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生活者インデックスデータ

n=1からみる令和の新ライフスタイル Case4:30代女性Dさん

みなさんは「ペット」と聞いて、どんな動物を想像しますか。犬や猫、鳥はもちろん、最近ではYouTubeなどでも珍しいペットとの暮らしを垣間見ることができます。「ペットは家族」という価値観が浸透していますが、私たち人間にとってのペットの始まりは、犬だったそうです。狩猟のパートナーや番犬として共存してきた歴史を持ち、現代では、犬の室内飼いが増えたことでペットの家族化が加速しました。

そしてコロナ禍では、在宅時間の増加に伴い、ペットを新たに迎え入れたり、ペットと過ごす時間が多くなった人が増え、人とペットとの関係性はより深まっているようです。

インテージクオリスでは、コロナ禍によって生じた意識や行動の変化を探るため、複数の方にオンラインインタビューにご協力いただきました。今回のテーマは「ペット」です。ブタをお迎えし、幸せいっぱいの30代女性Dさんのお話を紹介します。一言で「ブタ」といっても、2019年に日本に初上陸したマイクロブタです。動物好きな方なら「マイクロブタカフェ」なんて聞いたこと、行ったことがあるかもしれませんね。マイクロブタカフェはコロナ禍でも全国に拡大中です。コロナ禍でのトレンドともいうべき「マイクロブタ」が家族になったら、どんなライフスタイル・価値観の変化が起きるのでしょうか。

ブタ愛好家で共働きの30代女性、コロナ禍に働き方を見直す

まず、Dさんの紹介です。Dさんは、首都圏在住の30代後半の女性です。共働きの夫婦二人暮らしで、福祉に関する講師をされています。趣味は旅行や美術館巡りだそうですが、なによりも無類のブタ好きで、ブタへの愛に満ちた人生を歩んでいらっしゃいました。高校時代にテレビでブタにハーネスをつけて散歩する人の映像をみて以来、ブタとの暮らしに憧れ、ブタグッズを集め続け、オフの日には牧場でブタと触れ合い、どこぞで「子豚が生まれた」と聞けば全国各地に馳せ参じる熱狂ぶり。夫婦そろって動物好きで、恋人時代から牧場にも一緒に行っていたというから、「ブタをお迎えして幸せいっぱい」という現状も頷けます。とは言え、コロナ禍にDさんに起きた変化は、単に「大好きなブタがいるから幸せ」というだけではありません。

実はDさん、コロナ禍に職場を変えずに、正社員からパートへと働き方を変えています。その背景には、コロナ対策での業務のやりにくさや、職場での悩みも増えたことに加えて、念願のマイクロブタをお迎えしたことで、家族との時間をもっと増やしたいと強く感じ始めたことも大きかったそうです。

Dさんは、コロナ前は残業が常態化し、深夜帰宅も当たり前なハードワーカーでした。夫婦そろって同じような働き方だったため、お互いに帰宅してもしなくても関与しないような生活を送っていたそうです。そうした中、コロナ禍に職場の営業時間短縮で帰宅後に自分の時間をとれるようになり、ご主人も在宅ワークとなったことで、少しずつ自分の時間、家族の時間を意識するようになったようです。

そして、コロナ禍の2020年11月にマイクロブタを家にお迎えしました。実はマイクロブタは、コロナ前に1年待ちで予約を入れていました。ハードワークをしていた時に、自宅で飼いやすいマイクロブタの日本での販売情報を手に入れ、居ても立っても居られず購入予約をしたそうです。仕事をしながらのブタのお世話に不安はあったものの、「飼えばどうにかなる!」という判断でした。そんな中でコロナ禍に突入し、少し早めに家に帰るようになったことで気持ちの変化もあり、「もっとマイクロブタと一緒に過ごしたい」という気持ちも益々募ったそうです。そうしたことから、働き方を正社員からパートへと変更されました。

