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センター員もりもとの生活者研究記録 【Vol.1】フードデリバリーアプリ

はじめましてのごあいさつ

みなさまご機嫌いかがでしょうか。生活者研究センター 森本です。
この度、生活者研究センター発で、生活者理解のきっかけとなるようなものが発信できないか、ということで筆をとりました。
リサーチャーでありながらも、イチ生活者でもあるわたしの実体験・興味関心ごとと世の中の流行りを捉えてテーマを設定し、私的なコメントを挟みつつ、お届けしていきますので、仕事の合間にちょっとひと息つきたい時にでも、おやつ片手に読んでいただければと思います。

今回のテーマは・・・・

早速第1回のテーマは”フードデリバリーサービス”についてです。
みなさまも一度は何かしらのフードデリバリーサービスの利用経験があるのではないでしょうか。
エヌピーディー・ジャパン株式会社が発表している外食・中食市場動向分析レポートによると、外食・中食市場全体の2020年1-12月計の金額市場規模が前年比18.3%減の一方で、出前(デリバリー)市場の市場規模は前年比50%増と大きく伸長しています。
わたしもコロナ禍で外出・外食が制限されたことで、楽しておいしい手の込んだごはんが食べたいときや、無性に無糖のミルクティーを飲みたいときなどに利用しています。

同じように、コロナ禍による外出自粛に背中を押されるかたちで利用を始めた人も多いのでは?という興味から、「コンスタントにフードデリバリーサービスを利用している人はどんなライフスタイル・価値観をもっているのか?」という内容を今回のテーマに決定。フードデリバリーアプリ利用者と非利用者を比較することで、フードデリバリーアプリ利用に至る背景に迫りたいと思います。

フードデリバリーサービスの利用状況は

これまでのフードデリバリーサービス(いわゆる”出前”)は最低購入金額の制限などからファミリー層以外へはなかなか根付かず、そのイメージも「家事のお休み」「ちょっとした贅沢」という日常とは離れたものになっていたのではないでしょうか。
そこへUberEatsの参入や最低注文金額の廃止、宅配可能店舗の増加によってフードデリバリーサービスへの垣根が下がり、さらにコロナ禍による外出(特に外食)自粛により利用者増を後押ししたと考えられます。
実際にメディア接触行動を捉えたインテージの消費者パネルであるi-SSPのアプリ起動ログから、フードデリバリーアプリの利用状況を確認してみましょう。

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データからわかる通り、フードデリバリーアプリの利用は大きく伸びています。中でもUberEatsや出前館の伸びが顕著です。直近ではWoltやfoodpandaのような海外からの新規参入も多く見受けられ、新型コロナウィルスの長期化に伴い、引き続き利用率が伸長することが想定されます。

フードデリバリーアプリ利用者分析

フードデリバリーアプリの利用者と非利用者の人となりの比較にあたり、約15,000項目に及ぶデータを連携させた、立体的で細密なターゲットのプロファイリング分析サービス、「生活者360°Viewer」を用いて分析を行います。
分析軸は、i-SSPのアプリ起動ログより、フードデリバリーアプリの利用者と非利用者を抽出し下記の通り設定いたしました。

① フードデリバリーアプリ利用者 *2020年1月~21年2月までの14か月間で1回以上アプリを起動した月が
10か月以上

② フードデリバリーアプリ非利用者 *2021年1-2月有効モニターのうち、20年1月~21年2月までで一度も
フードデリバリーアプリを起動していない

また、上述の通り生活者360°Viewerは膨大なデータ がアウトプットされ、仮説を持たずに読み込み始めるとデータに溺れてしまう可能性があるため、データ読み込みにあたり、フードデリバリーアプリ利用者・非利用者について、メンバーと議論しながら仮説出しを行いました。
以降のデータ解釈では、仮説と、仮説に関わる調査項目について(1)デモグラ・健康意識(2)生活価値観・暮らしと食(3)消費意識・行動の3つの視点で確認していくことにいたします。

(1)デモグラ・健康意識

◇仮説
<フードデリバリーアプリ利用者(以降、利用者)>
20-30代働き盛りの独身男女。不規則な生活を自覚しており、表面化はしていないがぼんやりと健康に不安を抱えている
<フードデリバリーアプリ非利用者(以降、非利用者)>
40-50代既婚子あり男女。若いころのように無茶はしていないが、身体の節々からガタがではじめ悩みが顕在化

◇360°Viewerデータ 

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◇データから見えた人となり
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利用者・非利用者ともに概ね仮説通りなようです。利用者について、食生活の乱れは自覚しつつもそれをやめるという選択肢はないあたり、食への楽しみ・こだわりがうかがえます。

(2)生活価値観・暮らしと食

◇仮説
<利用者>
社交的で人が集まる場所が好き。特に食事の場にこだわりを持っている。(なのでコロナ禍の自粛によって制限された外食をフードデリバリーで置き換えている。)
<非利用者>
自分の時間よりも家族優先。家族のことを考えて日々過ごしており、食事もそのひとつ。(なので基本はおウチゴハン、たまに贅沢でフードデリバリーを利用。)

