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イマ注目の睡眠市場 「鳥の目」と「虫の目」による、さらなる機会の探索

この記事では2022年12月16日にインテージが開催した「生活者の変化からビジネス機会を考える連続セミナー~【第2弾】「睡眠の質」への注目 と 新たなビジネス機会~」の内容を再構成してお届けします。

注目されている睡眠市場を例に、どのように市場の機会を探っていけばよいのか、睡眠市場の専門家であるブレインスリープ様と一緒に、有効なプロセスについて考えます。

市場の機会を探る「鳥の目」と「虫の目」

少子高齢化、景気停滞、生活者の多様化に伴うマーケティング施策の分散・効果が減少する日本において、多くの事業・ブランド担当者が市場の成長に関する悩みを抱えています。

この悩みとして多く聞かれるのが、
・機能的な差別化が難しく、独自性・優位性を示しにくくなっている
・商品・サービスの改良はできてもイノベーションまでは起こせない といったものです。

これらの悩みの一つの要因として、市場をモノ起点で捉えている、ということが挙げられます。商品やサービスの開発においては、市場をモノ起点ではなくヒト起点で、これまでよりも「広く」「深く」捉えることが有効です。「対象を広く俯瞰的に捉える鳥の目」と「生活者やシーンの解像度を上げてインサイトを深く見出す虫の目」2つの視点を行き来しながら、発散と収束を繰り返すことで、市場の機会発見に繋がるとインテージは考えます。ここで重要なのは、どちらか一方の視点ではなく複眼の発想です。なぜならば、視点は発想の核そのものであるからです。異なる視点で物事を見て、新しい発見をしていくことが、発想には欠かせません。

インテージでは、このアプローチを「成長機会仮説獲得プログラム」としてプログラム化し、各社との取り組みを進めています。ここからは、実例を通してこのプログラムのステップをたどり、「鳥の目」と「虫の目」で市場の機会を探っていくことにします。

今回は、例として睡眠市場に注目しました。「睡眠の質」という言葉の検索数が増えていたり(図表 1)、ヤクルト1000のヒットや睡眠訴求の機能性表示食品の市場拡大(図表 2)が起きていたりと、注目が高まっている市場です。

図表 1

「睡眠の質」のGoogle検索数の推移

図表 2

食品+飲料+建食・サプリ 睡眠訴求 機能性表示食品 市場規模

では、実際に弊社の鳥の目と虫の目の手法を用いて、睡眠市場におけるさらなる機会を探ってみましょう。

睡眠市場を鳥の目で捉える

「鳥の目で見る」とは、市場を広く俯瞰的に見ること、とインテージでは定義しています。 今回の例で言うと、寝具市場、乳酸菌飲料市場の様にモノを起点にするのではなく、“睡眠”というヒトの行動を起点とすることで、広く関連する市場を捉えることが重要となります。

実際に、鳥の目で睡眠市場を見てみましょう。
図表3は「不眠を気にしている」というアンケート調査の結果です。この10年程で不眠を気にしている人が増えていることと、特に10~20代の若年女性で不眠を気にしている人が多いことがわかります。

図表 3

不眠を気にしている人の割合

さらに購買データを用いて、睡眠訴求をしている複数の商品について、そのユーザー構成を性年代で確認したところ、商品によって異なるものの、20~30代の若年女性の構成比が高いものが複数見られました。

そこで、若年女性が具体的に睡眠に対してどのような悩みを持っていて、どのように対処しているのか、虫の目で見ていくことにします。

睡眠市場を虫の目で捉える

「虫の目で見る」とは、生活者の行動を一連のモーメントとして捉えること、とインテージでは定義しています。具体的には、日記・履歴、写真・動画、観察、インタビューなどの手法を組み合わせて、ひとりの人を深く・多層的に線で捉えることです。

睡眠に悩む20~30代女性に対して行ったインタビューで、睡眠の悩み度別の特徴と睡眠に悩む人の共通点がわかってきました。(図表4)

図表 4

睡眠の悩み度 ヘビー層とライト層別の特徴と共通点

まず、睡眠の悩みがヘビーな人は、悩みの種類・睡眠に関する知識・これまでに利用した商品・サービスの数が多いことがわかりました。睡眠に関する知識量が多いため、「睡眠の質」悪化の原因が人によって異なることを理解しており、自分に合った商品・サービスであっても安易に他者に勧めないと話していたことが印象的でした。また、寝具のような単価の高い商品・サービスであっても、「睡眠の質」改善のために買い替え・利用を検討していることも特徴的な行動です。

一方、睡眠の悩みがそこまでではない人は、ランニングコストがかかるものや、単価が高い商品・サービスの利用には消極的であることがわかりました。

また、睡眠に悩む人に共通して医薬品や医療には頼りたくないと考えていることや、五感への刺激がある対処法は効果を実感しやすいこと、カテゴリから連想する使用シーンが商品の購入や継続の意向に関わっていること、が見えてきました。具体的には、睡眠の質改善を訴求する菓子や飲み物について語られる中で、「甘いものは日中食べるもの。寝る前に食べると虫歯や肥満に繋がるというイメージを持っているのに、睡眠の質を改善するために甘い食べ物を夜に摂ることを推奨されても、継続して使う気持ちにならない。」という意見が聞かれました。

