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F1 ファンは、どう変化している?― F1 新時代の日本グランプリ現地観戦者の変化を読み解く

2026年のF1日本グランプリは3日間で31万5,000人が来場し、ここ数年でも特に関心の広がりを感じさせるイベントとなりました。現地観戦の盛り上がりに加え、フジテレビによる地上波ダイジェスト放送が実施されたことで、「テレビをつければ、そこにF1がある」という形でF1と出会った人も少なくないと思います。配信やSNSが主流となった現在において、地上波ならではの“偶然の接触”が再び生まれた点は、今年の日本グランプリを語るうえで重要な転機と言えるでしょう。
この背景には、この2年間で重なったいくつかの変化があります。2025年の映画「F1/エフワン」(ブラッド・ピット主演)のヒットは、F1を普段追っていない層にも「人間ドラマとしてのF1」を届け、SNSや動画を通じて新たな入口を広げました。さらに2026年は、ホンダのワークス復帰とトヨタのタイトルスポンサー参画という象徴的な動きが重なり、日本の自動車メーカーがそれぞれ異なる立場からF1に関与する様子が、国内ファンの関心にも影響を与えていると考えられます。

こうした環境変化を受けて、F1日本グランプリの現地観戦者にも一定の変化が生じている可能性があります。そこで今回は、2026年のF1日本グランプリ現地観戦者の特徴を、昨年2025年の現地観戦者と比較しながら整理し、応援しているチームや観戦体験の変化を読み解いていきます。

1. 応援しているチームはどう変わった?-ファンの「推し」の変化

まずは、F1ファンが応援するチームが昨年から今年にかけてどのように変化したのかを見ていきます。図表1は、観戦の有無にかかわらず、昨年最も応援していたチームから、今年最も応援しているチームへの移動を示したものです。どのチームからどのチームへファンが移動したのかを可視化することで、2026年に起きた「推し」の変化の構造を捉えます。

図表1

応援チームの移り変わり【ベース:F1チーム認知者のうち、2025年または2026年応援チームあり】

2025年最も支持を集めていたレッドブル・レーシングの支持が大幅に縮小しているのが特徴的です。その多くがアストンマーティンに移行しています。加えて、ハースF1チームやフェラーリなど他のチームへ応援先を移したケースや、2026年は特定の「推し」を定めていない層へと移行している様子も一定数見られ、支持が複数の方向に分散している様子がうかがえます。
次に図表2では、実際の数字で現地観戦者と配信視聴者それぞれにどのような変化があったのか、詳しく見ていきます。

図表2

最も応援しているF1チーム【ベース:F1チーム認知者のうち、現地観戦者または配信視聴者かつ2025年または2026年応援チームあり】

2025年は、レッドブル・レーシングを最も応援していた割合が現地観戦者で約4割、配信視聴者で5割と最も高く、最も支持を集めるチームでした。しかし2026年になると、この構図は大きく変化します。レッドブル・レーシングを最も応援している人が1割程度まで低下した一方で、アストンマーティンは、現地観戦者・配信視聴者ともに2割程度まで増加しました。こうした背景には、2025年までPU(エンジン)を供給していたレッドブルに代わり、2026年からはアストンマーティンとワークスパートナーとして参画する体制へ移行したホンダの動きが影響していると考えられます。
また、「応援しているチームはない」と回答した人も、特に配信視聴者で増加しています。これは、特定のチームやドライバーへの支持に縛られることなく、F1というスポーツそのものが楽しまれ、観戦行動につながっている様子がうかがえます。

2. 現地体験に求めるポイントはどう変わったのか

次に、2026年のF1日本グランプリで、現地観戦者が「何を楽しみに来場し、実際に何に満足したのか」を見ていきます。図表3は、観戦前の期待と観戦後の満足を世代別に比較した結果です。

図表3

現地観戦前に楽しみにしていた点と観戦後に満足した点【ベース:現地観戦者】

まず、「サーキットの雰囲気」、「エンジン音」、「臨場感」は、2025年同様、2026年も事前の期待が高い項目でした。しかし、今年は特に30代以下で観戦後の満足度が大きく下回る結果となっています。期待そのものは高い一方で、実体験がその期待に届かなかったようです。
なかでも「エンジン音」は世代を問わず、事後の満足が事前の期待を大幅に下回りました。2026年からのレギュレーション変更により、従来よりも電動モーターの出力が大きくなった結果、これまでとは異なるエンジン音に感じられたことが影響しているのかもしれません。
一方で30代以下では、「ピットストップ」、「写真・動画撮影」、「ファン同士の交流」といった項目で、事前の期待を上回る満足が見られました。これらはレース結果や演出とは異なり、現地で偶発的に得られる体験や人との関わりに価値が置かれている点が共通しています。
2026年のF1日本グランプリでは、従来から評価の高かった要素ほど満足度が伸び悩む一方、現地でこそ実感できた体験が、特に30代以下の満足度を上げる構図が見えてきました。これはF1観戦の楽しみ方が多様化しつつある兆しとも捉えられるでしょう。
続いて、観戦後の満足点を2025年と2026年で比較して見ていきます。
図表4は、観戦後に満足した点を世代別に整理し、昨年と比較したものです。

