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生活者インデックスデータ

“巣ごもり効果減少VS気象” 新型コロナ第6波影響下の市場を読み解く~気象コンサルが解説!市場ホットトピック⑨

この【気象コンサルが解説!市場ホットトピック】は、一般財団法人 日本気象協会の松本健人氏が、気象データとインテージのデータを分析して、気象と消費の関係や、気温予測に基づいた商品需要などについて解説するコラムです。 ※この記事は、日本気象協会の「eco×ロジ」プロジェクトサイトの記事を一部編集して掲載したものです。

今回は、新型コロナ第6波の影響を受けながら寒さの続いた冬(12月-2月)の消費財市場と気象の関係を振り返ります。

気象データ×統計から“真の社会的要因”を解析

気象の世界では12月から2月が冬。今年の冬は北・東・西日本では、12月下旬から1月上旬に顕著な低温となるなど、冬らしい冬となりました。その後も、東・西日本では断続的に強い寒気が流れ込み、2月末にかけて低温傾向となりました。

一般的な気象に関するニュースでは、平均気温について「平年差(1991年-2020年の平均との差)」で報道されることが多いですが、製造業・小売業の皆様との取り組みにおいて、気象データを売上予測に活用する上では、「前年との違い」に着目していますので、ここでも前年と比較してみます。

前年2020年は12月中旬から強い寒波が南下しましたが、1月後半以降は気温が上昇し、2月は一転して高温傾向となりました。以下の図が日本列島の前年との傾向差です。12月は全国的に前年よりも高い、1月は北日本を除き前年より低く、2月は全国的に前年よりも著しく低い傾向となっていることがわかります。

また、過去2年間、消費動向に大きく影響を与えている新型コロナウイルスの感染状況は、12月までは落ち着いた状況が続きましたが、1月以降は感染力の強いオミクロン変異株の影響で、第6波と呼ばれる流行となりました。ただし、重症化率の低さなどから緊急事態宣言は発出されずにまん延防止等重点措置の発出が行われた地域が多くなり、人流も前年同時期よりも若干回復していました。消費者の新型コロナウイルスに対する恐怖心は徐々に和らぎ、「巣ごもり」などに代表される特異な消費行動なども落ち着きを見せた時期と言えるのではないでしょうか。

では、前年より低温傾向が続いたこの冬の消費は、気象や第6波の影響をどの程度受けていたのでしょうか。日本気象協会では、気象データを使って売上(インテージSRI+)を統計モデルでシミュレーションし、気象による変動要因の大きさと、社会的要因の大きさを推定する取り組みを行っています。ここからは、前年と比べて売り上げが伸びた商材と売り上げが落ち込んだ商材について、この気温要因と社会要因を見ていきましょう。 ※社会的要因とは、気温では説明できない何らかの売上変化要因を指し、C(社会要因)=A(売上前年比)-B(気温要因)で推定しています。

まずは、この冬に売上が伸びた商材です。

外出時に利用する「使い捨てカイロ」に注目すると、前年比120%の伸びとなっています。内訳を見てみると、気温要因が+10pt、社会要因は残りの+9ptと分析されます。この社会的要因として考えられるのが外出量の回復ですが、「外出量の回復と気温の低下が同程度寄与している」という点がポイントです。「リップクリーム」も同様で、前年比109%のうち、気温要因が+5pt、社会要因は残りの+4ptと分析されます。外出時にマスクをしつつも唇の乾燥を覚えるシチュエーションが増加していたことが伺えます。

一方、「ミネラルウォータ類」、「液体茶」などは前年比100%超となっていますが、これらは気温要因がマイナス、社会要因がプラスとなっています。外出の回復に伴って、持ち歩ける飲みもの自体の需要が伸びた一方で、寒い冬の影響で冷たい飲み物が伸び悩んだと言えそうです。

売上が落ち込んだ商材について同様に見てみると、「手洗い・アルコール消毒」、「巣ごもり」のようなコロナ禍を代表するような行動変容に関わる商材は、売上データ上落ち着いてきたことがわかります。「ハンド&スキンケア」は前年比99%と微減ですが、気温による押し上げ要因が4pt、社会要因が-5ptと分析されます。今年の冬は寒さや乾燥によって手荒れ・肌荒れが生じやすい状況でしたが、「手洗い・アルコール消毒」のしすぎによる手荒れの影響が購入を押し下げたと言えるでしょう。感染対策は継続しつつも、知らず知らずのうちに、頻度が落ちているのかもしれませんね。

同じく食品でも、前年は「巣ごもり」の影響を受けた「鍋つゆ」や「春雨&くず切り」、「シチュー」が、気温要因がプラス、社会要因がマイナス、となっています。大人数での居酒屋利用などはまだ自粛傾向が続いていますが、社会要因のマイナス傾向からは、少しずつ近所の飲食店など、家庭外で食事を取るシーンが増えていることが伺えます。

売上には、気象要因やコロナに伴う巣ごもり・値上げに伴う節約といった社会要因、そして価格やキャンペーンといった販促要因など、さまざまな要因が影響します。様々なデータを組み合わせて用いてこれらの構造を解明することで、より精緻な売上予測を行うことをおすすめします。


お天気マーケット予報サービス紹介
https://www.intage.co.jp/service/platform/sriplus/jwa-market/


著者プロフィール

一般財団法人 日本気象協会 コンサルタント 松本 健人(まつもと けんと)プロフィール画像
一般財団法人 日本気象協会 コンサルタント 松本 健人(まつもと けんと)
一般財団法人 日本気象協会 社会・防災事業部 気象デジタルサービス課 コンサルタント
技術士(経営工学部門-生産・物流マネジメント)
東京大学大学院工学系研究科社会基盤学(都市計画史)専攻修了。
防災系アプリケーションの開発・運用に携わった後、2015年に商品需要予測プロジェクトに加わる。これまで20社以上の食品・日用品企業の売上データ解析・顧客課題解決(在庫最適化・商談支援等)に取り組む。現在は製造業チームリーダーとして、気象データのビジネス利用の更なる拡大を進めている。

一般財団法人 日本気象協会 社会・防災事業部 気象デジタルサービス課 コンサルタント
技術士(経営工学部門-生産・物流マネジメント)
東京大学大学院工学系研究科社会基盤学(都市計画史)専攻修了。
防災系アプリケーションの開発・運用に携わった後、2015年に商品需要予測プロジェクトに加わる。これまで20社以上の食品・日用品企業の売上データ解析・顧客課題解決(在庫最適化・商談支援等)に取り組む。現在は製造業チームリーダーとして、気象データのビジネス利用の更なる拡大を進めている。

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