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新型コロナウイルス対策-働く20代の意識とは?

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止に向けて、4月7日に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に緊急事態宣言が出されてから、4月28日で3週間。諸外国での法的強制力を伴う「ロックダウン」とは違い、日本では「自粛要請」に留まっているため、なかなか人混みが減らないといった報道を目にすることも少なくありません。特に外出自粛要請が出された当初は、若者世代の意識の低さを指摘する報道が目立ちました。また、欧米で高齢者だけでなく若年層の重篤化や死亡の報告が増えていることも報道されています。

そんな中、首都圏在住の働く20代はどのような不安・危機感を感じているのか、男女6名を対象に、オンラインインタビューを行いました。彼らが、何をきっかけに危機意識・対策意識が高まっていったのか、また、在宅勤務や“おうち時間”の過ごし方から、外出自粛期間を前向きに過ごすためのヒントなどもご紹介していきます。

今回お話を聞いた6名をご紹介

感染拡大に対して「危機感を感じている」「積極的に対策をしている」の両方について「とても当てはまる」と回答、かつ「外出自粛」「3密を避ける」「手洗い・うがい消毒」など具体的な対策を日常的にしている20代の働く男女:

家族や周囲への感染拡大や収入面に不安を感じている

ではまず、彼らがどのような不安や危機感を感じているのかをみてみましょう。ポイント1.png

インタビューには、感染拡大への危機感があり、積極的に対策をしている方たちに参加いただいたので、みなさん外出を避け、手洗い・うがい・マスク着用を徹底するなどの感染対策をしっかり行っていました。

もちろん「自分が感染しないように」という目的ではありますが、その先にあるのは、自身が重症化することへの恐れというよりも、気づかないうちに周囲の、主に中高年の身内や同僚などにうつさないようにしたい、という気持ちの方が強く表れていました。“若年層は重症化しない”という情報もありましたが、若く健康に自信があったり、まだ深刻な病気にかかったりしたことがないため、自身の健康状態が大きく損なわれることを想像できていない様子がうかがえました。これは「20代」という年代ゆえの要素であり、この年代共通の傾向と言えそうです。従って、重症化リスクの高い年代に比べると、どうしても危機意識が低めになる傾向があったのかもしれません。

とはいえ、感染対策、特に「外出自粛」に関しては、必ずしも不安・危機意識に根差しているだけではありませんでした。“外出を我慢する”のではなく、資格や投資の勉強を始めることで時間を有効活用しようとしていたり、SNSで目にした“おうち時間の過ごし方”を真似してみたりと、とても前向きな方向に意識を向けている様子がうかがえました。その適応力の高さ・柔軟性も、若年世代の特徴といえるかもしれません。経済的不安について、全体的には、経済が停滞していることに対する漠然とした不安を抱いている様子でした。中には、「この先、雇用を切られるかもしれない」(派遣勤務のCさん)、「残業代が減り、かつ無休の休みを取らされていて収入が減っている」(Fさん)という人もみられました。

1月頃から現在までの間に、危機意識・対策意識はどのように変わっていった?

では次に、危機意識・対策意識がどのように変化していったのかをみてみましょう。

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今回のインタビューでは、新型コロナウイルスの感染拡大が報道されるようになった2020年1月頃から現在までの、危機意識・対策意識の変遷をヒストリー曲線で記入してもらい、気持ちに合う絵文字を選びながらお話をうかがいました。危機意識・対策意識は大まかに3つのタイプに傾向が分かれました。

I.危機感先行タイプ:感染拡大への恐怖感が強く、早い段階から対策を始めた
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Fさんの意識は、感染拡大に対する恐怖感がとても強いことがわかります。1月末~2月上旬の早い段階から恐怖を覚えはじめ、3月中旬にはほぼ上限に達し、以降はどこか諦めの入った気持ちになっています。通勤電車・バスで”感染するかもしれない”と周りを意識することがストレスになってしまうほどで、片道1時間半かけて徒歩で通勤するようになったという発言が印象的でした。ここまで強い恐怖感は、他の方にはないものでした。 

II.勤務先主導タイプ:勤務先が早期に徹底した対策をしたために意識が高まった

タイプ2.png
Dさんの場合、初めて感染拡大を自分ごとと感じたのは、勤務先がきっかけでした。それまでは「中国での話」と他人事と感じていたのが、Dさんの勤務先へ出入りしていた取引先の社員の感染発覚を機に、会社がさまざまな対策を積極的に行ったことで、事態の重大さを感じるようになりました。特に、勤務先で、マスクの着用をしていないと指摘されたり検温を義務化されたりしたことや、在宅勤務の体制を整えるためにPCを配布するといった支援があったことなどが、「そこまでするんだ」という驚きを生み、意識の変化につながっていました。企業がいち早く社員向けに積極的な対策を打つことは、若く健康な20代が自分ごととして危機感を持つために重要なポイントであったことが分かります。

