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SNSで変わるテレビ視聴 浸透どこまで?「ながら視聴」の実態を読み解く 前編

テレビをつけながら、気になる番組出演者の情報をスマホで調べてみたり、SNSで投稿をして番組にツッコミを入れたり。そんな視聴スタイルも、最近では珍しくなくなってきたのではないのでしょうか。

テレビ番組内でも、番組公式のハッシュタグが付けられたSNSの投稿が画面上に表示されるといった光景がよくみられるようになり、番組制作においてもSNSを用いて視聴者の関心を高めて継続的な視聴につなげたり番組への参加を促したりするような仕掛けが重要視されるようになってきていることが伺えます。

SNSを活用しながらテレビを楽しむ視聴スタイルは、近年ではどれほど浸透してきているのでしょうか。
インテージでは年1回、「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のモニターに対し、メディアとの付き合い方をアンケートにて聴取する「i-SSP Media Profiler」という調査を実施しています。今回はその回答データを用いて、視聴者から見たテレビ番組とSNSの関連性を調べてみました。

テレビと親和性の高い「Twitter」

図表1,2は、SNSの利用者にテレビ番組やCMの内容に関連してどのような使い方をしているかを調査した結果です。

図表1

図表2

主にTwitterで、約3割もの利用者がテレビ番組やCMについての情報検索や番組に関係した投稿をしていることが確認できます。このような行動はTwitter、Instagram、TikTok、Facebookの順となっており、Twitterが頭一つ抜けているような状態となっています。

具体的にTwitterでどんなことをしているのかを見ていくと、「テレビ番組についての他の人の投稿を見る」が18%と最も多くなっています。投稿はしなくても、他の視聴者が番組に対してどんな感想を持っているのか気になって調べる、そんな利用者が多いのかもしれません。
また「テレビ番組の内容や期待していること(楽しみにしていること)などを投稿する」も10%と、他の視聴者や公式アカウントの投稿を見ているだけには留まらず、自ら番組の内容について投稿を行う利用者も、他のSNSと比べると多くなっています。 必ずしも写真や動画を必要とせず、さらに匿名性が高いので気軽にテキストを投稿できるTwitterならではの特徴と言えそうです。

コロナ禍でさらに浸透したSNS×テレビ

ではこのような利用はいつごろから浸透が進んできたのでしょうか。図表3は過去5年間のTwitterの使い方の調査結果です。

図表3

最も多い使い方が「他の視聴者の投稿を見る」であるという傾向は、この5年間変わっていません。

また、全体的にどの使い方も右肩上がりで増えていますが、一部の使い方は2020年が最も多くなっています。この年は新型コロナウイルスの国内での感染拡大がはじまった年です。外出自粛によって在宅の時間が増加し、テレビを観る時間も増えたことが、Twitterと併せてテレビ番組を楽しむスタイルが浸透する追い風になったのかもしれません。
2021年は外出抑制効果も薄れてテレビを観る時間が減った影響もあるのか、低下に転じましたが、それでも2017年・2018年と比較すると確かに増加しています。

番組中に公式アカウントのIDや投稿用のハッシュタグが表示されるなど、テレビ番組の制作側でもSNSでの盛り上がりを意識した動きが強くなり、番組の公式アカウントを開設することが多くなってきた様に感じますが、実際利用者間でも公式アカウントやハッシュタグの情報をチェックする人の割合が高まってきています。ドラマやバラエティを見ながら公式アカウントの投稿を覗きにいったり、スポーツ番組でハッシュタグで視聴者の応援投稿を見たりした経験をした方もいるのではないのでしょうか。
2016年放送の「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)の恋ダンスが盛り上がったあたりから、ドラマとSNSが一体化した盛り上がりが話題に上るようになり、2019年放送の「あなたの番です」(日本テレビ)ではハッシュタグでの黒幕予想が盛り上がるなど、一気に浸透した感触がありますので、グラフの傾向とも一致しているような印象を受けます。

インスタでは主に公式情報をチェック

Twitterの他に、Instagramでも似た傾向の結果が出ています。

図表4

Twitterと同様に、全体的に右肩上がりとなっていますが、Instagramは公式アカウントなどで情報を調べる目的で使用されていることが多く、この使い方が増えていることがわかります。
投稿して番組を盛り上げたり、他の視聴者の感想をチェックしたりして番組の盛り上がり具合を見るというよりも、公式アカウントから発信される情報を主に楽しむという部分が、Twitterとは異なる点と言えそうです。

