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コロナ禍2年目 消費財市場の動向は? 2021年の売れたものランキング

コロナ禍2年目となった2021年、今年はどのようなものが売れたのでしょうか。 全国約6,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+®(全国小売店パネル調査)で、日用消費財の中で何が特に売れたのかを振り返ります。

上位に多数見られた“健康系”食品・飲料カテゴリー 前年比約3倍で1位となったのは?

図表1は、今年10月までの販売金額の前年比のランキングです。

図表1

1位はオートミールで、前年比291%。今年を象徴する商品となりました。欧米などでは一般的ながら、日本では定着していない印象がありましたが、長引くコロナ禍で健康志向が高まり、家庭の食卓も大きく変化しました。
食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素が豊富で、低カロリーなのが好評で、一気に存在感を増しました。牛乳で煮るというオーソドックスな食べ方から一転、今年は様々な調理方法が紹介され、「米化」といわれる主食として米のように食べる方法のほか、ハンバーグに混ぜるなどおかずに使う、デザートに使うなど幅広い利用方法が紹介されました。

図表2はオートミールの購入率の変化です。各年1-10月の10カ月間で1回以上オートミールを買った人の割合を示しています。男女ともに2021年に急上昇していますが、特に健康や美容に敏感な女性で、2年前の約10倍にまで伸びる結果となりました。女性の年代別に見ると、2020年の段階では情報感度の高い15-29歳の購入率が最も大きかったところ、2021年には幅広いメディアでダイエットや美容への効果が取り上げられたためか、30-49歳や50-64歳の中高年層の購入率が他の年代よりも大きくなっています。

図表2

他にも、上位には健康系食品が目立ちます。貧血予防や体力増強などでSNSで話題になり、品薄がニュースにもなった2位の麦芽飲料、美容やダイエットを期待し女性を中心に人気だった4位のプロテイン粉末も続伸しました。両商品ともコロナ前の2019年に比べて市場規模は約2倍、店舗などでも目にする機会が格段に増えてきました。13位の栄養バランス食品は、プロテインバーがとりわけ好調となりました。

また、ランクインした飲料にも、健康意識が反映されています。8位のノンアルコール飲料は、家でお酒を飲む機会が増える中、健康に気を使う層に受け入れられたようです。11位のビール(発泡酒・新ジャンルを除く)も、前年10月の酒税法改正による値下げ効果があったほか、糖質ゼロ系の好調が見て取れました。

コロナ禍2年目 続くセルフケア需要とワクチン対策

続いて、健康系食品・飲料以外の上位カテゴリーを見てみましょう。昨年から好調が続く3位の玩具メーカー菓子は今年も前年比137%と伸長しています。「鬼滅の刃」などの複数のコンテンツが力強いこともあり好調を持続しました。

また、くせ毛対策や仕上がりへの効果を訴求する商品などが好調な6位のヘアトリートメント、10位の血圧計などは、以前より外出が難しくなったことで生まれた、家でのヘルスケア需要を取り込みました。

同様に、コロナ禍ならではの理由でランキングしたのが7位の解熱鎮痛剤です。新型コロナウイルスのワクチン接種時の副反応対策として需要が高まりました。今年の5月から65歳以上の高齢者へのワクチン接種が優先して進められたことで、65-79歳の解熱鎮痛剤の購入金額は、前年比で322%まで伸長しました(図表3)。

図表3

おうち時間が増えた影響もみられます。9位の冷凍水産は、様々な料理にアレンジして使用できる手軽さや保存のしやすさなどが好評で、2019年に比べると176%と大きく市場規模を伸ばしています。内食の機会が増えた食卓を支えている様子がうかがえます。また、ランク外ですが、17位には入浴剤(108%)、23位には園芸用品(107%)が入っていました。おうち時間を楽しめるようにするこれらの商品は、昨年に続いて好調で、市場もコロナ前の約2割増となっています。

そして、5位にランクインした、衣類のしわを取るしわ取り剤。昨年より外出機会が増えたことや、除菌効果をうたった新商品が投入されたことが背景にあります。こちらは感染対策に気をつけつつ、日常を少しずつ取り戻そうという、コロナ禍2年目ならではの傾向と言えそうです。

昨年苦戦した化粧品、医薬品の一部に回復の兆し

昨年の行動変容を象徴する商品の1つが、めまいなどの症状を抑える薬である鎮暈剤(ちんうんざい)。酔い止めも含むこのカテゴリーは、旅行などが敬遠され2020年はコロナ前の約半分(55%)にまで落ち込んでいましたが、今年は14位で、前年比111%と回復する傾向が見られました。2019年に比べれば、まだ6割程度ですが、プラスに転じたことは人々の行動変化の現れといえるでしょう。鎮暈剤は2021年10月に緊急事態宣言が解除されたことで、再度販売の伸びも見られています(図表4)。
15位のテーピングも外での運動機会が前年よりも増えた影響と推察されます。同じく花粉症用としても使用される鼻炎治療剤は12位。今年は昨年に比べて花粉が多かったこともありますが、前年と比べて外出の機会が増えていることも要因として挙げられます。

図表4

ランク外とはなりますが、医薬品同様に昨年落ち込んだ化粧品にも変化がみられています。アイメイクに用いられる眉目料が前年比107%で21位、、化粧を落とすときに使われるクレンジングが前年比107%で22位。これらもコロナ前の水準までは回復していないものの、下げ止まりの兆しが見られました。
同じジャンルでも、総合感冒薬やマスクで隠れてしまう口紅など、回復が遅れているものについては、近日中に掲載予定の「2021年、販売苦戦したランキング」で詳細について触れます。

2020年の上位を独占したマスク、殺菌消毒剤はいま

ここで、コロナ禍1年目の2020年のランキングを振り返ってみましょう(図表5)。上位に入っていたマスク、殺菌消毒剤、体温計、うがい薬といった衛生系用品は今年は姿を消しました。ただ、昨年前年比4倍以上の売り上げとなったマスクは、今も人々の生活の必需品となっています。その他の衛生系用品も同様にコロナ前に比べれば大きく伸びており、Withコロナ時代においては欠かせないものといえます。
また、プレミックスやホイップクリームなどに代表されるお家でのお菓子作りの材料などについても、前年に急伸した反動で今年は前年割れとなりましたが、コロナ前の水準は上回っています。

図表5

コロナの影響で生活が激変した2020年。その影響を引きずりつつ人々も行動を変容させ、2021年は新たなトレンドが見られました。一方で、行動変容を受け苦戦が続くものや、昨年売り上げが大きく伸長したため反動が見られたものなどもあります。それらのデータが入った「2021年、販売苦戦したランキング」も近日中に発表する予定です。

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【SRI+®(全国小売店パネル調査)】国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2021年12月現在

SCI®(全国消費者パネル調査)
全国15歳~79歳の男女52,500人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません

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