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【毎月更新】生活者のお金の使い方

この記事では、生活者のいまを映す最新データをお届けします。物価高や円安など、消費を取り巻く環境が変化する中、生活者のお金の使い方はどのように変化しているのでしょうか。物価動向、日常の買い物行動、消費マインドの最新データから読み解きます。

気温が下がり、本格的に冬の気配を感じるようになった11月。季節の変化に加え、長期化している物価上昇も生活者のお金の使い方に影響を与えているようです。今月もデータから、その変化を詳しく見ていきましょう。

《物価の動き》
容量単価指数を見ると、短期的な上下はあるものの、2022年ごろから続く上昇トレンドに大きな変化は見られません。値上げが一過性ではなく構造的なものであることがうかがえます。特にコンビニエンスストア(CVS)では、他チャネルを上回る価格上昇が続いています。
物価変動の構造に目を向けると、ドラッグストアでは新旧商品入れ替えによる影響が大きい点が特徴的です。特に11月は、化粧品を中心に季節商品が多く登場する時期であり、新商品の投入やリニューアル品における価格引き上げが容量単価指数を押し上げている可能性があります。

《買い物金額・買い物回数》
11月の買い物金額は前年比102.8%、買い物回数は前年比98.2%となりました。金額は伸びているものの回数が減少していることから、値上がりによって1回あたりの支出額が増えている状況が続いていると考えられます。
チャネル別に見ると、通販・ネットの買い物金額は全体では前年比99.2%と前年並みですが、20~30代では前年比107.8%と大きく伸長しています。各種通販サイトで実施されたブラックフライデーセールの影響を受け、若年層を中心にネット購買が活発化したと見られます。配送業者から「荷物増加による配送遅延」が発表されたことからも、セール利用者が多かったことが分かります。
また、CVSは買い物金額が前年比99.5%と前年並みにとどまり、他チャネルほどの伸びは見られませんでした。前述のとおりCVSでは特に物価上昇傾向が顕著であることから、価格上昇を受けてCVSでの購買を抑える動きが広がっていると考えられます。

《市場動向・好調カテゴリ》
11月は、10月と比べてマーケットサイズが縮小する例年通りの動きが見られました。その後、12月になると年間を通して最もマーケットサイズが大きくなるのが例年の傾向です。
カテゴリ別に見ると、食品では、2022年の年間で最もマーケットサイズが大きかった12月を上回る結果となりました。年単位で右肩上がりの傾向が続いており、長引く値上げが主要因です。
ヘルスケアカテゴリは、例年11月に落ち込みやすいところ、今年はドラッグストアを中心にマーケットサイズの拡大が見られました。インフルエンザ流行の前倒しが影響している可能性が考えられます。

好調カテゴリを見ると、まず食品では、「春雨・くず切り」や「ポン酢」 、「鍋つゆ・煮物料理のもと」といった鍋料理関連商品を含む品目が前月に引き続き好調でした。気温の低下に伴い、家庭内で温かい料理を楽しむ機会が増えていることが背景にあると考えられます。
飲料では、「美容・健康ドリンク」が好調となっています。特に、内臓脂肪を減らす効果をうたった新商品が登場したことで注目を集めており、健康意識の高まりを背景に選ばれている様子がうかがえます。また、「ココア」や「紅茶」など、寒さを感じる時期ならではの飲料も伸びており、体を温めることやリラックス効果を求めた消費行動が見られます。
化粧品では、「ハンド&スキンケア」や「ボディ用」、「リップクリーム」が好調でした。空気の乾燥が進む時期に入り、肌の保湿ニーズが高まったことが要因と考えられます。また、「日焼け・日焼け止め」も好調を維持しており、冬場でも紫外線対策を行う生活者が増え、年間を通じたUVケアが定着しつつあることがうかがえます。
さらに、例年よりインフルエンザ流行が早まっている影響からか、免疫強化を意識した商品を含む「ドリンクヨーグルト」や、「うがい薬」、「マスク」といった衛生・予防関連品目も伸びが見られました。体調管理への意識が高まる中で、日常的に取り入れやすい商品が選ばれていると考えられます。

《消費意欲、お金をかけたいモノ・コト》
消費意識を見ると、「現在の節約意識」はわずかに低下しています。物価高が続く中でも、生活者の心理には徐々に変化が生まれているようです。
お金をかけたいモノ・コトでは、「食品」「外食」への意向が上昇しています。節約を意識せざるを得ない状況が続く中でも、「12月くらいは少し贅沢したい」という年末特有の心理が表れている可能性があります。
一方で、「旅行・ドライブ」は大きく減少しています。2025年の年末年始は曜日の並びから長期休暇となる人も多いと考えられますが、遠出は控え、自宅や近場で楽しむ「身近な贅沢」を選ぶ生活者が増えているのかもしれません。

11月のデータからは、長引く物価上昇への警戒感が続く一方で、節約一辺倒ではない生活者心理の変化もうかがえました。買い物回数を抑えながらも、必要なものや価値を感じるものにはお金を使うなど、生活者のお金の使い方には工夫が見られます。こうした動きが12月の本格的な年末商戦でどのように広がっていくのか、引き続き注目していきます。

※次回のデータ・コメントの更新は1月を予定しています。

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著者プロフィール

西 千春(にし ちはる)プロフィール画像
西 千春(にし ちはる)
株式会社インテージ データマネジメント事業本部 コンシューマーデータマネジメント部

2019年に大学卒業後、インテージに入社。
消費者パネル調査「SCI(消費者購買パネル)」のモニター管理・リクルートを担当後、2024年7月より現部署に所属しSCIのデータ品質維持向上に携わる。

株式会社インテージ データマネジメント事業本部 コンシューマーデータマネジメント部

2019年に大学卒業後、インテージに入社。
消費者パネル調査「SCI(消費者購買パネル)」のモニター管理・リクルートを担当後、2024年7月より現部署に所属しSCIのデータ品質維持向上に携わる。

データについて

【SRI一橋大学消費者物価指数】
一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構、全国スーパーマーケット協会と株式会社インテージとの共同プロジェクト「流通・消費・経済指標開発プロジェクト」の一環として作成している経済指標です。インテージのSRI+のデータを用いて消費財の物価の変動とその構造変化を可視化します。
物価の構造変化を「新旧商品入れ替え効果:新商品による影響」「価格変化効果:既存品の値上げ・値下げによる影響」「代替効果:既存品の中で消費者が購入商品をスイッチしたことによる影響」に分解することで、要因を捉えることができます。
こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。昨今の値上げで物価はどう動いている?マクロ視点で構造をひも解く

【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女70,000人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※サービスリニューアルに伴い、2025年5月掲載分より新データに切り替えています。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません

消費者の購買行動を俯瞰して捉えることのできる『SCIパノラマレポート』を販売中です。ご希望の方はこちらの資料ダウンロードのページよりお申し込みください。

【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2021年6月現在

【月次調査】
調査地域:全国
対象者条件:15-79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,000(1回あたり)
調査実施時期: 2022 年7月~ 各月第1週
※消費意欲、節約意識は1年前の同時期と比べた度合いを-5~+5の11段階で聴取

転載・引用について

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(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)

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