【毎月更新】生活者のお金の使い方

この記事では、生活者のいまを映す最新データをお届けします。物価高や円安など、消費を取り巻く環境が変化する中、生活者のお金の使い方はどのように変化しているのでしょうか。物価動向、日常の買い物行動、消費マインドの最新データから読み解きます。
2026年1月の動き
新しい一年のスタートとなる1月。気持ちも新たに目標を掲げ、暮らしやお金の使い方を見直すタイミングでもあります。年始ならではのセールやイベントが消費を後押しする一方で、節約意識も強まりやすい時期です。今月もデータをもとに、その動きを詳しく見ていきましょう。
《物価の動き》
容量単価指数は4%前後の高水準が続いています。価格据え置きのまま内容量を減らす“実質値上げ”の動きも見られ、値上げは一過性というより、すでに日常の前提になりつつある状況です。一方、チャネル別に見るとドラッグストアはやや低下傾向でした。物価変動の構造に目を向けると、ドラッグストアでは代替効果が上昇する動きが見られます。値上げが続くなかで、より手頃な商品へと選び替える動きが進んでいるようです。同一商品の継続購入から、より納得感のある選択へと購買行動が変化している可能性があります。
《買い物金額・買い物回数》
1月の買い物金額は前年比102.4%、買い物回数は99.1%となりました。回数は前年並みながら金額は増加しており、これまで通り買い物をしているつもりでも、値上げによって1回あたりの支出額が押し上げられる状況が続いています。
チャネル別に見ると、コンビニエンスストア(CVS)の買い物回数は前年比97.9%と減少しました。男女別に見ると、男性95.9%、女性101.8%と傾向が乖離しています。CVSの利用頻度の高い男性ほど、物価上昇局面では利用を見直す動きが出やすいと考えられます。単価上昇が意識されやすいチャネルであることもあり、他業態へのシフトやまとめ買いへの切り替えなどの行動変化が回数減少につながっている可能性があります。
《市場動向・好調カテゴリ》
1月は例年通り、12月よりマーケットサイズが縮小しました。カテゴリ別に見ると、食品では右肩上がりの傾向が続いており、値上げの影響が大きいと考えられます。
好調カテゴリを見ると、食品では「春雨・くず切り」「鍋つゆ・煮物料理のもと」「ポン酢」など、鍋関連の品目が伸長しました。大根や白菜などの鍋に使われる野菜の価格が前年より落ち着いたことに加え、前年より低い気温が後押しし、鍋の需要が高まったと考えられます。
飲料では、特に「麦芽飲料」「インスタントコーヒー」「レギュラーコーヒー」「ココア」などの嗜好飲料が好調となりました。「麦芽飲料」は、26年2月に予定されている値上げを前にした駆け込み需要が発生し、伸長につながったと考えられます。「インスタントコーヒー」「レギュラーコーヒー」は、値上げが繰り返されているものの、習慣性の高いカテゴリであり、一定の需要が維持されています。
「ココア」は、カカオポリフェノールや食物繊維を含む点が評価され、健康意識の高まりを背景に伸長しています。寒い時期の温飲需要もあり、機能性と季節性の両面から選ばれていると考えられます。加えて、原材料価格の上昇を背景とした値上げの影響もあり、マーケットサイズを押し上げている可能性があります。
化粧品では、「ほほべに」が好調でした。「ほほべに」には、チークやハイライト、シェーディングなどが含まれます。アイシャドウとしても使用できる多機能タイプのチークや、肌悩みをカバーできると話題になったハイライトなど、商品ラインナップの拡充が伸長の背景にあると考えられます。加えて、自然な血色感やツヤと陰影で立体感を演出するメイクトレンドも追い風となり、需要の高まりにつながったとみられます。節約意識が高まるなかでも、気分を高めるカテゴリへの支出には前向きな姿勢がうかがえます。
ヘルスケアでは、前年と比べてインフルエンザや新型コロナウイルスの感染者数が減少したことも影響し、関連する医薬品は伸長しませんでした。
《消費意欲、お金をかけたいモノ・コト》
消費意識を見ると、12月から1月にかけて「現在の節約意識」は横ばいで推移しているものの、「現在の消費意欲」「今後の消費意欲」はやや下向きとなりました。年末年始で出費が増えたことを受け、使った分を引き締めたいという意識が働き、消費に対して慎重な姿勢が強まっていると考えられます。
「お金をかけたいモノ・コト」では、「食品」「外食」が減少しました。例年1月に低下しやすい項目であり、年末年始の出費を振り返って節約意識が高まり、支出割合の大きい分野から見直す堅実な姿勢が表れています。
一方で、「旅行・ドライブ」は上昇しました。例年1月は意欲が下がりやすいタイミングですが、今年は異なる動きが見られました。2025年の年末年始は遠出を控え、自宅や近場で楽しむ人が増えたことから、その反動で意欲が高まっている可能性があります。加えて、ガソリン価格が前年と比べて落ち着いていることもドライブ需要を後押しする一因と推察されます。
また、「投資」も上昇しています。節約意識が見られる一方で、将来に向けた資産形成や収入増への関心は高いことがうかがえます。物価上昇や先行き不透明感が続くなかでも、支出を抑えるだけでなく、中長期的な備えや成長機会に目を向ける姿勢が広がっていると考えられます。
1月のデータからは、短期的な引き締めと中長期的な期待が併存している様子が確認されました。物価上昇局面においても一律に支出を抑制するのではなく、優先順位を明確にした選択行動が進んでいると考えられます。
2月は選挙という外部要因も控えています。新政権への期待感や政策動向への注目が生活者マインドにどのような影響を与えるのか、その変化が今後の消費動向を左右するポイントとなりそうです。
※次回のデータ・コメントの更新は3月を予定しています。
お金の使い方 最新データ
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データについて
【SRI一橋大学消費者物価指数】
一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構、全国スーパーマーケット協会と株式会社インテージとの共同プロジェクト「流通・消費・経済指標開発プロジェクト」の一環として作成している経済指標です。インテージのSRI+のデータを用いて消費財の物価の変動とその構造変化を可視化します。
物価の構造変化を「新旧商品入れ替え効果:新商品による影響」「価格変化効果:既存品の値上げ・値下げによる影響」「代替効果:既存品の中で消費者が購入商品をスイッチしたことによる影響」に分解することで、要因を捉えることができます。
こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。昨今の値上げで物価はどう動いている?マクロ視点で構造をひも解く
【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女70,000人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※サービスリニューアルに伴い、2025年5月掲載分より新データに切り替えています。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません
消費者の購買行動を俯瞰して捉えることのできる『SCIパノラマレポート』を販売中です。ご希望の方はこちらの資料ダウンロードのページよりお申し込みください。
【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2021年6月現在
【月次調査】
調査地域:全国
対象者条件:15-79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,000(1回あたり)
調査実施時期: 2022 年7月~ 各月第1週
※消費意欲、節約意識は1年前の同時期と比べた度合いを-5~+5の11段階で聴取
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(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)
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