「鳥の目」「虫の目」の精度をさらに上げる「専門家の目」

ここまで、鳥の目と虫の目で睡眠市場を捉えてきましたが、さらに睡眠に関する専門家の視点を加え、調査の精度を上げる取り組みを行いました。

今回の事例では、先進のテクノロジーを活用した商品・サービスだけではなく、睡眠医学に基づいた情報提供を通して、日本の睡眠に関する問題解決を目指されているブレインスリープ様に専門家インタビューを実施しました。医師とのコラボレーションや医学論文も踏まえて、睡眠に関する問題解決を行っている点が非常にユニークな企業です。

ブレインスリープ様には、以下の3つのフェーズでご協力をいただきました。
①市場の理解を深める:
寝具を含めた睡眠関連市場の状況と今後注目を集めそうな最新の睡眠研究トピックをお話しいただくことで、生活者の中で起きていることをイメージでき、商品・サービスの開発アイディアを生むためのヒントを多く得ることができました。
②リサーチの問いをブラッシュアップする:
睡眠に関するリサーチを行う前に、「睡眠の質に影響する行動」や、「睡眠の質を改善するための対処法」等の選択肢について、専門家の視点でチェックしていただきました。
③リサーチの結果を読み込む:
マーケティングの専門家として、調査結果をありのまま受け取るのではなく、あえて数値が低いところにも着目するという、当たり前を疑う発想と視点で、結果を読み解くうえでたくさんの気づきをいただきました。

ここまでの虫の目での生活者インタビューや、専門家の協力を経て、睡眠市場の機会はどのように整理できるのでしょうか。最後に再び鳥の目を持って「どのような市場が、どれくらいの規模をもって存在するか」を調査によって捉えてみました。

調査は消費財の購買データ収集に協力いただいているSCIモニター5万人に対して行い、すでに生活者に浸透している商品・サービス(散歩やジョギング、マットレスやまくら)や、まだ潜在的な商品・サービス(ハーブティーやホットミルク、整体・マッサージや鍼灸)などについて、経験有無や効果実感などを聴取しました。この調査結果をブレインスリープ様と共に読み解きました。

図表5の様に経験率と効果実感で商品・サービスをプロットすると、既に多くの方が試している商品・サービスの効果実感や、まだ試している人は少ないながらも効果実感が高い商品・サービスを見つけ出すことができます。
運動や寝具は効果実感が高いですが、食品・飲料は効果実感がそこまで高くないことがわかります。

図表 5

効果実感が高い「睡眠の質」を向上させる商品・サービス

さらに図表6の様に未経験率と新規意向率(今後の利用意向率)で商品・サービスをプロットすると、機会となりそうな商品・サービスを見出せます。
ここで、機会となりそうな「整体・マッサージ」「ハーブティーやホットミルク」「アロマや芳香剤」「パジャマ・寝巻」など、“リラックス”に関連する領域にポテンシャルが見つかりました。

図表 6

機会となりそうな「睡眠の質」を向上させる商品・サービス

さらに図表7の様に新規意向者の男女構成比×平均年齢でマッピングすると、老若男女で異なる方向性がみられます。
具体的には、男性は 簡便×サイエンス(機械 / 医学)、女性は ひと手間×ナチュラル(寝具 / セラピー) の違いがみられました。

図表 7

「睡眠の質」を向上させる商品・サービス
各新規意向者の男女×年齢MAP

このように、すでに顕在化しつつある「睡眠」市場の中でも、軸の選び方や、項目の選定に専門家の視点を加えることで、新たな機会を見つけることができそうです。

この後のステップとしては、睡眠に関する意識とSCIの購買データを掛け合わせて分析することが考えられます。購入しているカテゴリや商品の違い、メーカーシェアなどから、対処方法が定まっていない領域やアプローチ方法の検討材料を抽出することができるかもしれません。

インテージでは、今回ご紹介したようなアプローチによって、生活者やシーンをより広く捉え、鳥と虫の両眼を行き来しつつ、数多くの仮説を立てて変化を見極めます。そうすることで、機会と自社事業の重なりを見出すことができると考えています。
ご興味・ご関心がございましたら、ぜひ弊社営業担当までご相談ください。


関連サービス

【成長機会獲得プログラム】
事業・ブランドが2-3年後の目標達成に十分な「生活者起点の成長機会の仮説」を得るために、誰に(Who?)、どんな価値(What?)を提供すべきかを見出すプログラム。 インテージが保有する様々なデータや外部データを活用して俯瞰的に見ることで、これまでよりも広い視野で市場・生活者の変化を捉え、ストーリーを描き、事業・マーケティングの成功確率を高めます。

【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女53,600人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません

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