【毎月更新】生活者のお金の使い方

この記事では、生活者のいまを映す最新データをお届けします。物価高や円安など、消費を取り巻く環境が変化する中、生活者のお金の使い方はどのように変化しているのでしょうか。物価動向、日常の買い物行動、消費マインドの最新データから読み解きます。
2026年3月の動き
例年よりも早く桜の開花が進んだ3月。各地で見ごろが前倒しとなり、春の訪れを実感する月となりました。一方で、イラン情勢を巡る国際情勢の緊張や、トランプ大統領をめぐる政治ニュースなど、国内外で注目を集める出来事も続いています。また、3月は新生活への準備が進む時期でもあります。こうした環境の中で消費行動にはどのような変化が見られたのでしょうか。今月もデータをもとに、詳しく見ていきましょう。
《物価の動き》
容量単価指数はトータル、スーパー、ドラッグストアにおいて、直近の2~3週間ではやや減少傾向となり、3%前後まで低下しました。しかし、より長い期間では、依然として概ね横ばいに推移しています。これに対し、コンビニエンスストアでは上昇傾向です。
それぞれの推移の背景を確認するために物価変動の構造を見ると、トータル、スーパー、ドラッグストアでは、価格変化効果(継続商品)および新旧入れ替え効果がやや減少傾向になっています。物価高の環境下において、生活者がセールをうまく活用し、安いタイミングでまとめ買いを行うなどの工夫が反映されている可能性があります。一方、コンビニエンスストアでは、新旧商品入れ替え効果の上昇が確認できます。新商品の価格が既存商品より高い傾向にあること、さらにそれらの商品が一定程度支持を得て販売されていることが、他チャネルとは異なる容量単価指数の動きにつながっている可能性が考えられます。
《買い物金額・買い物回数》
3月のトータルの買い物金額は前年比101.2%、買い物回数は98.9%となりました。買い物回数が減少する一方で金額は前年を上回っており、値上げの影響が表れている様子がうかがえます。チャネル別に見ると、買い物回数は、最も高いドラッグストアでも前年比100.3%にとどまり、全体的に来店頻度は抑制傾向にあると言えそうです。一方、買い物金額は通販・ネットを除く各チャネルで前年比1~4%程度上昇しており、価格上昇の影響が広く見られました。その中でも特に上昇が目立ったのは、ドラッグストアの前年比104.2%です。イラン情勢などを背景としたエネルギー価格への懸念から、ラッピングフィルムやアルミホイルといったナフサ関連製品の購入が増え、買い物金額を押し上げた可能性も考えられます。
《市場動向・好調カテゴリ》
2月とのに日数差もあり、3月は例年通り、すべてのカテゴリで2月よりマーケットサイズが拡大しました。中でも雑貨カテゴリの伸びは例年よりやや大きくなっています。チャネル別では、ドラッグストアとホームセンターにおける雑貨の伸びが顕著であり、トータルの雑貨市場の拡大にも大きく寄与したと考えられます。好調カテゴリを見ると、麦芽飲料とその他麺類が2026年1月から3か月連続で上位を占めました。また3位の玩具メーカー菓子では、3月に幅広い世代に認知のあるキャラクター系商品が発売され、ランキング入りに影響しました。 カテゴリ別では、雑貨で、食品包装用品、ラッピングフィルム、アルミホイルなどのナフサ関連製品のランクインが目立ち、中東情勢が生活者の購買選択に一定の影響を与えていることが見て取れます。また、別データである図1を見るとイランへの軍事攻撃をきっかけにティッシュペーパー・トイレットペーパーの販売金額の前年比が上昇する動きも確認されました。一時的な上昇であったため、好調カテゴリのランキングには入ってこなかったものの、石油調達が困難になることで紙製品が値上げされるというSNS上での情報拡散の影響により、販売金額が一時的に上昇したとみられます。一方、ヘルスケアのカテゴリでは、花粉の影響で3月に上位にランクインしてくることが多い鼻炎治療剤や、目薬のランクインがありません。今年は、花粉の飛散が例年より早かったことで需要が2月に前倒しされ、3月は購入済み商品の継続使用が中心になった可能性が考えられます。
図表1

《消費意欲、お金をかけたいモノ・コト》
消費意欲を見ると、3月から4月にかけて「現在の節約意識」が上昇する一方、「現在の消費意欲」「今後の消費意欲」は下降となりました。年代別では、特に20代と70代で同様の動きが顕著です。4月以降の値上げ見通しや、ゴールデンウィークに向けた支出準備など、複数の要因が影響している可能性があります。お金をかけたいモノ・コトでは、食品が3月から4月にかけて上昇しています。例年3月から4月の食品の推移は減少する傾向にありますが、今年は増加に転じています。ジャンルを飲食に絞って見ると、アルコール飲料や外食ではほぼ横ばいに推移しており、食品の上昇は物価高を背景とした自炊志向の強まりを反映している可能性がありそうです。
国内外の情勢変化や物価動向が生活者の行動や意識に少しずつ影響を与えている様子が、今回のデータから見えてきました。4月以降も幅広い品目で値上げが予定される中、生活者の消費行動が今後どのように変化していくのか注目されます。節約意識と必要な支出とのバランスを取りながら、生活者がどのような選択を重ねていくのか、引き続きデータを通じて見ていきたいと思います。
※次回のデータ・コメントの更新は5月を予定しています。
お金の使い方 最新データ
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データについて
【SRI一橋大学消費者物価指数】
一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構、全国スーパーマーケット協会と株式会社インテージとの共同プロジェクト「流通・消費・経済指標開発プロジェクト」の一環として作成している経済指標です。インテージのSRI+のデータを用いて消費財の物価の変動とその構造変化を可視化します。
物価の構造変化を「新旧商品入れ替え効果:新商品による影響」「価格変化効果:既存品の値上げ・値下げによる影響」「代替効果:既存品の中で消費者が購入商品をスイッチしたことによる影響」に分解することで、要因を捉えることができます。
こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。昨今の値上げで物価はどう動いている?マクロ視点で構造をひも解く
【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女70,000人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※サービスリニューアルに伴い、2025年5月掲載分より新データに切り替えています。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません
消費者の購買行動を俯瞰して捉えることのできる『SCIパノラマレポート』を販売中です。ご希望の方はこちらの資料ダウンロードのページよりお申し込みください。
【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2021年6月現在
【月次調査】
調査地域:全国
対象者条件:15-79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,000(1回あたり)
調査実施時期: 2022 年7月~ 各月第1週
※消費意欲、節約意識は1年前の同時期と比べた度合いを-5~+5の11段階で聴取
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(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)
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