◇360°Viewerデータ 

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◇データから見えた人となり
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利用者は想像以上に食へのこだわりが強く、単に”自炊疲れ”によってフードデリバリーサービスを利用しているのではなく、楽しみの1つ・趣味の延長として利用しているみたいです。
わたしはご飯系を頼むときは自炊疲れが主な理由だったので、ヘビーユーザーのヘビーユーザーたる理由が見えた気がします。

(3)消費意識・行動

◇仮説
<利用者>
食事にかけるお金はいとわないが、それ以外に執着はなく安いものでも気にならない。
<非利用者>
節約志向で、モノを買うときには基本的に慎重に比較検討を行う。

◇360°Viewerデータ 

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◇データから見えた人となり
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利用者について、こだわる部分は食のみかと思いきや、かなりの浪費家でわかりやすい派手好きな一面は仮説段階では想像していなかったためそんな特徴まで出てくるのか、という気持ちと、自分を見透かされているようで笑ってしまいました。
ずばりでわかりやすいものに魅かれ、財布の紐は緩そうなので、興味関心領域に侵入してしまえばトライアルしてもらいやすい人なのかもしれません。

おわりに

記念すべき第1回、いかがだったでしょうか。
当初描いていた仮説では、フードデリバリーアプリ利用者の利用背景は「外食の代替」や「自炊疲れ」と考えていましたが、自由にお金を遣える分こだわりをもち惜しまず投資している様子から、「家から出ずともお店の味が楽しめる」≒「自分の時間を効率よく使いながら食という趣味も満たすことができる」というベネフィットを最大限に享受しているようです。非利用者と比較することで、その特徴がより顕著に確認できたように思います。
みなさんの思うフードデリバリーサービス利用者はどんな姿でしたか?なにか意外な発見があれば幸いです。

今回紹介した「生活者360°Viewer」を用いた「フードデリバリーアプリ利用者・非利用者」の詳細なプロフィールデータは、サンプルレポートとして無料でダウンロードしていただけます。


【生活者360°Viewer】多面的で精緻なターゲット像を描き出すことにより、生活者理解に基づいた商品・サービス開発やコミュニケーション・プランニングを支援する分析サービスです。デモグラフィック属性や意識・価値観だけでなく、購買行動やメディア接触行動といったインテージの持つさまざまなパネルデータを横断・連携した15,000項目におよぶ膨大なデータから、各お客様企業のマーケティング課題に応じて柔軟にターゲット・セグメントを設定することが可能です。
※ さまざまなパネルデータを横断・連携するという性質上、出力結果のサンプルサイズはデータによって異なります。


生活者研究センター概要

インテージの生活者理解の拠点として2020年8月3日に誕生。
長きにわたり蓄積している生活者の消費行動やメディアへの接触行動、さらには生活意識・価値観データなど膨大な情報を連携・横断して用いるとともに、社内の各領域におけるスペシャリストの知見を織り合わせることにより、生活者をより深く理解し、生活者を起点とする情報を発信・提供することを目的として設立された。また、お客様への直接的な貢献を目的として、共同研究や具体的なプロジェクトへの参画などにも積極的に取り組んでいく予定。


著者プロフィール

生活者研究センター コンシューマーチームリーダー 森本 瑠奈(もりもと るな)プロフィール画像
生活者研究センター コンシューマーチームリーダー 森本 瑠奈(もりもと るな)
2016年インテージへ新卒入社。2018年までインテージのアンケートモニターであるキューモニターの管理・運営を担当。
2018年から社内の膨大なファクトデータを用いた生活者のプロファイリング分析ツール「生活者360°Viewer」の開発プロジェクトに参画。
現在は生活者研究センター コンシューマーチームのリーダーとして、事業開発、商品・サービス開発、コミュニケーション・プランニングなど幅広い領域において、生活者理解を武器としたコンサルタントを行っている。
コロナ禍でのマイブームはパン屋さんを目的地にしたお散歩。時間と体力が許せば2時間以上歩き続けてパン屋さんを3軒ハシゴすることも。
趣味はスポーツ観戦で、B.League(バスケ)とXLeague(アメフト)の試合に足繁く通う。

2016年インテージへ新卒入社。2018年までインテージのアンケートモニターであるキューモニターの管理・運営を担当。
2018年から社内の膨大なファクトデータを用いた生活者のプロファイリング分析ツール「生活者360°Viewer」の開発プロジェクトに参画。
現在は生活者研究センター コンシューマーチームのリーダーとして、事業開発、商品・サービス開発、コミュニケーション・プランニングなど幅広い領域において、生活者理解を武器としたコンサルタントを行っている。
コロナ禍でのマイブームはパン屋さんを目的地にしたお散歩。時間と体力が許せば2時間以上歩き続けてパン屋さんを3軒ハシゴすることも。
趣味はスポーツ観戦で、B.League(バスケ)とXLeague(アメフト)の試合に足繁く通う。

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