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「サステナブル」な商品、高くても買う?日本人のサステナビリティ意識と行動

2020年1月21日~24日、毎年恒例の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が開催されました。総会に先立って公表された「グローバルリスク調査報告書2020年版」では、世界の政財界のリーダーらが回答した「今後、起き得る長期リスク」の上位5位が、「異常気象」「気候変動の緩和・適応の失敗」「大規模な自然災害」などすべて環境関連の項目で占められていました。また、ダボス会議では、気候変動など環境面だけではなく、不平等や格差の拡大への対応も含めたサステナブルな世界への道筋が議論されました。

日本でもここ数年、「SDGs」や「ESG投資」というキーワードを報道などで耳にすることも増えましたが、日常の買い物において、サステナビリティはどの程度意識されているのでしょうか。「環境にいい」「フェアトレード」などさまざまな商品がありますが、サステナブルな商品は、通常の商品と比べて価格が高めであることも少なくありません。

インテージでは、15~69歳の男女1,800人を対象に調査を実施、「食品・飲料」「日用雑貨品」「ビューティ/美容商品」「衣類/ファッション商品」の4つのカテゴリーについてサステナビリティ/エシカル消費に関連するさまざまなキーワードをあげ、買い物意識をたずねました。

「高くても買う」人が多いのは「天然由来の成分/素材で作られた商品」「オーガニックの素材/成分で作られた商品」

今回の調査では、「食品・飲料」「日用雑貨品」「ビューティ/美容商品」「衣類/ファッション商品」を自分で選んで購入している方たちを対象に、下記の特徴を持つ商品について、「高くても買う(30%高くても買う/20%高くても買う/10%高くても買う の計)」「同じ値段なら買う」「同じ値段でも買わない」「分からない・関心がない」のどれに当てはまるかを質問しました。

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全体的に、「天然由来の成分/素材で作られた商品」「オーガニックの素材/成分で作られた商品」は「高くても買う」人が比較的多い商品特徴という傾向が見られました。日常的に体に取り入れたり身の回りで使うもの、肌につけたり身に着けたりするものの成分/素材は、多少高くてもよいと言われているものを使いたいという意識の表れかもしれません。また、「自分の価値観に合う存在意義(パーパス)を持つブランドが提供する商品」は若年層(15~24歳)で「高くても買う」人が比較的多い傾向が見られました。

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一方、「環境に負担をかけない/害を与えない商品」「廃棄物/ゴミを減らすように作られた商品」は、55~60%前後が「同じ値段なら買う」と回答、自身の負担にならなければ選ぶという人が多いようです。

また、「フェアトレードの商品」「動物実験をしていない/動物の福祉に配慮した商品」「トレーサビリティ(追跡可能性)が確保された商品」は、「分からない・関心がない」が全体的に高い傾向が見られました。「フェアトレード」「トレーサビリティ」というワード自体になじみがない人も少なくないのかもしれません。

食品・飲料

「天然由来の成分/素材で作られた商品」「自分の価値観に合う存在意義(パーパス)を持つブランドが提供する商品」「オーガニックの素材/成分で作られた商品」がTop 3

ここからは、「食品・飲料」「日用雑貨品」「ビューティ/美容商品」「衣類/ファッション商品」それぞれについての調査結果を見てみましょう。

まずは「食品・飲料」についてです。「天然由来の成分/素材で作られた商品」「自分の価値観に合う存在意義(パーパス)を持つブランドが提供する商品」「オーガニックの素材/成分で作られた商品」は「高くても買う」人が2割超と、比較的多くの人が価値を感じているようです。この3つの商品特徴は、いずれのカテゴリーでも「高くても買う」の上位3位に入っていました。

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「環境に負担をかけない/害を与えない商品」も約2割が「高くても買う」と回答していますが、「同じ値段なら買う」も54.4%と比較的高く、プラスアルファのお金を払うには至らないという人も少なくないようです。同様に、「廃棄物/ゴミを減らすように作られた商品」は6割近く、「自分の住む地域で作られた商品」も過半数が「同じ値段なら買う」と回答しました。

一方、「動物実験をしていない/動物の福祉に配慮した商品」「フェアトレードの商品」「トレーサビリティ(追跡可能性)が確保された商品」はいずれも5割前後が「分からない・関心がない」と回答、認知・関心が低い様子が見受けられました。同様の傾向は、「日用雑貨品」「ビューティ/美容商品」「衣類/ファッション商品」でも見られました。

日用雑貨品

サステナビリティは付加価値となりにくい?「廃棄物/ゴミを減らすように作られた商品」「リサイクル素材で作られた商品」「環境に負担をかけない/害を与えない商品」は6割が「同じ値段なら買う」

では、次に「日用雑貨品」について見てみましょう。「高くても買う」が2割を超えた商品特徴は1つもなく、「日用雑貨品」はサステナブルな商品特徴が付加価値となりにくいカテゴリーなのかもしれません。

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付加価値とはならないものの、多くの商品特徴で「同じ値段なら買う」が過半数を占めています。特に、「廃棄物/ゴミを減らすように作られた商品」「リサイクル素材で作られた商品」「環境に負担をかけない/害を与えない商品」は約6割の人が「同じ値段なら買う」と回答しました。

ビューティ/美容商品

「天然由来の成分/素材で作られた商品」「オーガニックの素材/成分で作られた商品」なら2割前後が「高くても買う」

「ビューティ/美容商品」では、「天然由来の成分/素材で作られた商品」「オーガニックの素材/成分で作られた商品」について、それぞれ2割前後が「高くても買う」と回答しました。

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他のカテゴリーと同様に、「廃棄物/ゴミを減らすように作られた商品」「環境に負担をかけない/害を与えない商品」については6割近くが「同じ値段なら買う」と回答しています。一方、「リサイクル素材で作られた商品」は1割近くが「同じ値段でも買わない」と回答、他の商品特徴よりもやや高い傾向が見られました。肌につけるものだけに、「リサイクル素材」には抵抗を感じるのかもしれません。

衣類/ファッション商品

1位は「自分の価値観に合う存在意義(パーパス)を持つブランドが提供する商品」。他はすべて「高くても買う」は15%にも届かず

最後に「衣類/ファッション商品」です。「高くても買う」が2割を超えた商品特徴は1つもなく、15%を超えたものも「自分の価値観に合う存在意義(パーパス)を持つブランドが提供する商品」のみでした。

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また、「リサイクル素材で作られた商品」は1割以上が「同じ値段でも買わない」と回答しています。世界のファッション業界では、廃棄物を素材とするなどサステナブルな取り組みが推進されていて、後述するようにリサイクル素材を使うことが付加価値ともなっていますが、日本ではまだ受け入れられにくいようです。


本記事の分析は、自主企画のインターネット調査のデータをもとに行いました。
調査地域:全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター(弊社キューモニター+提携モニター)」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017 年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=1,800
調査実施時期: 2019 年9月19 日(木)~2019 年9 月24日(火)

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