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【毎月更新】生活者のお金の使い方

この記事では、生活者のいまを映す最新データをお届けします。物価高や円安など、消費を取り巻く環境が変化する中、生活者のお金の使い方はどのように変化しているのでしょうか。物価動向、日常の買い物行動、消費マインドの最新データから読み解きます。

群馬県では国内観測史上の最高気温を更新し、全国的に最高気温が40度以上となる地点や日数も増加しました。危険な暑さに見舞われた8月、生活者のお金の使い方にはどのような変化があったでしょうか。今月もデータを深掘りしていきましょう。

《物価の動き》
8月の物価指数はお盆に向けて一度上昇したあと下降傾向となっていますが、全体的には先月に引き続き横ばい傾向です。チャネル別に見るとコンビニエンスストア(CVS)は上昇傾向であり、先月頃から他のチャネルを引き離しつつあります。
物価変動の構造をみていくと、代替効果の動きは多少あるものの停滞気味となっています。一方で継続商品の価格は、先月に続きCVSでは上昇がみられるものの、スーパーやドラッグストアでは横ばい傾向となりました。
じわじわと上昇を続けている物価指数、メーカーと小売り間では価格改定の合意形成が進む一方で、物価上昇に対する生活者の受容度や対応力とはギャップがあり、生活者だけが置き去りにされているような印象もあります。

《買い物金額・買い物回数》
8月の買い物金額の前年比は101.1%、買い物回数の前年比は97.8%となっています。
爆発的に増えていた時期と比較すると買い物金額は少し落ち着きつつあるようです。また買い物回数も減少傾向にあり、猛暑による外出控えや買いすぎ防止などのために、まとめ買いを意識している印象があります。増えてしまう支出を何とか抑えようとしている生活者の努力が垣間見えますね。
買い物金額・買い物回数は、年代によってもいくつか傾向があるようです。例えば60~70代のCVS利用について、買い物金額は前年比105.2%、買い物回数は101.5%と前年比プラスを維持しています。外出するのが危険な暑さとも言われた8月、より近所にあるCVSの利用が増えたのかもしれません。また20~30代における通販・ネットの利用については、買い物回数が99.4%とほぼ横ばいの一方で、買い物金額は111.4%と大きく伸びています。オンラインを活用することで、外出による買い物を極力減らそうとしている様子がうかがえます。暑さによる外出控えの意識は共通でありつつも、年代により買い物方法には違いがありそうです。

《市場動向・好調カテゴリ》
カテゴリ別の市場動向では、いずれのカテゴリも前年からマーケットサイズを拡大しています。昨年8月も南海トラフ地震臨時情報の発令による買いだめ行動もあり高い傾向でしたが、値上げの影響もあり今年は金額ベースではさらに伸びているようです。

夏場ということで、例年通りこの数か月順調に伸びを見せていた飲料は、値上がりに加え8月の記録的な暑さによる需要増も受け、さらに伸張が見られます。例年9月に入ると少し落ち着きを見せますが、厳しい暑さが続く今年はどうなるのか気になりますね。

好調カテゴリについては、引き続き米が高い順位にランクインしています。 
大分類「飲料」では、今月も原材料価格の高騰や物流コストの増加を背景に値上げの影響をうけており、「インスタントコーヒー」「レギュラーコーヒー」は前年比増となっています。飲料の値上げは当面続く見込みであり、これまで値上げされても買い続けてきた生活者の今後の嗜好飲料との付き合い方・選び方に変化を与えるのか気になります。 また大分類「雑貨」では、「住居用クリーナー」「バス用クリーナー」「住宅用ワックス」など、掃除用品が多く入ってきています。もともと気温が高い夏は「汚れが落ちやすい」「水を使った掃除がしやすい」「乾きやすい」などの理由から掃除に適した季節ですが、今年は特に猛暑による外出控えもあり、家の汚れにも気が付きやすくなったことが需要を後押ししたのかもしれません。

《消費意欲、お金をかけたいモノ・コト》
消費意欲で「現在の節約意識」の項目をみると、引き続き節約意識の低下は見られたものの、「現在の消費意欲」「今後の消費意欲」は前月維持と、緩やかに上昇はしてきているものの、まだ消費に意欲的になりきれていない生活者の姿が浮かびます。
お金をかけたいモノ・コトでは、「ライブ、映画鑑賞など」の再上昇が見られました。8月の夏休み本番を迎え、各地で多くのライブが開催されたり、話題となった映画の放映延長や新規映画の公開が行われたりしています。暑さに負けず夏を満喫しようとしている生活者の姿が垣間見えますね。一方で、1月以降低下傾向が続いていた「ファッション」がさらに低下を見せ、8月はこれまでで一番低くなりました。
日常的に使いまわせるものは工夫して活用し節約を心がける一方で、ライブのような「その瞬間にしか味わえない体験」には積極的にお金をかけるという、メリハリのあるやりくりを生活者はより意識するようになっているのかもしれません。

今月は様々なチャートで物価上昇に加え、猛暑の影響が表れる月となりました。
9月に入り、厳しい暑さも少しずつですが和らぎ、過ごしやすい日が増えてきています。夏の楽しかった思い出を振り返りつつ、これからの季節に向けて、日々の生活や支出のバランスを見直しながら、心地よい秋のスタートを迎えたいですね。

※次回のデータ・コメントの更新は10月を予定しています。

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著者プロフィール

落合 優理彩(おちあい ゆりあ)プロフィール画像
落合 優理彩(おちあい ゆりあ)
株式会社インテージ データマネジメント事業本部 コンシューマーデータマネジメント部

2020年に大学院卒業後、インテージに新卒で入社。
パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のスマートフォンとパソコンのメディア利用調査の運用を担当。i-SSPモニターの管理・運用やデータ品質の維持に携わる。
また社内外へのi-SSPデータを使用した情報発信など、パネルデータの利活用を促す業務を担当。

株式会社インテージ データマネジメント事業本部 コンシューマーデータマネジメント部

2020年に大学院卒業後、インテージに新卒で入社。
パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のスマートフォンとパソコンのメディア利用調査の運用を担当。i-SSPモニターの管理・運用やデータ品質の維持に携わる。
また社内外へのi-SSPデータを使用した情報発信など、パネルデータの利活用を促す業務を担当。

データについて

【SRI一橋大学消費者物価指数】
一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構、全国スーパーマーケット協会と株式会社インテージとの共同プロジェクト「流通・消費・経済指標開発プロジェクト」の一環として作成している経済指標です。インテージのSRI+のデータを用いて消費財の物価の変動とその構造変化を可視化します。
物価の構造変化を「新旧商品入れ替え効果:新商品による影響」「価格変化効果:既存品の値上げ・値下げによる影響」「代替効果:既存品の中で消費者が購入商品をスイッチしたことによる影響」に分解することで、要因を捉えることができます。
こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。昨今の値上げで物価はどう動いている?マクロ視点で構造をひも解く

【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女70,000人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※サービスリニューアルに伴い、2025年5月掲載分より新データに切り替えています。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません

消費者の購買行動を俯瞰して捉えることのできる『SCIパノラマレポート』を販売中です。ご希望の方はこちらの資料ダウンロードのページよりお申し込みください。

【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2021年6月現在

【月次調査】
調査地域:全国
対象者条件:15-79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,000(1回あたり)
調査実施時期: 2022 年7月~ 各月第1週
※消費意欲、節約意識は1年前の同時期と比べた度合いを-5~+5の11段階で聴取

転載・引用について

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「出典:インテージ「知るギャラリー」●年●月●日公開記事」

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(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)

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