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クリスマス消費が静かに変化?~2025年クリスマス事情

物価高や節約志向が続く中、生活者は今年のクリスマスをどのように過ごすのでしょうか。クリスマスにかける予算や予定していること、予定のない理由や料理・ケーキについて、全国の15歳から79歳の男女(5000人)を対象に調査を行いました。

1. 今年のクリスマス予算は平均16,418円、市場規模は7,274億円

今年のクリスマス予算は平均16,418円で、前年比100.5%とほぼ横ばいでした。一昨年(2023年:22,588円)からは水準が低下したまま足踏みしており、物価高騰を踏まえると、実質的な支出は抑制傾向にあると言えます。
この背景としては、実質賃金の伸び悩みや生活必需品の価格上昇に加え、エネルギーコスト上昇なども要因となった生活防衛意識の定着が考えられます。生活者は「非必需支出」の見直しを継続しており、季節イベントの中でも従来盛り上がりを見せていたクリスマス関連消費でさえも、その影響から脱しきれていない状況です。また、前年に続いてイブ・クリスマスとも平日であることも一因と考えられます(図表1)。
なお、平均予算をもとに15~79歳の推定人口(※)から今年の市場規模を試算したところ、7,274億円(前年比94.2%)となりました。この結果は「予定なし」回答者増加の影響も大きく、次から詳細に見ていきます。
※使用した推定人口は、2020年の国勢調査データをもとに人口動態などを加味したインテージ独自の母集団人口データ

図表1

クリスマスの予算 経年比較

2. 市場規模の減少要因「予定なし」過去最高の54.1%、イベント縮小傾向

クリスマスのイベント予定を具体的に見ると、「予定はない」と回答した人は54.1%で、前年(51.1%)から3ポイント増加。調査開始以来で最も高い水準です。さらに、予定あり層の中でも行動は縮小傾向にあり、「プレゼントを購入(自分用含む)」は前年27.4%から26.0%に、「自宅でパーティー」も25.6%から24.2%に減少しました。
こうした結果から、“イベント全体の縮小”傾向が示唆されており、節約志向に加え、特別なイベントより日常の安定を重視する動きが強まっているのかもしれません(図表2)。

図表2

クリスマス 贈り物、パーティー、外出などイベント予定

3. なぜ「予定なし」?興味・節約…子育て世帯の負担感も

それでは、なぜ予定のない人が増えているのか、その理由(複数選択で聴取)を見ていきます。クリスマスに予定がない理由のトップは「興味がない・習慣がない」(31.1%)、次いで「お金をかけたくない・節約したい」(16.2%)。「一緒に過ごす相手がいない」や「仕事・学業などがある」も上位でした。
なお、末子が高校生相当以下の世帯では、予定なし層は1割程度でしたが、その理由を見てみると「お金をかけたくない・節約したい」が21.5%とTOTALよりも5ポイント高く、経済的負担回避の意識が強いことがうかがえます(図表3)。

図表3

クリスマスに予定がない理由

4. ケーキ需要は底堅く、過ごし方は“自宅中心”

予定なし層が増え、予定あり層の行動も縮小傾向が見られる中、イベントの象徴ともいえるクリスマスケーキや料理の消費動向はどのような状況でしょうか。データを見ていきます。

アンケートでは過ごし方(ケーキ、料理、飾りつけなど)も聴取しており、その中で「ケーキを食べる」と回答した人は全体の40.6%で前年(40.0%)とほぼ変動がありません。イベント行動が縮小する中でもケーキの底堅い需要が見られました。ケーキ購入予算としては「3,000~3,999円」が最も多く29.7%、次いで「2,000~2,999円」(20.1%)、「4,000~4,999円」(17.0%)と続き、前年と比べて大きな変化はありません。高価格帯(5,000円以上)は12.2%で、前年(12.4%)からほぼ横ばいです(図表4)。“平日なので派手なことはできないがせめてケーキを”といった生活者も少なくないのかもしれません。

図表4

クリスマスケーキ購入予算

今年クリスマス料理やケーキを食べる日(予定)として最も多かったのは「12月24日(水)」(57.9%)、次いで「12月25日(木)」(21.3%)でした。週末の20日(土)・21日(日)にも一定の需要(11.5%)は見られるものの、消費は平日である24・25日に集中しています。

これは、カレンダー要因による「前倒し消費」が限定的で、外食や旅行などの高額消費が起きにくい構造になっていることを示しています。またこの傾向は、クリスマスの過ごし方が「自宅中心・低コスト」へシフトしている背景とも一致しています。以上のことから、2025年におけるクリスマスの食関連消費は、一定の需要を維持しつつも、全体的には「短期間集中」「中価格帯中心」という特徴がうかがえます(図表5)。

図表5

クリスマス料理やケーキを食べる日(予定)

クリスマスは、かつての「特別な一日」から「静かな日常の延長」へと変わりつつあります。華やかさよりも、無理をしない過ごし方を選ぶ人が増えているのは、今の暮らし方や価値観を映す鏡かもしれません。イベントの意味合いが変わる中で、企業やブランドに求められることも変化しつつあり、今は、その転換点にあると言えそうです。

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著者プロフィール

依田 亜矢香
株式会社インテージの市場アナリスト兼広報担当として勤務。消費者行動と市場動向の分析を専門とし、特に季節イベント・社会課題分野で多くのプロジェクトに携わる。主婦・生活者としての視点も活かしながら、日々の暮らしに根ざしたリアルな消費者インサイトを探求。プライベートでは2児の母。

株式会社インテージの市場アナリスト兼広報担当として勤務。消費者行動と市場動向の分析を専門とし、特に季節イベント・社会課題分野で多くのプロジェクトに携わる。主婦・生活者としての視点も活かしながら、日々の暮らしに根ざしたリアルな消費者インサイトを探求。プライベートでは2児の母。

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