【毎月更新】生活者のお金の使い方

この記事では、生活者のいまを映す最新データをお届けします。物価高や円安など、消費を取り巻く環境が変化する中、生活者のお金の使い方はどのように変化しているのでしょうか。物価動向、日常の買い物行動、消費マインドの最新データから読み解きます。
気温が一段と下がり、慌ただしい年末ムードが高まる12月。ボーナスやイベント需要がある一方で出費もかさみやすく、家計の引き締めも続きやすい時期 です。今月もデータから、その変化を詳しく見ていきましょう。
《物価の動き》
容量単価指数を見ると、12月は依然として高い水準にありつつも月内でやや落ち着きが見られました。トータルでは12月上旬から下旬にかけて緩やかに低下する傾向があります。 特にコンビニエンスストア(CVS)は下げ幅が大きくなっています。物価変動の構造に目を向けると、新旧入れ替え効果は下旬にかけて全体的に弱まり、特にCVSでの弱まりが目立ちました。年末は新商品起点の値上げが小さくなったと言えます。継続商品の価格変化効果は全体的に低下し、スーパー・CVSともに同様の傾向が見られました。
《買い物金額・買い物回数》
12月の生活者一人あたり買い物金額は前年比99.6%、買い物回数は前年比97.2%でした。11月は金額が前年比102.8%と伸びていたのに対し、12月は金額・回数ともに前年を下回っています。年末は出費が増えるイメージがありますが、今年は他の年末出費との優先順位付けや特売日に合わせた購入が進み、「必要な時に必要な分だけ」買う傾向が強まった結果、支出総額が伸びきらなかった可能性があります。
チャネル別に見ると、多少前年反動が見られつつもCVSの買い物金額が前年比102.0%と増加している点が目立ちます。特に60~70代のCVS利用は回数100.9%、金額107.0%といずれも前年を上回っています。寒さや感染症流行期には、近場で短時間に買い物を済ませたい需要が高まりやすく、生活動線上にあるCVSを利用する機会が増えたのかもしれません。
《市場動向・好調カテゴリ》
マーケットサイズを見ると、12月は前月から拡大しています。どの大分類も年末需要を背景に前月より市場規模が拡大しました。 一方でヘルスケアは他の大分類と比較すると12月の伸長は控えめで、前年同月との比較でも1724億円→1543億円と縮小しています。今年の12月は中国人訪日客の旅行キャンセルといったニュースもありましたが、インバウンド需要の変化や 、インフルエンザの早期流行による購入タイミングの前倒しが影響した可能性があります。
カテゴリ別に見ると、食品では「その他菓子」が好調でした。中でも数量・金額ともに目立ったのは、手頃な価格帯のスポンジケーキです。SNS上では、こうした商品を土台に材料を追加購入するなど、他の食材と組み合わせて自分好みに仕上げる“半手作り”のケーキでクリスマスを楽しむ動きも広がりました。
飲料では、インスタントコーヒー、レギュラーコーヒーなどが上位です。寒さが本格化する12月は、在宅時間の増加も含めてコーヒーなどの嗜好飲料が楽しまれたことが想像されますが、実態としては季節性以上に値上げの影響が色濃く表れていました。スーパーで上位に入ったココアも同様に、季節要因より価格要因の寄与が大きくなっています。
雑貨では、住居用クリーナーが複数チャネルでランクインしています。いわゆる年末大掃除の需要が、前年比でも強く表れた形です。今年の年末年始は年内の休みが多い9連休があったことも背景に、家族みんなで張り切って大掃除。少し高めの掃除用品を使ってみたら効果が段違いで、つい夢中になって掃除してしまう――そんな場面もあったかもしれません。
他にも、コンビニでは有名タレントとのコラボ商品展開の影響もあり、入浴剤が好調でした 。コラボ施策による注目度の向上が、普段は購入しない層の購買動機を喚起し、購入につながった可能性があります。
《消費意欲、お金をかけたいモノ・コト》
消費意識を見ると、11月から12月にかけて全体ではわずかに改善しています。現在の消費意欲はやや上向き、現在の節約意識は低下しました。今後の消費意欲も改善 しており、「節約は続けるが、年末くらいはちょっと贅沢も」といった心理が数字にも表れています。
年代別では20代の現在の消費意欲がプラスで、年末のイベント消費に前向きな様子が見えます。一方で同年代は節約意識も高めで、楽しみつつも財布のひもは緩めすぎないバランス志向がうかがえます。30代は節約意識が1.99→1.70と下がっており、帰省や家族行事など「抑えにくい支出」を受け入れる局面があったのかもしれません。
お金をかけたいモノ・コトでは、「食品」、「外食」が伸びています。加えて「アルコール飲料」も上昇し、忘年会・家飲み・ホームパーティーなど年末の場にちなんだ支出意向が強まりました。一方で「旅行&ドライブ」は低下しており、遠出よりも、近場や自宅での満足度を高める「身近な贅沢」が選ばれやすかったと考えられます。
12月のデータからは、物価上昇が続く中でも、月末にかけて価格指標がやや落ち着き、消費マインドもわずかに改善する様子が確認できました。一方で、買い物金額・回数は前年を下回っており、生活者は年末の出費全体の中で支出の優先順位を見極めつつ、引き締めの対象を「日常の買い物」に置くことで、年末であっても支出総額を過度に増やさない 慎重な姿勢を維持していると見られます。加えて、今年の年末年始は年内に休みが多い9連休があったことも背景に、支出の優先順位は人それぞれ異なりつつも、抑えるべき支出は抑え、使うべきところにはしっかり使う、メリハリのある消費が進んだと考えられます。
※次回のデータ・コメントの更新は2月を予定しています。
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データについて
【SRI一橋大学消費者物価指数】
一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構、全国スーパーマーケット協会と株式会社インテージとの共同プロジェクト「流通・消費・経済指標開発プロジェクト」の一環として作成している経済指標です。インテージのSRI+のデータを用いて消費財の物価の変動とその構造変化を可視化します。
物価の構造変化を「新旧商品入れ替え効果:新商品による影響」「価格変化効果:既存品の値上げ・値下げによる影響」「代替効果:既存品の中で消費者が購入商品をスイッチしたことによる影響」に分解することで、要因を捉えることができます。
こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。昨今の値上げで物価はどう動いている?マクロ視点で構造をひも解く
【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女70,000人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※サービスリニューアルに伴い、2025年5月掲載分より新データに切り替えています。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません
消費者の購買行動を俯瞰して捉えることのできる『SCIパノラマレポート』を販売中です。ご希望の方はこちらの資料ダウンロードのページよりお申し込みください。
【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2021年6月現在
【月次調査】
調査地域:全国
対象者条件:15-79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,000(1回あたり)
調査実施時期: 2022 年7月~ 各月第1週
※消費意欲、節約意識は1年前の同時期と比べた度合いを-5~+5の11段階で聴取
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(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)
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