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【地味だけど知っておきたい! 5分で解説 データエンジニアリングコラム⑤】BI 導入後の想定外を想定する

今回はデータ活用フィールドのうちBI!

このコラムでは、インテージのデータエンジニアが経験をもとに、地味だけど知っておきたい「データ活用の重要なステップ」や「データ活用の障壁と対策」を解説します。

前回はDWH=会社のデータをきれいにして集める場所、DM=用途に合わせて調整をしたデータの集まりであること、それぞれ使いやすいものにするため業務に合わせたブラッシュアップや見直しを行う必要があるとお伝えしました。

①~③のデータの準備段階が終わってようやく④データ活用フィールドに入ることができます。データ活用はBIやAIなど用いる手段や活用用途によって、課題や検討すべき内容がかなり異なります。今回はこの数年でご相談が急増しているBIに関するお話をします。

BIにまつわるご相談

弊社は市場に関するデータやレポートをご提供しています。必然的にお客様がお持ちのデータの活用、レポート作成の効率化、BI導入や社内活用のご相談をいただく機会も多くいただいています。

お話をうかがうと、次のような目的でBI導入を検討されていることが多いようです。
・必要な情報を理解しやすく表現する
・情報の更新時にすばやく参照する
・いまより多くの関係者へ共有しやすくする

ところが導入を検討するなかで「いまよりできることが減る気がする」、「データに関する業務が大変になりそう」といった声や、導入したものの「想定よりも見ている人が少ない」、「楽になった業務がだんだん導入前に戻ってきた」、「BIを入れたのにExcel貼り付けをしている」、といった相談を聞くことがままあります。

なぜこのような声が生まれるのか考えてみました。

BIにデータが届くまでの経緯を理解する

一般にBIや定型帳票で情報を閲覧、共有するまでのステップは下記のようになります。

BIツールはたくさんありますが、一般的に③可視化・④共有が主要な機能となっているようです。
最近は高機能な製品が増えて①データ抽出、②データ加工ができるものもありますが、ツールによる違いが多いため、ここでは「BI=③可視化④共有 をするもの」と想定して記述します。

BIが本領を発揮するのは③可視化 以降です。活躍の前提になるのが①抽出~②加工の工程で「BIにとって使いやすいきれいなデータを、決まったタイミングで、確実に用意できること」です。

これを実現するために、前工程で苦労してDWHやBI用のDMを用意してきました。

一方でDWHやDMでは、より内容や定義を厳密に設定することになります。結果として、標準化・高速化の代償に柔軟性の制限を生む面があります。

そのため、いま用意できるDWHやDMでできること、できないことの見極めをしたうえで、BIにデータが届くまでの流れやBIに任せることを設計する必要があります。 このさじ加減や業務の変化によっては、冒頭に書いたような事態になってしまうのです。

具体例と対策

具体例と対策
ここからは実際に筆者が遭遇した困ったケースをご紹介します。

ケース① DWHに存在しない

データがBIに入るまでの流れを完全に自動化した結果、DWHにない情報に関して使いづらさが生じることがあります。

販売実績、在庫状況、そのほか諸々の情報を統合したレポートをBIで開発。
その数か月後、販売実績をより理解しやすくするため店頭販促やCM、SNSなどのキャンペーン情報も載せることになりました。
キャンペーン情報や実績は出稿媒体や管理体によって提供方法やタイミング・データフォーマットが異なりDWHやDMなどのシステム上に存在しません。搭載できる見込みも当面なさそう・・・。
仕方がないのでBIの数字をExcelに貼り付け、キャンペーン情報と合成してから配布することに・・・。BIで作成したきれいなグラフやフィルタ機能、共有配布機能は使われなくなりキャンペーン情報の貼り付け担当者が更新日に追われる毎日に逆戻り。

このケースではキャンペーン関連の情報=DWHの外にあるデータをBIに入れる想定をしていなかったため ③可視化、④共有がワンストップでできなくなってしまいました。

①抽出や②データ加工のどこかでDWH外のデータを合流できる設計であれば、③可視化以降はBIの機能を使って効率化できたかもしれません。
あるいはキャンペーン情報を無理に一緒にせず別に配布すると割り切ってしまう判断もあったのかも。

このように業務の変化や性質に応じて自動化をDWHやBIのどの部分で行うのか、まだ人が行う前提にするのか、はたまた業務プロセス自体を見直すのかなど見極めが必要です。

加えて、無理をしてシステム化してしまうと、業務に変化があった際、システムの変更に想定以上のコストや時間を要します。自動化すべきところはするとしても、ある程度の割り切りが生じる覚悟を求められることもあります。

ケース② 苦節X年、運用カバーの果てに見えた闇

逆にBIや人が対応することがいまはできたとして、いつまでも続けられるとは限りません。年に1回など決まったタイミングで見直す機会をあらかじめ用意することを強くお勧めします。

ある部署では一定の条件を満たす商品の情報を読み替える独自のルールがありました。DWHにはない情報のため、部署が管理するBIで読み替え処理をしていました。ところが時間が経つにつれてその条件がどんどん増えて数百個にもなり、BI担当者以外は把握できないものになっていました。そんな折、その担当者が異動になりBIの利用がすたれてしまい・・・。

このケースではルールがここまで多くなる前にルール自体をDMに組み入れる見直しをしていれば、継続してBIを利用できた可能性があります。

また、このような部署独自の読み替えは内容の違いはあれども、複数の部署で行っているケースが多々あります。読み替えを自動化するような新しいフローを作れば、最小限の労力や操作で実現できたかもしれません。

まとめ

今回はBI導入後のよくある困った例を書かせていただきました。記載した以外にも解決策や悩みは尽きませんが、臨機応変な対応が求められるため一問一答で書ききることはできませんでした。少々長くなってしまいましたので、このコラムが少しでもお悩み解消に貢献できることを願いながら、このあたりでいったん筆を置かせていただきます。

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