そして以降、大型スポーツイベントの開催延期や、志村けんさんの死去、緊急事態宣言などで、自身の勤務先だけでなく、社会全体として対策をしていかなければならないのだと感じるようになり、より深刻に認識するようになっています。それには、SNSでのつながりも寄与しています。「マスクの作り方」や、「スマホを消毒した方がいい」という情報、ニューヨークの感染状況を発信した投稿、YouTubeでHIKAKINと小池都知事が対談した動画などを目にすることで、「軽視してはいけない、みんなで対策をしていかなければならないことなのだ」と意識が高まっていきました。 

III.情報フォロータイプ:ニュースや周囲からの情報などで、徐々に意識が高まったタイプ3.pngDさんのケースとは異なり、勤務先があまり対策をしていなかったり、対策を打つのが4/7の緊急事態宣言以降と比較的遅かったりした場合は、このタイプに該当しました。Cさんは業務内容上、4/18のインタビュー時現在も毎日出勤しなければなりません。仕事での大きな変化が起こっていないため、ニュースや身のまわりの出来事が少しずつ積み重なって、徐々に意識が上がっています。それゆえ、3つのタイプのうち、このタイプが、意識が高まるのが最も遅い傾向がみられました。

Cさんが感染拡大を自分ごとに感じ始めたのは、3月中旬の「通っていたスポーツクラブの休業」が大きな転換点です。それまでは趣味のテニスに週4~5日通っていたのができなくなってしまい、感染拡大防止のためには休業は当たり前とは思いつつも、自身の生活に変化が訪れます。それから大学生の義兄妹の就活がWeb面接になったことや、志村けんさんの死去によって、コロナの感染自体や、感染拡大による社会的な影響が自身の家族とも結びついて認識されるようになったため、意識が大きく高まっていきました。

ただし、「情報フォロータイプ」はCさん以外も含め、今回インタビューをした「感染対策意識の高い働く20代」の中では、比較的危機意識が低い傾向がありました。20代若年層の意識を高めるには、危機感を喚起する情報を発信するだけでは十分とは言えないようです。自身の健康が損なわれることが想像しづらい年代であるだけに、勤務先の企業を含めた社会全体が先導して対策を打ち、リアルで変化を起こすこと、とりわけ在宅勤務などによって日常生活・行動を変えることが、重要になってくると言えそうです。

「外出自粛」で家にいる時間をどう過ごしている? 

最後に、外出自粛による在宅勤務や“おうち時間”をどのように過ごしているのかをみてみましょう。

ポイント3.png
・在宅勤務は概ね問題ないものの、20代ならではの悩みとして先輩や上司に質問しづらいことが挙げられた

職種や業務内容によって在宅勤務のしやすさは異なるものの、概ね問題なくできているということでした。難しさとしては、「社内ネットワークへのアクセスが遅い」「自宅では集中しにくい、誘惑がたくさんあってついダラけてしまう」といった、仕事の効率低下に関する点が全体的に挙がっていました。その他、特にクライアントから質問を受けたり、新しい業務を始めたりした際に、わからないことを先輩や上司に気軽に質問しづらい、という声もありました。完全在宅勤務ではない場合は、出勤した日にまとめて質問をして対応している人もいるようです。

・“おうち時間”に将来に向けた勉強をしたり、趣味の腕を磨いたりと有意義に。情報源としてSNSを活用

外出自粛での“おうち時間”の過ごし方としては、下記のようなことが挙がっていました。

対象者コメント.png

収束のためには、人の接触を8割削減する必要があると言われ、今後も引き続き外出自粛が求められるかもしれません。危機感を持ち、感染対策をしっかり行うことはもちろん大事ですが、それと同時に、変化に対して前向きに適応していくことで、不安に負けないようにすることも、今後ますます重要になっていきそうです。 


今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。

  • 調査実施日:2020年4月18日・19日・調査対象者:一都三県在住の20代有職者男女6名(未既婚不問、ただし子ありは除外)
  • 調査手法:リモートインタビュー
    WEB環境を利用し、会場に集まらなくても任意の場所からオンラインでインタビューを行う手法です。
    自宅でインタビューを行うケースが多く、リラックスして参加できるので、よりリアルな消費者の声がみえてきます。
  • 調査主体・担当者:株式会社アクセス・ジェーピー(インテージグループ) 福井裕子 

株式会社アクセス・ジェーピー】年間13,000人以上の生活者インタビューを実施する定性調査会社です。30年以上にわたる豊富な経験をベースに、常にイノベーティブな調査手法で生活者の実像に肉迫し、お客様のマーケティングを支援しております。


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