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サステナビリティ取り組み企業にはどんなイメージを持つようになる? ~生活者調査から見る、日本のサステナビリティの今③

2020年 2月19日(水)・20日(木)、「サステナブル・ブランド国際会議2020横浜」が、「Delivering the Good Life : “グッド・ライフ”の実現」をテーマにパシフィコ横浜にて開催されました。本会議にて、インテージは「常識と業界を飛び越えよ! #Brands For Good の戦略」と題されたセッションにて、日本の生活者のサステナブル行動や意識、サステナブルな取り組みを行っているブランドについて聴取した調査の結果を発表しました。

Intage知るGalleryでは、3回にわたって生活者調査の結果をご紹介します。「生活者調査から見る、日本のサステナビリティの今(第3回)」では、サステナビリティに取り組むブランドのイメージや、サステナビリティについての情報源、サステナブルな行動を推進する上でのコミュニケーションについての示唆をご紹介します。

※第1回「サステナブルな行動、どのくらいの人が行っている?」はこちらから
※第2回「サステナブルな商品/サービス、どんなものが使われている?」はこちらから

サステナブルな取り組みを行っていると認知している人は、ブランドに対して「好感」「社会に貢献している」イメージを持つ

サステナブルな取り組みを行うことにより、ブランドには何がもたらされるのでしょうか。全国15~69歳の男女3,206人を対象に行ったサステナビリティ行動や意識に関する生活者調査では、国内外15のブランドについて、そのブランドが「環境や社会に貢献する取り組みを行っていること」を認知しているか、そのブランドについてどんなイメージを持っているのかも聴取しました。

対象としたのは下記15ブランドです。※ブランドは、カナダのCorporate Knights社がまとめている「2020 Global 100 ranking」や経済産業省のSDGs経営/ESG投資研究会の委員、日経BPが実施した「環境ブランド調査」、サステナブルブランド国際会議などを参考に、国内外、業種などを考慮して選定しました。

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ブランドが「環境や社会に貢献する取り組みを行っていること」を知っている人は、そのブランドに対してどのようなイメージを持つようになるのでしょうか。全体の平均と比べてみたところ、多くのブランドで、「環境や社会に貢献する取り組みを行っていること」を知っている人の方が「好感が持てる」「社会に貢献している」というイメージを持つようになることが分かりました。

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【Super】層では、ブランドが「環境や社会に貢献する取り組みを行っていること」を知っていることで良いイメージが醸成される傾向が、より顕著に見られました。ブランドが「環境や社会に貢献する取り組みを行っていること」を知っている人は、そのブランドに対して「社会に貢献している」に加え、「独自性がある」「社会の変化に対応が早い」「国際的、グローバルな視野がある」「成長力がある」「応援したい」といったイメージも持つようになっています。

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情報源としてはマスメディアやウェブ上の記事、行動変化のきっかけとなるのはコミュニティなどの活動への参加

次に、生活者がどういった情報源を通じてサステナビリティに関する情報を得たり、発信したりしているのかを見てみましょう。情報源として、全体で多いのは「テレビを見る」「新聞や雑誌の記事を読む」といったマスメディアや「ウェブ上の記事を読む」です。

また、【Super】層では、家族や友人、同僚とサステナビリティについて話し合う人も比較的多く見られます。「生活者調査から見る、日本のサステナビリティの今(第2回)」でご紹介したように、自身が熱心にサステナブルな行動を実践するだけでなく、周囲にも影響を与えようとしている様子がうかがえます。

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一方、行動の変化を促すためには、違うアプローチが必要となるようです。「環境や社会によい行動を取るようになったきっかけ」を自由回答で聞いたところ、【Super】【High】層が挙げたのは、1位が「ゴミの分別」。2位に「ニュース/報道(テレビ、新聞)」が入っているものの、3位以下にも「リサイクル活動」「地域での活動(清掃など)/ボランティア活動」「ゴミ拾い活動」など「●●活動」が目立ちます。

サステナブルな行動を促すには、メディアを通じた情報提供だけでなく、自治体・地域のルールに基づく行動変化、周囲の人と一緒に何らかの行動を取るなど、「みんなで」「体を動かして」実際に何かをしてみることが重要なきっかけとなりそうです。