Instagramの特性上、画像や動画でのPRに特化しているため、番組との併用視聴というより、より深くそのコンテンツを楽しむためにオフショットや撮影風景を見たいという需要が表れているのではないでしょうか。

Twitter×テレビが特に活発なのは10代~30代女性 10代は「ながら視聴」も

テレビと絡めた活用が進んでいるTwitterですが、特にどの世代で活発になっているのでしょうか。図表5はTwitterの使い方を性年代別にみた結果です。(2021年度)

図表5

全体的に女性の方が、テレビ番組関連でTwitterを活用する人が多いことがわかります。中でも、昔からテレビ広告分野で重要視されてきたF1層(女性20歳~34歳)を含む、女性10代~30代の利用の割合が特に高くなっています。
Twitterでは男性アイドルグループのメンバーが出演する番組のハッシュタグがトレンド入りする光景もよくみられており、ファンの間での盛り上がりを見るために「他の人の投稿を見る」といった使い方が想定されます。女性の方がコンテンツを“みんなで楽しむ”志向が高いとも言えそうです。

また、男女10代に着目してみると、「テレビ番組を見ながら、その番組の公式アカウント/公式ページなどを同時に見る」という利用方法が他の世代と比較して高くなっています。 テレビコンテンツとネットコンテンツを同時に楽しめるというのは、彼ら彼女らが物心ついた頃からネットに触れてきたテックネイティブで、テレビだけでなく、スマホやタブレットなど複数のデバイスを同時に使い分けるといった「マルチタスク」に慣れていることが、背景として考えられます。

さいごに

テレビ番組を楽しむ上で欠かせない存在になっているSNS。
ここまで、「意識のデータ」であるアンケートの結果から、テレビ番組に関連したSNSの利用について分析してきました。

利用されているSNSはTwitterが一番多く、中でも10代~30代女性のTwitterユーザーの間で活発に使われていること、また、特に若い10代ではテレビ番組を視聴しながらTwitterで公式のネットコンテンツも同時に楽しむスタイルの浸透が進んでいることもわかりました。

ではどういったジャンルの番組がSNSと併せて楽しまれやすいのでしょうか。
次回の記事では引き続きインテージの保有する「行動ログ」のデータを使って、テレビ番組とSNSの関連性を紐解きつつ、番組視聴につながる効果的なSNSの活用を行う上でのポイントなどについて考察していきます。


【i-SSP®Media Profiler】
全国のパネルモニター(i-SSPでログ収集に協力)15~69歳の男女14000人からライフスタイル・オフラインメディア利用・メディア利用意識 を聴取しています。i-SSPログからわかるTV・PC・Mobileの利用傾向と組み合わせることで、より統合的な生活者のプロファイリング・効果測定が可能です。

調査対象者:調査実施時i-SSP協力者(15~69歳男女個人)
調査手法:インターネット調査
調査時期:2021年5月31日(月)~6月17日(木)
回収サンプル数:13994s

著者プロフィール

事業開発本部 次世代消費者パネル事業開発部 太田 卓(おおた すぐる)プロフィール画像
事業開発本部 次世代消費者パネル事業開発部 太田 卓(おおた すぐる)
2015年大学卒業後、地方テレビ局に入社。報道制作局と編成局にてニュース取材や番組編成に携わる。2019年にインテージ入社後は、スマートテレビ視聴ログを用いた商品「Media Gauge」の営業支援を通じて、視聴データの活用支援に従事。2020年からはパネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のテレビ領域の運用担当として、調査運用の適正化に携わるほか、全国のパネルモニターを対象としたメディア利用意識や生活価値観などを聴取するインテージ自主企画調査を担当。

趣味はスキューバダイビング、音楽鑑賞、ラジオなど

2015年大学卒業後、地方テレビ局に入社。報道制作局と編成局にてニュース取材や番組編成に携わる。2019年にインテージ入社後は、スマートテレビ視聴ログを用いた商品「Media Gauge」の営業支援を通じて、視聴データの活用支援に従事。2020年からはパネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のテレビ領域の運用担当として、調査運用の適正化に携わるほか、全国のパネルモニターを対象としたメディア利用意識や生活価値観などを聴取するインテージ自主企画調査を担当。

趣味はスキューバダイビング、音楽鑑賞、ラジオなど

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