コロナ禍でのDさんの生活は、「マイクロブタ」と「働き方」での出来事を軸に、ハードワークな夜型生活から、自分の時間を持ち、朝早くに起きてマイクロブタと過ごすような規則正しい生活へとシフトしていました。さらに、こうした生活の変化が「家族との過ごし方」「人付き合い」「食」といった3つの面にも波及し、Dさんはコロナ禍において「“幸せ”と言葉に出して言うようになった。今まで“楽しい”とかは言っていたけど、“幸せ”とは言わなかった。“幸せ”と口にすることでポジティブになるし、日々の生活に満足感がある」というように、QOLが大きく向上しています。

働き方で変わる「家族との過ごし方」、マイクロブタとの暮らしで変わる「人付き合い」「食」

Dさんの「幸せ」の中心には、もちろん、長年の夢「ブタとの暮らし」の実現がありますが、先ほど挙げた「家族との過ごし方」「人付き合い」「食」の3つの面での変化も、心身の充足を大きく後押ししています。

「家族との過ごし方」では、前述のようにDさんの働き方の変更だけでなく、ご主人がリモートワークになった影響もありますが、週5日は一緒に昼食をとるようになったとのこと。それまで10年近く、お互い深夜帰宅で顔を合わせないことも珍しくないような生活を送っていたそうです。しかし、ハードワークを止めたことで、今では、自分の時間も家族との時間も増えて、穏やかな気持ちで過ごせるようになりました。

また、「人付き合い」では、近所にしか出かけず友達とも会わなくなっていたそうですが、マイクロブタつながりでSNSや近所での知り合いが増え、寧ろ人と関わる機会は増えていきました。

SNSは、マイクロブタに関する情報源として最も有益だそうで、困りごとや解決策などを飼い主同士で共有しているそうです。そこで出会った近場の人と会い、情報交換したりもしていました。近所の知り合いでは、ブタを散歩する際に、物珍しさから声をかけてくる人も多く、また散歩中の犬がマイクロブタに集まってくることで、近所の犬の飼い主たちとも仲良くなっているそうです。この人付き合いの広がりは、マイクロブタが目新しいペットということ、ハーネスをつけて散歩できるという特徴もありそうです。Dさんは、「散歩に行って誰かとお喋りするというのは初めて」と顔をほころばせます。

そして「食」では、外食の減少や時間的余裕から自炊が増えたことはもちろん、マイクロブタの食事面から普段の野菜や果物の選び方、買う場所が変わっていきました。

マイクロブタの食事は、専用フードと、Dさんが口にするものと同じ野菜や果物になります。マイクロブタの健康を気遣うことで「無農薬」「無添加」のものや、栄養価が高く価格も安い「旬」のものをできるだけ選ぶようになっていました。マイクロブタを飼う前は気にしていなかったことに目が向き始めたのは、人とペットが同じ野菜や果物を食べるからこそ、我が子と同様に「体に良いものを食べさせたい」という気持ちは強くなるのかもしれません。Dさん自身も「良いものを食べている」という気持ちの面での満足感があり、食生活が豊かになったと感じています。

こうしたことを意識することで、買う場所としても、スーパーよりも直売所や近所の八百屋を利用するようになったといいます。八百屋では、要らない大根の葉っぱをもらったり、マイクロブタを通じた店員さんとの交流も魅力の一つになっていました。

「ブタとの暮らしは50代くらいから」の夢が急遽実現、マイクロブタの魅力とは

さて、ここからはDさんのお話をもとに、コロナ禍でマイクロブタが人気の理由についても考えてみます。

マイクロブタは、ミニブタよりも小さいサイズのブタのことを指し、大人になっても大体20~30kgと中型犬くらいの大きさだそうです。実はDさんにとっての「ブタとの暮らし」の1番のネックがサイズでした。ミニブタでも80kgほどに成長することもあり、仕事をしながらの世話は難しいため、「リタイア後の50代くらいから飼えるといいな」とずっと考えていたそうです。そんなDさんの夢は、マイクロブタの日本上陸により、大幅に前倒しで実現することになりました。ちなみに、ペットとはいえ、ブタは「家畜」に分類されることから飼育許可が必要です。

