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話題の【推しの子】 アニメ化の効果は?

2023年4月からテレビ放映されたアニメ【推しの子】。第1期は6月28日に最終回を迎えましたが、すでに第2期の制作が発表され、ますます盛り上がりを見せています。 原作は2020年から週刊ヤングジャンプで連載されているマンガですが、アニメ化によってどのような効果がみられたのでしょうか。

インテージが所有するIP(知的財産)に関する調査データベース IPファン-kitのデータから、生活者にどのように浸透したのか、どの世代に支持され、何が魅力だったのか、を読み解きました。

マンガ・アニメは生活者の日常生活にどの程度浸透している?

はじめに、いまの生活者がどの程度マンガやアニメに触れているのかを見てみましょう。
図表1は、5月の調査データから推計した、1年間でマンガ、アニメ、TVドラマ、映画の各コンテンツを視聴・閲読した人口です。
※WEB、アプリ等での視聴・閲読も含む

図表1

コンテンツ種類別の接触人口

アニメを見る人は15-59歳の男女の65.0%で、年間約4,299万人。マンガが3,703万人なので、マンガよりも多くの人がアニメのコンテンツに触れていることがわかります。

また、視聴頻度を見ても、43.5%の人が1週間に1日以上アニメを見ていました(毎日7.6%+1週間に1日以上35.9%)。多くの人がアニメ視聴を習慣化していることがわかります(図表2)。

図表2

コンテンツ種類別の接触頻度

この傾向が性別や年代によってどのように異なるのか、各コンテンツの視聴頻度が週1回以上の人の割合を年齢別に出したのが図表3です。

図表3

コンテンツ種類別アクティブ接触層の割合 年齢推移

マンガやアニメを習慣的に視聴する人は、男女ともに若年が多くなっています。
具体的な割合に着目すると、男性は40代前半くらいまでが5~6割、女性は30代後半くらいまでが4~5割で、以降は年齢が上がるほど減っていく傾向が見られます。
この年代の節目は、子育て世代が子供と共に視聴しているといった状況も考えられますが、これらの世代が一部のコア層だけでなくアニメを当たり前に視聴するようになってきた世代であることや、機動戦士ガンダムやドラゴンボールに代表されるように、IPのコンテンツ提供が世代を超えてシリーズ化・リバイバル・メディアミックスなどで長期化しており、若い頃に好きだった作品を見続けられる環境になっているといったことも背景にありそうです。

アニメ化効果 【推しの子】の躍進はどれだけ?

ここからは、【推しの子】についてデータを見ていきましょう。
【推しの子】は週刊ヤングジャンプで連載中の、赤坂アカ氏と横槍メンゴ氏が描く、芸能界を舞台にしたマンガです。マンガの連載開始は2020年で、コミックスは12巻まで出ています(2023年7月現在)。2023年4月から6月にかけてはテレビアニメのシーズン1が放映され、毎回テレビアニメ放映直後にはTwitterのトレンドに関連ワードが多数見られるなど、SNSでも盛り上がりをみせました。アニメの主題歌であるYOASOBIの「アイドル」がBillboardの世界チャート(米除く)で1位を獲得するなど、関連コンテンツの話題性も高く、主題歌から【推しの子】を知った、といった人もいるのではないでしょうか。

このアニメ化によって、【推しの子】人気はどのように推移したのか、「認知度」と「好意度」で測ってみました。図表4はマンガもアニメも展開している人気IPの認知度と好意度をプロットした結果です。ここに、アニメ化前の22年11月時点の調査結果とアニメ放映中の23年5月の調査結果をプロットしてみると、認知度が10.1%から26.4%に、好意度が25.6%から34.3% に大幅に拡大していました。

図表4

推しの子のポジション変化

元々、認知度は低めでも好意度が高い「奥行型ヒットIP」の位置づけにあった【推しの子】が、アニメ化によって認知度・好意度共に高い「ヒットIP」に大きく近づいた、という評価ができそうです。

これらの数値の半年ごとの推移を、マンガ連載開始後から並べたものが図表5です。

図表5

推しの子の認知度・好感度の時系列変化

じわじわと認知、接触、好意を上げて来たあと、アニメ化で一気に各指標を上げて様子がわかります。【推しの子】のアニメは、AmazonプライムビデオやNetflixといった大手の動画配信サービスでもオンデマンドで見ることができます。認知の伸びよりも接触の伸びが大きいことからは、話題性の高まりによって認知した人に「見たい」と思わせる力が強まったということだけでなく、認知してコンテンツに触れたいと思ったときに、テレビや動画配信サービスで手軽にアクセスできるようになっているという状況が反映されているとも考えられます。
また、認知者の好意度がアニメ放映開始前の1.3倍に伸びたという結果からは、アニメ化によって新規に取り込んだファンの熱量の高さが読み取れます。

ファンが感じている【推しの子】の魅力とは?

最後に、【推しの子】の魅力を調査結果から探ってみましょう。
図表6は【推しの子】を好きな人に聞いた魅力をアニメ化前の11月とアニメ化後の5月とで比較した結果です。

図表6

ファンが感じている作品の魅力は?

もともとのコンテンツの魅力として、「ストーリー・シナリオが良い」「謎がある」「シリアス」「ダーク」といった点がみられます。
さらに、アニメ化によって「演出が良い」「メッセージ性がある」「リアリティがある」「切なくなる」「泣ける」「感動する」といった魅力が加わった様子がみられます。動き・演出・セリフ・音楽などが加わって、生活者にとって作品の世界がより身近でリアルに感じられるものになり、より感情移入しやすく、心に刺さった、といったことが考えられそうです。

もう少し詳しく見てみます。【推しの子】がどのような層に特に刺さっているのか、性別・年齢別に【推しの子】を好きな人の割合を見てみると、男女とも10代で特に人気が高いことがわかります(図表7)。また、女性においては10代・20代を通してSPY×FAMILYに次ぐ2番人気となっており、他のコンテンツと比べて若年女性を多く取り込んでいるという評価ができそうです。

図表7

年齢別の推しの子ファン率

若年女性を多く取り込めたポイントはどこにあるのでしょうか?図表9は【推しの子】を「好き」と答えた人に魅力を聞き、それぞれの性年代で特徴的だったもののTOP5です。

図表8

推しの子に感じる魅力 性年代別特徴

性別や年代によって魅力を感じるポイントが全く異なり、若年女性は「かわいい」や「感動する・泣ける」というポイントに魅力を感じていることがわかります。一方で、30代以降になると「謎がある」「意外性のある」などが魅力として挙がっており、若年女性と比較すると作品との距離感がやや遠くなっているように感じられます。同年代の個性豊かなキャラクター達が、困難にぶつかりながらも壁を乗り越えて成長していくストーリーが、感動や泣ける感情を搔き立て、加えて「かわいい」という要素が若年女性からの好感を得る大きな要因だったのではないでしょうか。「かわいい」と「感動・泣ける」といったエモーショナルさは、若年女性に刺さる重要なキーワードなのかもしれません。

第2期の制作発表でまだまだ続きそうな【推しの子】人気。どのように変化していくのか、引き続き調査を続けます。

IPに関する調査レポートを、以下より無料でダウンロードいただけます。「今後ヒットしそうなIP」など、この記事でご紹介できなかった調査結果も載っています。是非ご覧ください。

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