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生活者視点のシンプルな仕組みで考える需要予測

昨今は値上げに伴う生活者の節約志向が続き、「これまでの経験則があてになりにくい」局面が増えています。

その中で、お客様からは
・期初に立てた売上計画が外部環境の変化で崩れてしまう
・過去実績ベースの感覚が合わなくなってきた
といった声を伺います。

そのような不確実性が高い状況では、実際に購入する生活者の視点で「どれくらい売れそうか」を明らかにできるかが、開発における投資判断の成否を左右します。

そこで本稿では、「生活者の意識・行動から売上ポテンシャルを算出するシンプルな仕組み」をご紹介します。

売上を決める「生活者の意識・行動」からポテンシャルを見極める。 この視点をフレームとして持っておくことで、不確実な環境下でもビジネスの成功確率をあげることが可能です。

※本稿は、直近で著者が実施した需要予測セミナーでご好評いただいた「生活者の意識・行動をベースに、シンプルな仕組みで売上ポテンシャルを算出する方法」の内容を抜粋してお伝えしています。アーカイブ動画は本稿の後半をご覧ください。

1. 売上は生活者の「1回1回の行動」の積み重ね

前提として、レジを通る商品1個1個の積み重ねが、売上であり市場です。ある飲料なら1本150円が何回積み上がるか。その背後には必ず、「棚で見つける」「手に取る」「かごに入れる」「レジに持っていく」という生活者の行動があります。(図表1)

図表1

ところが商品開発の場面で議論していると、「自社ブランドは当然見つけてもらえる」「コンセプトは伝わっているはず」と考えがちです。会議室で見るパッケージ案は拡大され、丁寧な説明文も付きますが、実際の店頭では数十から数百にのぼる競合商品と同じ棚に並び、そのうちの一つとして一瞬で評価されています。

忙しい夕方、スーパーマーケットで棚の前を歩く生活者の視点に立ってみましょう。まず目に飛び込んでくるのは色や形、棚の中での目立ちやすさです。価格や容量を一瞬で見積もって「今日はこれでいいか」を判断し、そのうちの一つだけが買い物かごに入れられます。このプロセスを通り抜けたものだけが、レジまでたどり着きます。

つまり売上は、生活者の意識と行動の結果です。そのプロセスを分解して数字で捉えることで、売上の見通しが立てやすくなります。

2. 売上を生活者起点のシンプルな式で分解して考える

私たちは、売上を
売上金額 = 「何人が」×「いくら買うか」
という要素で考えて、さらに生活者の行動、およびそれに至るまでの意識というステップに分解します。

A%:認知率 …その商品を知っている人の割合
B%:理解率 …その商品を理解している人の割合
C%:購入意向率 …「買ってみたい」と思っている人の割合
D%:購入率 …買いたい人が実際にその商品に出会える確率
E回:購入回数 …買う人一人あたりの購入回数
F円:価格 …一回あたりの購入単価

全体の母数(そのカテゴリーを買う可能性のある生活者数)に、A%〜F円を順番に掛け合わせれば、理論的には売上金額を算出できます。ここまでは「売上の構造図」を描いた段階です。(図表2)

図表2

生活者の意識・行動ベースで売上構造を分解したもの

重要なのは、この式をそのまま絶対値で使うのではなく、「既存品との相対評価」に使うことです。既に市場にある既存ブランドについても同じA%〜F円の値を算出し、新案との比率を取ります。

例:既存品の購入意向率 C% が80%、新商品の C% が40%なら、C% の相対値は0.5。
同様に他の要素も「既存品の何倍/何分の一か」という形で比率を求め、それらを掛け合わせ、既存品の実績売上に乗じることで、新商品の売上ポテンシャルを推定します。

アンケート調査には必ずバイアス(回答に含まれる偏り)が付きまといますが、同じ枠組みで既存品と新案を比較することで、そのバイアスは相対評価によって相殺されます。ここが、シンプルでありながら実務で使えるポイントです。

相対評価を行う具体的な方法は、本稿の最後でご紹介するセミナー動画で順を追って説明しています。ぜひ、動画でご確認ください。

3. 開発プロセスにおける活用方法

このシンプルな需要予測ロジックは、開発プロセスのさまざまな場面で活用できます 。

場面の例活用例


コンセプト開発段階
複数のコンセプト案が出てくることが多いと思いますが、
それぞれ売上ポテンシャルを比較し、
「どの方向性に投資すべきか」
を売上に基づいて判断でき、
ビジネスの成功確率を上げることが可能です。

パッケージ/
プロダクト開発段階
棚評価や試食・試用評価と組み合わせることで、
設備投資やプロモーション投資を検討できます。
「この売上ポテンシャルなら、
どこまで踏み込んだ投資をしてよいか」
を数字で議論できます。


既存ブランドの
リニューアル
「前後でどれくらい売上が変わりそうか」
「下振れリスクはどの程度か」
を事前にシミュレーションできます。
きちんと売上を伸ばすことができるのかどうか、
逆に売上が落ちそうなリスクがあれば事前に手を打つなど、
根拠に基づいて判断できます。

いずれの場合も、「なぜこの数字になるのか」を説明しやすいのが大きな利点です。もし実績が予測を下回ったとしても、「想定より配荷が伸びなかった」「購入回数が予想を下回る結果となった」など、外れたポイントを特定し、次のアクションに活かせます。マーケティング、営業、開発、経営企画など、部門をまたいだ合意形成の共通言語としても機能します。(図表4)

図表4

意思決定における、ロジックのわかりやすさの重要性

4. 生活者起点のシンプルな仕組みで、不確実な時代でも自信を持った意思決定が可能に

値上げが続き、生活者も企業も先を見通しづらい時代だからこそ、複雑で精緻なモデルに惹かれてしまいがちです。しかし、意思決定の場で本当に強いのは、「誰でも説明できて、後から振り返ることができる」シンプルな仕組みです。

売上の源泉である生活者の意識・行動を一つひとつロジカルにたどり、既存品との相対評価で売上ポテンシャルを見極める。
この視点をフレームとして持っておくことで、不確実な環境下でも、商品開発において納得感のある投資判断がしやすくなり、ビジネスの成功確率をあげることが可能です。

インテージでは、ここでご紹介したような「生活者起点のシンプルなロジック」をベースに、生活者を主語としたビジネスマネジメントの実現を支援する各種ソリューションをご用意しています。
「ビジネスマネジメント」プログラム|マーケティング支援ならインテージ
ご興味ございましたら、リンク先のお問い合わせ、または担当営業にご連絡いただけますと幸いです。

今回ご紹介した内容をより深く・具体的に解説したセミナーのアーカイブ動画をマナビヤインテージで公開しています。ぜひご覧ください。

著者プロフィール

株式会社インテージ マーケティングパートナー第1本部 マーケティング企画推進部 松瀬 智仁(まつせ ともひと)プロフィール画像
株式会社インテージ マーケティングパートナー第1本部 マーケティング企画推進部 松瀬 智仁(まつせ ともひと)
・アンケート調査や消費財を中心としたパネルデータ分析、統計解析などに幅広く従事し、クライアントのマーケティングリサーチを支援
・生活者の意識や行動をベースとしたマーケティング支援プログラムの開発も担当、現在は需要予測を専門としている

・アンケート調査や消費財を中心としたパネルデータ分析、統計解析などに幅広く従事し、クライアントのマーケティングリサーチを支援
・生活者の意識や行動をベースとしたマーケティング支援プログラムの開発も担当、現在は需要予測を専門としている

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