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サステナブルと感じた企業やブランドのコミュニケーション例

今回実施した生活者調査では、【Super】【High】層の一部を対象に、サステナブルと感じた企業やブランドのコミュニケーションについても記録をしてもらいました。その中から、今後への示唆をご紹介します。

シンプルで直感的に分かる、象徴的な取り組みが繰り返し登場。報道や広告、店頭などで繰り返し目/耳に入ることにより、意識・関心が高まり、当たり前化し、行動変化にもつながる可能性が。

サステナブルと感じた企業やブランドのコミュニケーションとして繰り返し登場したのは、「スターバックスの紙ストロー」「KITKATの紙パッケージ」「ユニクロの紙袋」でした。身近なブランドが発信する、直感的に「よいことをしている」と感じさせるシンプルなメッセージを、繰り返しメディアや店頭などで目にしたことにより意識・関心が高まった様子が見られました。単純化した直感的なメッセージには賛否両論あるかもしれませんが、今までの「当たり前」を変え、行動の変革を促す「入口」として有効な手段と言えるのではないでしょうか。

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接する頻度が高い小売は、サステナブルな行動を促し、習慣化する上で有力な接点となりそう

イオンは、「環境や社会に貢献する取り組みを行っていること」を知っている人が4割近くと多く、認知率4割超のトヨタ自動車に次いで2位でした。イオンが行っているサステナブルなコミュニケーションとして、下記で紹介しているサステナブルシーフードの推進に加え、レジ袋有料化や植樹活動、地域のボランティアを応援する「幸せの黄色いレシート」キャンペーンについての記録があり、日常の買い物に利用する小売店は、リアルな体験を通じてサステナブル意識を高め、行動変化を促す上で、重要な接点となりそうです。更に、買い物を通じて「自分も貢献している」と感じられることで、誇り・喜びも感じられている、という傾向が見られました。

また、ECサイトも「自分がよく利用する」という点では重要な接点であり、お気に入りのECサイトがサステナブルな取り組みを行っていることについては、リアル店舗と同様に参加意識と誇り・喜びが感じられている様子が見受けられました。

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サステナブル・ブランド国際会議では、アメリカを皮切りに「Brands for Good」という取り組みを始めています。これは、競合どうしの企業も含めて、さまざまな大手ブランドが連携して、サステナブルな未来を創るために、生活者の行動変化の助けとなる活動をしていこうというものです。「サステナブル・ブランド国際会議2020横浜」のセッション「常識と業界を飛び越えよ! #Brands For Good の戦略」で、同会議の創設者KoAnn Skrzyniarz 氏は「よい行動をしようと思っても、さまざまなメッセージが飛び交っていて生活者は混乱している。ブランドは協力して、共通の土台・共通言語を使って、コミュニケーションしていく必要がある」と提言しました。

気候変動や難民問題など、環境・社会課題への対応は待ったなしです。生活者自身にも行動の変化が求められますが、「生活者調査から見る、日本のサステナビリティの今(第2回)」でご紹介したように、どのブランドや商品/サービスが環境や社会によいのか分からない、市場で売られているとしても価格や店頭での取り扱いなど手に取ることが難しい、という状況がある中、商品開発・コミュニケーションの両面から、ブランドからのアクションが今まで以上に強く求められるようになりそうです。

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「生活者調査から見る、日本のサステナビリティの今(第2回)」では、サステナブルな行動レベルの高い【Super】【High】層の意識や価値観の特徴、利用されているサステナブルな商品やサービスの例を見ていきます。

分析に使用した自主企画のインターネット調査の概要は下記のとおりです。

調査地域:全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター(弊社キューモニター+提携モニター)」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017 年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=3,206
調査実施時期: 2020 年1月20 日(月)~2020 年1 月22日(水)

【日記調査】
上記の調査の調査対象者の中から【Super】【High】層103名分に調査を依頼、うち記録のあった75名の回答を分析に使用
調査実施時期:2020年1月25日(土)~2020年2月2日(日)

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