図表4

観戦後に満足した点 経年比較【ベース:現地観戦者】

30代以下では、「臨場感」が昨年から大きく低下している点が際立っています。また、臨場感の構成要素の1つと考えられる「エンジン音」や「レース中のドラマ」といった項目でも満足度が下がっています。これらはいずれも昨年は評価の高かった項目であり、2026年は30代以下において、現地体験の受け止められ方に変化が生じていることがうかがえます。
一方で40代以上では、こうした項目が昨年より高まっており、特にオーバーテイク(追い越し)やレース展開の変化が評価につながっている様子が見られます。同じレース環境であっても、世代によって着目するポイントや面白さの感じ方が異なっているのかもしれません。
ただし、こうした世代差の背景については、本調査の定量データだけでは十分に把握できません。どの要素や瞬間が価値として認識されているのかを理解するには、インタビューや現地での行動観察といった質的な掘り下げが必要になります。

3. 「次はこうしたい」— 現地観戦で見えた課題

ここまで、現地観戦者が何に満足したのかを見てきました。続いてこの章では、実際に現地で観戦してみて、今後どのような点を見直したいと感じたのか、いわば「反省点」を見ていきます。現地観戦回数によって意識するポイントが異なる可能性を踏まえ、観戦回数が3回以下と、4回以上に分けています。(図表5)

図表5

今後見直したい点【ベース:現地観戦者】

現地観戦回数が3回以下では、「トイレの待ち時間対策」をはじめ、「服装・履き物対策」や「帰路の混雑を見越した対応」など、長時間の滞在や移動に関わる項目が比較的多くなっています。一方で、現地観戦回数が4回以上では、これらの項目はいずれも相対的に 割合が低く、3回以下との差が大きくなっています。現地観戦を重ねる中で、自身なりの「観戦スタイル」が形成され、こうした点が課題として意識されにくくなっている様子がうかがえます。
これらの結果から、初めて、あるいは経験の浅い現地観戦者に向けて、会場の混雑状況や過ごし方に関する情報を分かりやすく整理して伝えていくことが重要だと言えるでしょう。実際、こうした観戦者の後悔の多くはF1日本グランプリの公式サイトや公式LINE(ライン) にて「みんなの声」としてすでに公開されています。
https://www.suzukacircuit.jp/f1/faq/voice/index.html
今後はこれらの情報を初めての鈴鹿でも十分に活用できるよう、適切なタイミング・方法で届けていくことが望まれます。

では、そうした体験を経た人や、配信を通じてF1を追っている人たちは、今後どの程度「現地で観たい」と考えているのでしょうか。次の章では、現地観戦者と配信視聴者の今後の現地観戦意向を見ていきます。

4. 今後の現地観戦意向

図表6は、今後F1日本グランプリを現地で観戦したいかどうかについて、2025年と2026年の結果を比較したものです。

図表6

今後のF1日本GP現地観戦意向【ベース:現地観戦者または配信視聴者】

現地観戦者では、2025年時点でも約8割と意向は高かったものの、2026年はさらに増加し、9割に近づきました。現地での体験を経たうえで、再び現地に足を運びたいと考える人が多いことが分かります。
一方、配信視聴者でも、現地観戦者ほどではないものの、およそ6割が今後は現地で観戦したいと回答しています。配信でF1を楽しんでいる層の中にも、実際の現地体験へと関心を広げている人が一定数存在している様子がうかがえます。

5. まとめ

2026年のF1日本グランプリを通じて、現地観戦で何を価値として受け取るかは、必ずしも一つではないことが見えてきました。世代によって評価の軸は異なっており、30代以下では「雰囲気」や「音」といった従来型の価値で満足度が伸び悩む一方、「ピットストップ」や「他のファンとの交流」などの偶発的・体験型の要素が評価されています。これに対し40代以上では、「オーバーテイク」や「レース展開」の分かりやすさが満足につながるなど、同じレースであっても世代ごとに満足のポイントが分かれる傾向が、昨年と同様に今回も見られています。
また、観戦回数を重ねることで課題が相対的に減っていく様子や、配信視聴者の中に将来的な現地観戦につながり得る層が存在している点も確認されました。
今後は、単一の体験価値を前提とするのではなく、世代やF1との関わり方の違いを踏まえた視点で現地観戦のあり方を捉えるとともに、その背景を理解するための質的な掘り下げも重要になっていくと考えられます。


調査地域 :日本全国
対象者条件 :18-99歳男女
標本抽出方法 :弊社モニターより抽出し、アンケート配信
標本サイズ :10,771s
調査実施期間 :2026年4月3日~4月6日

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著者プロフィール

武井 君枝プロフィール画像
武井 君枝
2021年インテージ入社、モビリティ領域のリサーチャー。
レギュレーション変更後のエンジン音を生で聴けたことが鈴鹿での一番の思い出。
これまでと違う響きが印象的でした。

2021年インテージ入社、モビリティ領域のリサーチャー。
レギュレーション変更後のエンジン音を生で聴けたことが鈴鹿での一番の思い出。
これまでと違う響きが印象的でした。

著者プロフィール

工藤 里志プロフィール画像
工藤 里志
2016年インテージ入社、モビリティ領域のアナリスト。
アウディのビノットさんにサインをいただけたことが今年の鈴鹿のハイライト。
可愛らしい筆跡でした。

2016年インテージ入社、モビリティ領域のアナリスト。
アウディのビノットさんにサインをいただけたことが今年の鈴鹿のハイライト。
可愛らしい筆跡でした。

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