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データサイエンス をマーケティング実務に活かすイロハ(前編)

「データサイエンス」や「AI」といったバズワードが飛び交い、その成功事例がメディアを賑わせている昨今において、「わが社のマーケティング活動にもデータサイエンスやAIを活用したい!」と、一度は検討されたことがあるかと思います。しかし、何から手を付けていいのか、誰に頼ればいいのかわからずフリーズしてしまったという経験があるのではないでしょうか。

このシリーズでは前編と後編に分けて、データサイエンスをマーケティング実務で活用するためのポイントを解説します。
前編では、データサイエンス用語とマーケティング実務用語を紐づけて、ユースケースを交えながら説明していきます。後編では、データサイエンティストとうまくコミュニケーションを取りながらデータサイエンスをマーケティングにより効果的に活用していくために必要な知識や心構えについて解説していきます。

データサイエンスとマーケティングの関係

データサイエンスはマーケティングにおいて、もはや必要不可欠なツールになりつつあります。スマートフォンの普及などによる情報量の増大や伝達速度の向上を背景に、SNSや口コミサイトなどを参照した商品購買行動も年々増加し、消費・購買行動といったものがより複雑化しています。このような状況下においては、マーケターの勘や過去の経験則だけに頼って成果を上げるのは今まで以上に難しくなっており、属人性に頼らない客観的な判断基準を基にアクションする必要が出てきています。そこで、マーケティングの世界でも広く利用されてきているのが、蓄積されたデータから法則性を見出す「データサイエンス」です。


では、データサイエンスは、マーケティング実務においてどのようなシーンで役に立つのでしょうか。デーサイエンスの世界で用いられる技術・手法に関する専門用語は非常に難解で、とっつきにくいと感じられるかもしれません。しかし、難しいからといって活用を諦めてしまうのは非常に勿体ないです。データサイエンスに慣れ親しんで活用する第一歩として、まずは現状抱えているマーケティング課題とその解決に用いられるデータサイエンス用語を紐づけていくと理解が進むでしょう。次の章で詳しく解説していきます。

データサイエンス用語とマーケティング用途を紐づけて理解する

ここでは、データサイエンス用語とマーケティングにおける用途を紐づけた見取り図を用いて説明していきます。自社のマーケティング課題が右のどの用途に当てはまりそうかを考え、そこに紐づいているデータサイエンス用語を学んでいくとよいでしょう。

今回はこの中から、2つのデータサイエンス用語(手法)について、マーケティング実務上の用途を詳しく説明していきます。

①クラスター分析

「クラスター」とは、「集団」や「まとまり」といった意味です。クラスター分析は、人や物などをデータに基づいていくつかの「まとまり」に分類する手法で、消費者セグメンテーションや店舗セグメンテーションといった用途と結びつきます。


たとえば、施策ターゲティング活用のために消費者を分類する場合を考えてみましょう。
消費者の意識や価値観は千差万別です。とはいえ、消費者一人一人に対するアプローチを変えることは現実的ではないため、マーケティング実務においては消費者をいくつかのタイプに分類したうえでターゲティングして施策を実行するかと思います。消費者を分類する際に、従来は性別・年代等で分類しても通用しましたが、消費者行動や価値観が多様化した現代においてはそのような限定的な情報を基にターゲティングしても、施策の効果を十分に高めることはできません。このような場合に、様々な要素を加味して分類してくれる手法がクラスター分析となります。

消費者の意識・価値観や行動データを基にクラスター分析することで、たとえば「こだわり志向」「価格志向」といった分類ができ、市場をより鮮明に理解することができます。そしてこの分類ごとの商品購買傾向を観察することで、「新商品に飛びつきやすいクラスターに分類された人が、狙い通りに自社の新商品を購入している」「自社ブランドの売上が低下傾向なのは、価格志向の消費者が個数単価を下げた競合ブランドに流出している」といった読み解き方をすることが可能となり、有効な打ち手を導き出すヒントを得ることができます。

➁決定木分析

決定木分析は、予測モデルの一つです。様々な条件が段階的に分岐する樹形図で構造化したモデルであり、グラフィカルなアウトプットが導出されるため予測結果の解釈を重視する際に用いられることが多い分析手法です。マーケティング実務においては、商品購入者の傾向分析やサービス離脱原因分析に用いられます。

商品購入者の傾向分析では、消費者が商品を購入するにあたって、どの消費者特性や意識・価値観が影響を及ぼしたかを分析することができます。
たとえば、健康食品を例にとってみてみましょう。消費者が健康食品を購入するか否かは、商品の特性だけでなく消費者の人となり(性別・年代、健康意識の有無、カテゴリー購入意向、広告接触)が影響することは想像に難くないかと思います。決定木分析では、それらの要因のうち、どの要因が購買に影響するかを樹形図によって可視化します。
この結果の例では、カテゴリーへの興味・関心があり、健康意識も高い消費者が自社ブランドの購入率が高く、次に性別によっても購入率の水準が異なるという結果となっています。このように、どの要因が購買行動に影響しているかを可視化し、施策実施や商品改良の検討に活用することができます。

前編のまとめ

ここまで、データサイエンスで用いられる分析手法と用語について、ポピュラーなクラスター分析や決定木分析を例にとってマーケティング実務用語に紐づけて解説してきました。ほんの一部ではありますが、マーケティングにおけるデータサイエンスの有用性をご理解いただけたのではないでしょうか。

ここで重要なことは、どの手法を使うかではなく、「解決したい課題を明確にすること」です。マーケティング活動を行う上でどのような課題を解決し、何を達成したいかをしっかりと規定できてしまえば、それに対応するデータサイエンス手法や使用データの選定は、専門家であるデータサイエンティストに委ねるのが最も効率的かつ効果的な進め方になります。
そして、それらを適切に判断するのがデータサイエンティストの腕の見せ所でもあります。
次回はデータサイエンスを実務に活かすフェーズ、データサイエンスティストとのコミュニケーションについてお送りいたします。
貴社のマーケティングにデータサイエンティストの技を組み込み、課題解決に活かすためのコツをご紹介いたします。

今回の記事で「データサイエンス用語」として紹介した多変量解析の手法について、こちらの記事で、マーケティング業務の中で特に利用場面が多い4つの手法について、分かること・主な使われ方を整理しながらより平易にご紹介しております。ぜひこちらもご覧ください。

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