【毎月更新】生活者のお金の使い方

この記事では、生活者のいまを映す最新データをお届けします。物価高や円安など、消費を取り巻く環境が変化する中、生活者のお金の使い方はどのように変化しているのでしょうか。物価動向、日常の買い物行動、消費マインドの最新データから読み解きます。
2025年3月のコメント:
2月は全国的に寒波の影響で寒い日が多く、3月に入ってからも雪が降る日がちらほらあり、まだまだ冬を感じる天候が続いておりました。3月も最終週に入り、ようやく暖かい気候を感じる今日この頃 ですが、早いところではそろそろ桜の開花を迎える地域もあるようです。
さて、今月もデータを振り返っていきましょう。
《物価の動き》
物価の上昇率は2024年10月以降継続して増加傾向にありましたが、1月中旬以降は徐々に落ち着きを見せています。
物価変動の構造(要因)をみると、既存商品間でより安いものを求めてスイッチする代替効果(継続商品)によるマイナスへの寄与が1月以降拡大しており、生活者の工夫による影響が見て取れます。
《買い物金額・買い物回数》
買い物金額は前年同月比101.0%とやや増加しています。前年のうるう年と比較して月の日数が1日少ない中での増加であり、ここ1年での値上げラッシュの影響をひしひしと感じる結果となりました。
チャネル別に見てみると、唯一コンビニが97.9%と前年より少なく、比較的単価の高いコンビニの利用を控える傾向が続いていると考えられます。
買い物回数については、ドラッグストア、通販・ネットはともに前年同月比102.5%と増加しています。前年より日数が少ない影響で直近ほどの伸びはありませんが、2チャネルの好調は引き続きのようです。
《市場動向・好調カテゴリ》
消費財の市場動向に目を向けてみましょう。例年2月はほとんどのカテゴリで市場縮小傾向にあり、今年も同様の傾向が見られました。一方、食品だけは前月水準を維持しており、前年同月と比較しても大幅に増加傾向にあります。米の価格高騰や他様々な食品カテゴリでの値上げが続いていることに加え、食費に関しては『もう仕方がない』 と受け入れる人が多いことが要因だと考えられます。
次に好調カテゴリを見てみると、防寒や乾燥対策のためのアイテムが多くランクインしていました。前年2月がかなり暖かく、降雪量も少なかった反動もあり前年比が大きく伸長していると考えられます。また、今年の2月は下旬でも寒い日が続いており、使い捨てカイロを買い足した人なども多いのではないでしょうか。
ハンド&スキンケアに関しては、保湿目的の商品に加え、ひび・あかぎれ・しもやけなどの症状をケアする商品の好調が見受けられました。チャネル別にみると、スーパーやドラッグストアでは絆創膏も好調品目としてあがっています。乾燥によるひび割れや、降雪によるしもやけ対策として、上記品目の需要が高まっていたことが如実に表れている結果となりました。
また、以前から着目している米に関してですが、2月は業態トータルで1位となっていました。価格高騰による影響は引き続きのようで、政府の備蓄米放出以降の動きに着目したいところです。
《消費意欲、お金をかけたいモノ・コト》
現在の節約意識は、先月比プラス0.15ポイントと大きく上昇しています。そのため、現在の消費意欲・今後の消費意欲ともにダウントレンドが続いています。値上げラッシュが続く中、何かと出費が増える 新生活へ向けて財布のひもをぎゅっと引き締める時期なのでしょうか。
お金をかけたいモノ・コトについては、3月は多くのジャンルでダウンもしくはステイの傾向にあります。そんな中でも、ライブ・映画鑑賞や趣味関連用品といった項目に対するポイントはスコアを上げており、節約生活を余儀なくされる中で、癒しの時間である趣味や娯楽にお金をかけたいと考える人が増えているのかもしれません。
春の行楽シーズンを迎える時期となりますが、旅行やお花見などへ向けてパーッと消費意欲が高まる雰囲気は現時点ではあまり感じられず、消費者の節約意識は高まる一方です。4月からは新生活を迎える方も多く、生活者を取り巻く環境が大きく変化する時期となります。引き続き、データとともに生活者のお金にまつわる意識や行動の変化をウォッチしていきましょう。
※次回のデータ・コメントの更新は4月を予定しています。
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データについて
【SRI一橋大学消費者物価指数】
一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構、全国スーパーマーケット協会と株式会社インテージとの共同プロジェクト「流通・消費・経済指標開発プロジェクト」の一環として作成している経済指標です。インテージのSRI+のデータを用いて消費財の物価の変動とその構造変化を可視化します。
物価の構造変化を「新旧商品入れ替え効果:新商品による影響」「価格変化効果:既存品の値上げ・値下げによる影響」「代替効果:既存品の中で消費者が購入商品をスイッチしたことによる影響」に分解することで、要因を捉えることができます。
こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。昨今の値上げで物価はどう動いている?マクロ視点で構造をひも解く
【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女53,600人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
SCI Shopper Indexデータは、このSCIで収集している消費財購入時のレシート情報を基に、日常の買い物金額や買い物頻度などを集計したものです。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません
【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2021年6月現在
【月次調査】
調査地域:全国
対象者条件:15-79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,000(1回あたり)
調査実施時期: 2022 年7月~ 各月第1週
※消費意欲、節約意識は1年前の同時期と比べた度合いを-5~+5の11段階で聴取
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(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)
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