は「周囲に確認し温度変更」 -暑い/寒いと感じた時の行動にも男女差

職場が暑い時、冷房で寒い時のお助けアイテムは?

平均25.7℃に設定されている首都圏の職場の冷房温度。5割弱の男性が「暑いと感じることが多い」と思いながらも、温度を下げずに我慢している結果を見てきましたが、我慢ばかりでは仕事のパフォーマンスにも影響が。何か対策や工夫をしているのでしょうか。職場の暑さ対策として利用しているグッズについて聞いてみた結果が図表5です。

全体で、暑さ対策グッズの利用率トップは、「うちわ/扇子」(38.7%)、次いで「汗拭きシート」(26.3%)、「卓上扇風機」(14.3 %)、「クール素材の衣類」(12.0%)、「衣類用の冷感スプレー」(9.5%)と続き、みなさん様々な方法で対策していることがわかります。

男女別では、暑さを我慢しがちな男性では「うちわ/扇子」の利用率が約4割と、女性より約10ポイントも高い割合。「卓上扇風機」も女性では8.4%ですが、男性では18.3%と2割近い利用率でした。一方、全体利用率2位の「汗拭きシート」は、女性だけでなく男性も活用していることが判明。さっぱり感や清涼感が得られ、体臭対策というエチケット効果もある汗拭きシートは夏場をより快適に過ごすグッズとして浸透してきている様子。

図表5

この、汗拭きシートの直近5年の浸透状況をインテージ全国小売店パネル調査〈SRI〉で見てみましょう(図表6)。売れ行きを左右すると考えられる暑さについても、東京での30℃以上の真夏日の日数で確認してみました。猛暑で真夏日が58日もあった2013年に88億円だった市場規模は翌年、翌々年の比較的涼しい2年間は縮小。2016年は、2013年と同じくらいの真夏日日数となりましたが、市場規模は2013年より拡大。昨年の夏は2016年より真夏日は少なかったものの市場規模100億円台をキープしています。

図表6図6.png

続いて、冷房使用時の寒さ対策グッズの利用状況も見てみましょう(図表7)。

8割の男性が職場で冷房対策は「特にない」と回答。一方で、女性では7割以上が何らかの対策をしており、最も選択率が高かったのは「カーディガンなどの羽織もの」で、半数以上の人が利用していることがわかりました。体感温度の違いが顕著に出た、男女差の際立つ結果となりました。

図表7

Key Point4

男性で高利用率の「うちわ/扇子」「卓上扇風機」。「汗拭きシート」は男女とも活用

電車・バス、店舗内の室温快適度は?

最後に、電車・バスの車内温度の感じ方と、スーパー、デパートの店舗内温度の感じ方についても聞いてみました(図表8・9)。

バス・電車の車内温度の感じ方については、全体では「『暑い』と感じることが多い」、「『ちょうどいい』と感じることが多い」、「『寒い』と感じることが多い」がそれぞれ30%台と分散。一方で、男女別では、男性は4割が『暑い』、2割が「『寒い』という結果に対し、女性は約5割が『寒い』、2割が『暑い』という逆の結果に。前項と同様に、男女の体感温度の違いが表れる結果となりました。

スーパー、デパートの店舗内温度の感じ方については、全体で6割近くが、「『寒い』と感じることが多い」と回答。男性においても、回答率がもっとも高かったのは『寒い』(45.2%)で、女性においては実に7割超。職場や交通機関に比べ、商業施設では冷房が効き過ぎ、と感じている人が多いことが明らかになりました。

図表8

図表9図9.png

もうすぐ8月。すでに猛暑日が続き、夏の暑さはピークを迎えているかのようです。性別や年齢、体質、そして職種の違う人たちが集う職場。暑さ対策・冷房対策グッズを上手に取り入れながら、周囲に配慮した設定温度で、この酷暑を快適に乗り切りたいものですね。

Key Point5

バス・電車、商業施設の体感温度にも男女差。男性も「寒い」スーパー、デパート


※本レポートに使用した当社調査データ
【インテージのネットリサーチによる自主企画調査データ】
調査地域:首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)
対象者条件:20~59 歳の有職(パートタイム/アルバイト含む)男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=1,490
調査実施時期: 2018年6月18日(月)~2018年6月21日(木)

【SRI(全国小売店パネル調査)】
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4,000店舗より収集している小売店販売データです。このデータからは、「いつ」「どこで」「何が」「いくらで販売された」のかが分かります。店頭での販売実態を捉え、ブランドマーケティングや店頭マーケティングにご活用いただけます。

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