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パッケージデザイン評価調査の質問例・調査フロー~アンケート調査の質問例と活用例①-2

商品パッケージは、企業と生活者を繋ぐ大切なコミュニケーションツールです。広告を見ないで商品を購入することは出来ますが、商品パッケージを見ないで商品を購入することはありません。また、購入後も使うたびに目に触れる最も身近な存在です。そのため、他のメディアのように一過性ではなく長期にわたりブランド資産を形成する重要な存在であり、マーケティング戦略の成功に大きな関わりを持ちます。
前編では、マーケティング戦略における「パッケージデザイン」の役割と良いデザインをつくるために押さえておくべきポイントを紹介しました。後編では、「売れるパッケージデザイン」を作るためのアンケート調査の活用について、具体的な質問例や調査フローをご紹介します。

パッケージデザインの評価 -アンケート調査の活用

前編ではパッケージデザインの5つの評価ポイントをご紹介しました。そのほかにも、パッケージデザイン制作のプロセスでは様々な課題が出てきます。
ブランドマネージャー、クリエイティブディレクター、デザイナーなどの関係者それぞれがこれまで培った経験から判断することはある程度は可能かもしれません。しかし、市場に出たときにこの商品を使う消費者を置き去りにしては、「売れるパッケージデザイン」を作ることは難しいでしょう。パッケージデザインのプロセスで消費者調査をうまく活用することで、適切なデザインへの絞り込みやブラッシュアップすべき点を明確にすることができます。

課題に対する調査手法は「定性調査」と「定量調査」の2つがあります。それぞれの特徴と、図に示したパッケージデザイン制作プロセスのどこで使われるのかを解説します。

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定性調査:対象者の評価を「言葉」や「態度」で質的に把握する調査
5〜6人のグループを対象にインタビューを行うグループインタビューや、1対1で時間をかけて掘り下げていくデプスインタビューがあります。対象者がどう思ったのか、なぜそう思うのかを深堀って聞くことができるため、数値にはなかなか現れてこない個人の気持ちやその背景を把握することができます。
仮設を発見したり、アイディアやヒントを得るのに有用で、パッケージデザイン制作では「方向性の確認」ステップで比較的初期段階のデザイン案の評価や修正、方向性の絞り込みなどに使われることが多い手法です。

定量調査:対象者の評価を「数値」で量的に把握する調査
対象者に会場に来てもらいアンケートに答えてもらうCLTや、インターネットリサーチがあります。定量調査では、「〇%の人がXXだと感じている」など、結果を数値で把握することができます。大人数を対象とした調査が可能で、仮設の検証や効果測定に適しています。パッケージデザイン制作では、ある程度デザインの完成度が高まった「デザイン評価」のステップで、コンセプトの合致度・イメージ・好感度などを評価しデザイン案の絞り込みやブラッシュアップに使われます。

定量調査の質問例・調査フロー

これまでに出てきた評価ポイントを、定量調査で確認する場合は以下のような調査項目が考えられます。

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これらの項目を含めたパッケージ評価調査のフローは、以下のようになります。

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調査のポイント

定量調査の結果は数値で把握でき、わかりやすく簡単に1案に絞り込むことができてしまいますが、適切に調査を企画しないと誤った結果へと導いてしまうことになります。以下の点に注意して調査を企画しましょう。

・比較対象を明確にする

調査の結果からデザインの良し悪しを判断する際には、比較対象が必要です。あらかじめ何と比較するかを決め、評価対象に含めるようにしましょう。
新商品の場合   :新たなパッケージデザイン案(2~4種類程度)で比較する
競合の商品と比較する
リニューアルの場合:必ず現行デザインを入れて比較する

・アクションスタンダードを決めておく

どのような結果が出たらその案を採用するか、次のアクションへ進むか、という意思決定のための基準をあらかじめ決めて、調査票に盛り込みます。購入意向や好感度だけで選択せず、コンセプトや目指すべきイメージを評価軸に入れましょう。
例)シェルフ・テストで、最も購入率の高い案を採用する
シェルフ・テストで、現行デザインよりも手に取った率が高い案を採用する
コンセプト合致度が最も高い案を採用する
〇〇のイメージが最も高い案を採用する

・適切な対象者を選ぶ

その商品のターゲットとなる人を調査対象者として選定する必要があります。性別や年齢などの属性情報に加え、商品の認知や購入経験なども条件に加えます。比較対象を競合商品にする場合には、競合ユーザーも含めましょう。

例)直近3か月以内に〇〇(カテゴリー)を自分で購入し、食べた人
直近3か月以内に商品Aを自分で購入し、食べた人
直近3か月以内に〇〇(カテゴリー)を自分で購入し食べたが、商品Aは購入していない人
直近3か月以内に商品B(競合)を自分で購入し、食べた人

商品カテゴリーに応じて、購入経験の期間(過去〇か月)は決めます。また、車や家電など購入に際して価値観やライフスタイルが関わるようなカテゴリーの場合には、そういった項目も条件に含めます。

・順序効果を考慮する

複数のパッケージデザイン案がある場合、見せる順番によって評価に影響が出てしまいます。同じ順番でデザイン案の評価をせずに、対象者ごとにローテーションして提示するようにしましょう。 シェルフ・テストの場合は、回答精度を保つために棚パターンは2パターンまでにします。3パターン目以降は選択商品数が減少することがわかっています。パッケージリニューアルの場合には対象者ごとに提示するデザイン案を分け、現行棚での評価後に、新デザイン案の棚いずれか1つを提示する方法がおすすめです。

・絶対評価をとる

複数あるパッケージデザインの評価は、それぞれ単独で評価をとることが大切です。 複数案を直接対象者にどちらが良いかを聞くこともできますが、そのどちらも対象者の好みではない場合に「マシ」なものが分かるだけとなり、意思決定の基準としては使えません。それぞれの絶対評価をとったうえで、比較をしてもらうのは有効です。

最後に

アンケート調査をうまく活用することで、そのデザインが開発目標に沿ったものになっているか、競合からのスイッチを狙えるか、複数あるデザイン案のなかでどれを採用すべきか、などの判断することができます。一方で、調査の方法を誤ると信頼性のある結果が得られず、大きな損失を招く可能性もあります。本記事で紹介したポイントを参考に、パッケージデザイン評価調査をうまく活用して「売れるパッケージデザイン」をつくりましょう。

※1 i-タイル®
インテージでは、PC・スマホ・タブレットのいずれからでも回答傾向の変わらないオリジナル画面形式
「i-タイル®」を2012年から標準採用しています。


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