Dさんは、マイクロブタの魅力として、見た目やサイズ感だけでなく、「犬と猫のあいだくらい」の育てやすさという点を挙げています。マイクロブタは、自分の名前やお手、トイレの場所を覚えたりなど犬と同じようなことができる賢さがあるそうです。それでいて、日中はよく寝て放っておけるので猫と同じような距離感で過ごせるため、朝夕の1日2回の食事の時間さえ厳守できれば、仕事をしながらも一緒に生活しやすいそうです。また、生活用品は犬用でカバーでき、専用フードもマイクロブタカフェで入手できるため、生活面では困らないとのこと。マーケットの大きい犬用で代用できるのは、ポイントが高いですね。

一方で、注意点としては、鼻と口でなんでも器用に調べるので、かじって壊しやすい素材の家具は置けません。また、雑草でもなんでも食べるため、観葉植物や家庭菜園は難しくなるそうです。そしてなにより、犬猫のように保険や病院、預かりサービスなどが充実していないため、いざという時の「医療資金」を備えておく必要があります。

Dさんは、マイクロブタを飼うのに向いている人として「お金と時間のある人」と断言しました。この「お金」の筆頭は医療資金であり、「時間」はマイクロブタの食事に合わせられる生活スタイルということでした。マイクロブタに限らずペット全般に言えるかもしれませんが、Dさんもマイクロブタの食事や運動(散歩)のお世話をするようになったことで、より規則正しく健康的な生活になったといいます。

まとめ:コロナ禍は「自分にとって心地よい時間、大事なことはなにか」と向き合い行動する転換期

Dさんは、コロナ禍にマイクロブタと暮らし始め、働き方を変えてワークライフバランスを整え、健やかで規則正しい生活を送るようになっていました。コロナ前に予約購入したマイクロブタがその原動力であるものの、コロナ禍に自宅で過ごす時間、家族とのコミュニケーションが増えたことから、意識が変わってきたということが分かります。n=1ではありますが、コロナ禍での社会的な変化は、個々人が「自分にとって心地よい時間、大事なことはなにか」ということを考え、行動に移していく転換期になっているようです。

次回は40代女性のEさんのインタビュー結果をお届けします。


今回の分析は下記の設計で実施した株式会社インテージクオリス・株式会社インテージの共同自主企画の調査結果をもとに行いました。
・調査主体:株式会社インテージクオリス・株式会社インテージ
・調査実施日:2022年1月~2月
・調査対象者:国内(主に首都圏)在住の20~60代男女10名
・調査手法:デプスインタビュー(オンライン)※WEB環境を利用し、会場に集まらなくても任意の場所からオンラインでインタビューを行う手法です。自宅でインタビューを行うケースが多く、リラックスして参加できるので、よりリアルな消費者の声がみえてきます。

インタビューに先立ち実施したアンケート調査結果に関する記事も掲載していますので、あわせてご覧ください。

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著者プロフィール

株式会社インテージクオリス リサーチ推進部 リサーチャー 太田 優香(おおた ゆか)プロフィール画像
株式会社インテージクオリス リサーチ推進部 リサーチャー 太田 優香(おおた ゆか)
日用品・化粧品業界の業界紙記者を経て、2019年10月にクオリスに入社。商品開発や販売、営業などの現場の方から経営陣まで幅広い取材経験を活かして分析・レポート作成に従事し、2021年春からモデレーターとしてもスタートしています。最近結婚したことで、ものの見方や感じ方は十人十色と改めて感じています。

日用品・化粧品業界の業界紙記者を経て、2019年10月にクオリスに入社。商品開発や販売、営業などの現場の方から経営陣まで幅広い取材経験を活かして分析・レポート作成に従事し、2021年春からモデレーターとしてもスタートしています。最近結婚したことで、ものの見方や感じ方は十人十色と改めて感じています。

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