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【毎月更新】生活者のお金の使い方

この記事では、生活者のいまを映す最新データをお届けします。物価高や円安など、消費を取り巻く環境が変化する中、生活者のお金の使い方はどのように変化しているのでしょうか。物価動向、日常の買い物行動、消費マインドの最新データから読み解きます。

平年よりも早く梅雨があけ、いよいよ夏本番。災害や選挙もあり、騒々しい夏の幕開けとなりました。物価高騰が続く日本ですが、生活者のお金の使い方はどうでしょうか。今月もデータを深掘りしていきましょう。

《物価の動き》
物価指数は全体では横ばい傾向ですが、チャネル別に見てみるとコンビニエンスストア(CVS)が先月に引き続き上昇傾向となっています。どのチャネルでも単月では上下に動きがありますが、全体的に緩やかな右肩上がりが続いています。物価変動の構造をみると、継続商品の価格上昇がみられ、代替効果の動きも停滞しています。日々の買い物で安い商品を探そうにも見つからない、そんな生活者の様子が浮かびます。

《買い物金額・買い物回数》
7月の買い物金額の前年比は101.5%、買い物回数の前年比は98.9%となっています。買い物回数は前年比マイナスであるのに対し、買い物金額は前年比プラスという結果から、買い物回数を減らして出費を抑えようとしても、支出がそれを上回るという厳しい状況が分かります。全チャネルの中で唯一「ドラッグストア」だけが買い物回数前年比101.0%となり、安売りを狙う生活者の意識が伺えます。また、早く訪れた梅雨明けによって日差しも強くなり、買い物自体を控えた家庭もあったのではないでしょうか。7月からさらに暑さが厳しくなった8月は、自宅で楽に買い物ができる「通販・ネット」での消費増が予感されます。

《市場動向・好調カテゴリ》
カテゴリ別の市場動向では、ヘルスケアカテゴリ以外は前年よりもマーケットサイズを拡大しています。特に夏場にピークが訪れる飲料については4月から綺麗な右肩上がりをしており、価格増に需要増が掛け合わされ、市場の動きに勢いすら感じます。ヘルスケアカテゴリは医薬品の減少が背景として考えられ、大きな影響力を持つインバウンド旅行者の動きが気になります。

好調カテゴリについては、引き続き米がどのチャネルでも高い順位にランクインしています。しかしチャネルトータルの前年比は昨月の173.9%から155.5%になり、備蓄米放出によりコメ全体の購入単価が下がったことによる影響が見られました。一方、コンビニエンスストア(CVS)では普段店頭はあまり見かけない米が販売されたことで、高い前年比となりました。

大分類「飲料」の2~3位にランクインしている「インスタントコーヒー」「レギュラーコーヒー」は、7月に大手メーカーが値上げしたことで前年比増となったことが考えられます。こういった嗜好飲料のジャンルは、価格が上がってもこだわりを変えることは難しく、値上げをしても他ブランドへのスイッチが生じにくいという嗜好品ジャンルならではの動きが見受けられました。

大分類「雑貨」の2位に入っている「その他男性用化粧品」には夏場の汗対策でよく見られるボディシートが含まれており、前年よりも10ポイント以上伸長していることからも、平年より早い梅雨明けによって差し込む日差しの過酷さが伺えます。雑貨分類では続いて洗濯用洗剤も前年比増加していて、汗によって増えた洗濯物によって生活者の洗濯回数が増え、需要増につながったのかもしれません。

《消費意欲、お金をかけたいモノ・コト》
消費意欲で「現在の節約意識」の項目をみると、5月から続く節約意識の低下が今月も見られます。また、「現在の消費意欲」は相変わらず「0」を下回っているものの、節約意識と反比例する形で緩やかに上昇しており、物価上昇が続く中で買い物金額は増えていき、強いられてきた節約意識がいよいよ緩和されつつある様子が伺えます。
お金をかけたいモノ・コトでは、先月同様「旅行・ドライブ」の上昇がみられました。お盆シーズンが近づいていることで、具体的に旅行の計画を立て始めた生活者も増えているのではないでしょうか。一方で昨年同月は回答比率が上昇していた「ライブ、映画鑑賞など」は大きく減少しています。夏は様々な会場で音楽フェスが開催され、ライブが多くなる季節ですが、過酷な猛暑と物価上昇が重なり、消極的な動きとなりました。

今月も様々なチャートで物価上昇の影響が表れる月となりました。
外は気持ちの良い晴天でも、財布の中身は厳しいと感じる人もいるのかもしれません。8月はさらに暑さが厳しくなりますが、お盆や夏休みでレジャーのイベントも多くなる時期です。支出と節約のバランスを取りながら、思い出になる夏となることを期待しています。

※次回のデータ・コメントの更新は9月を予定しています。

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著者プロフィール

脇田 光(わきた ひかる)プロフィール画像
脇田 光(わきた ひかる)
株式会社インテージ データマネジメント事業本部 リテールデータマネジメント部

2016年大学卒業後出版社の営業を経験、その後ネットリサーチを主力とした調査会社で集計業務に従事し、2022年2月にインテージに入社。
パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」でメディア操作ログのデータ管理を担当後、2025年7月からリテールデータマネジメント部に所属し、小売店POSデータの管理を担当。

株式会社インテージ データマネジメント事業本部 リテールデータマネジメント部

2016年大学卒業後出版社の営業を経験、その後ネットリサーチを主力とした調査会社で集計業務に従事し、2022年2月にインテージに入社。
パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」でメディア操作ログのデータ管理を担当後、2025年7月からリテールデータマネジメント部に所属し、小売店POSデータの管理を担当。

データについて

【SRI一橋大学消費者物価指数】
一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構、全国スーパーマーケット協会と株式会社インテージとの共同プロジェクト「流通・消費・経済指標開発プロジェクト」の一環として作成している経済指標です。インテージのSRI+のデータを用いて消費財の物価の変動とその構造変化を可視化します。
物価の構造変化を「新旧商品入れ替え効果:新商品による影響」「価格変化効果:既存品の値上げ・値下げによる影響」「代替効果:既存品の中で消費者が購入商品をスイッチしたことによる影響」に分解することで、要因を捉えることができます。
こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。昨今の値上げで物価はどう動いている?マクロ視点で構造をひも解く

【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女70,000人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※サービスリニューアルに伴い、2025年5月掲載分より新データに切り替えています。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません

消費者の購買行動を俯瞰して捉えることのできる『SCIパノラマレポート』を販売中です。ご希望の方はこちらの資料ダウンロードのページよりお申し込みください。

【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2021年6月現在

【月次調査】
調査地域:全国
対象者条件:15-79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,000(1回あたり)
調査実施時期: 2022 年7月~ 各月第1週
※消費意欲、節約意識は1年前の同時期と比べた度合いを-5~+5の11段階で聴取

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(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)

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