プレミアムフライデー施行から1年、定着はいかに?
月末の金曜日に仕事を早く切り上げることで、消費喚起や余暇促進に繋げるとともに、働き方改革やライフスタイルの変革も狙ってスタートした「プレミアムフライデー」。インテージでは、プレミアムフライデーが始まった2017年2月24日(金)の前後にも調査(以下、1年前調査)を行い、その結果を公表いたしました(「浸透するか?プレミアムフライデー」)。今回の調査は、1年前調査と同様、京浜エリアに住む20~50代の一般有職者を対象に、1年前調査との比較が可能な設計にて実施いたしましたので、認知や浸透状況の変化など、プレミアムフライデースタート時との比較を交えてご紹介いたします。
プレミアムフライデーの認知状況、勤務先での奨励・実施状況は?
施行から1年を迎える「プレミアムフライデー」、はたしてこの1年間でどのくらい浸透したのでしょうか。まずは認知率から見てみると、プレミアムフライデーを「知っている(内容まで知っている+聞いたことはある)」人の割合は97.0%(1年前調査:69.7%)とほぼ100%にまで達しており、「プレミアムフライデー」の取り組みそのものは、多くのビジネスパーソンに知られているようです。また、「内容まで知っている」と回答した人の割合は62.8%と、1年前調査の28.2%から34.6ポイント増加しており、プレミアムフライデーがどのようなものなのか、取り組みについての理解もこの1年間で進んだことがわかります。
では、職場での取り組みはどのくらい進んでいるのでしょうか。有職者のうち、金曜日出勤かつ1日7時間以上勤務している人を対象に、調査時点での勤務先のプレミアムフライデー奨励・実施状況を聞いてみると、「奨励・実施している」と回答したのは11.0%でした。1年前調査では、プレミアムフライデー初回が勤務先で「奨励された」または「実施された」と回答した人の合計が10.5%だったので、当時から伸びておらず、制度自体は認知されつつも、実際に早帰りができる環境にある人は増えていない現状が浮き彫りとなりました。
大手企業が取り組みを発表したことも話題となったプレミアムフライデー。そこで、勤務先の奨励・実施状況を企業規模別に見てみると、従業員数が「1,000人以上」の会社に勤める人では20.6%が職場でプレミアムフライデーが奨励・実施されていると回答しているのに対し、従業員数が「100人未満」の会社に勤める人ではその割合は2.8%に留まっています。この傾向は1年前調査でも同様で、一般的に大企業と呼ばれる、従業員の人数が多い会社に勤めている人ほど、職場が「プレミアムフライデーを奨励・実施している」という人の割合が高いという実態は、施行から1年間が経過した今でも変わっていないようです。
Key Point 1
プレミアムフライデーの認知率は97.0%。1年前調査の69.7%から大幅増で、この1年で認知は進むも、「勤務先が“プレ金”を奨励・実施している」人の割合は11.0%で、1年前調査の10.5%から伸び悩み。従業員数1,000人以上の大企業に勤める人では、勤務先の奨励・実施率が20.6%と比較的高い。
プレミアムフライデーに早帰りをした人はどのくらいいた?
今年1月末の金曜日が12回目の対象日だったプレミアムフライデーですが、この1年間の中で、実際にプレミアムフライデーに早帰りをした人はどのくらいいたのでしょうか。「プレミアムフライデーに早く帰ることができたか」を聞いてみると、「1回以上早帰りをした」人の割合は8.3%で、9割以上の人は「1回も早帰りをしなかった」ことが明らかになりました。1年前調査では、プレミアムフライデー初回に「早く帰った」と回答した人の割合は3.7%で、早帰りを経験した人の割合はこの1年間で増加したものの、全体の中ではまだ一部のようです。
こちらも、勤務先の奨励・実施率と同様に企業規模別に見てみると、従業員数が「1,000人未満」の会社に勤める人では、早帰りをした人の割合は4~6%程度なのに対し、「1,000人以上」の会社に勤める人では早帰りをした人の割合が14.1%と比較的高く、先ほど確認した、勤務先の奨励・実施状況を反映する結果となりました。
では、実際にプレミアムフライデーに早帰りをした人は、退社後の時間をどのように過ごしたのでしょうか。「早く帰ることができた時間を使って、普段の平日ではできなかったどういうことをしたか」を聞いた結果を見てみると、最も高かったのは「自宅で過ごした」で46.0%、次いで「食事に行った」(40.4%)、「買い物に行った」(31.3%)で、トップ3は1年前調査の結果と同様の結果となりました。当時の調査結果では、「自宅で過ごした」人の具体的な過ごし方としては「テレビ・DVDを観た」「ゴロゴロした・寝た」「インターネットをした」といった声があがり、普段より早く帰った時間を使って自宅でリラックスして過ごしている様子がうかがえます。また、「食事に行った」「買い物に行った」の他にも、「エンターテイメント/アミューズメント施設に行った」「映画館で映画を観た」などをして過ごした人もおり、プレミアムフライデーの狙いであった“消費喚起”に一定の効果があったと推察されます。
また、実際に早帰りを経験した人に、「早帰りで感じた生活の変化」としてあてはまるものを聞いてみた結果を見てみると、最も高かったのは「趣味や自分の好きなことに費やす時間が増えた」で27.9%、次いで「家族と過ごす時間が増えた」が21.9%という結果となりました。それ以外にも「ストレス発散ができた」「仕事とプライベートのメリハリがついた」などを変化として回答した人もおり、“消費喚起”と並んでこの取り組みに期待されている“働き方・ライフスタイル変革”にも、プラスの効果が感じられているようです。
Key Point 2
施行から1年で、1回でもプレミアムフライデーに早帰りを経験した人は8.3%。従業員数1,000人以上の大企業に勤める人では、早帰りを経験した人が14.1%と比較的高い。早帰りをした人は生活の変化を実感し、“消費喚起”“働き方・ライフスタイル変革”にも一定の効果。
今回の調査からは、現時点でこの取り組みの恩恵を受けている人は限定的と言える結果となりましたが、一方で、実際に早帰りができている人ではプライベートの過ごし方や仕事の取り組み方など、生活の変化を感じられているということも明らかとなりました。先月25日には、「今年も引き続き実施していく」ことが経済産業省から発表されたプレミアムフライデー。2月23日には、民間企業の代表や識者を集めてのプレミアムフライデーの今後について議論する「プレミアムフライデー・サミット」が開催されるなど、引き続き推進に向けた取り組みが予定されているようです。これを受け、企業側の取り組みはどう変化するのか、また生活者への浸透は進み、消費や働き方は変化するのか、今後の動向が注目されます。
今回の分析は、弊社独自に保有するSRI(全国小売店パネル調査)のデータ、および下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
【自主企画調査】
調査手法 インターネット調査
調査地域:一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
対象者条件:20-59 歳の男女有職者(会社員、会社役員・管理職、公務員・団体職員、自営業、専門職、派遣・契約社員、パート・アルバイト)
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:地域×性年代の構成比を有職者の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=3,251
調査実施時期:2018年2月14日(水)~2018年2月16日(金)
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