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新しいマーケティングのすすめ(22)

マーケティング調査は、データを取るのではなく、予想を確認する仕事

マーケティングを行う時には、さまざまな調査を行います。私が、マーケターとして調査を行う理由は、ずばり「無知」だからです。「お客様を知らない」「売りたい商品のターゲットであるお客様が感じる魅力を知らない」「私のコミュニケーションが、相手にどのように伝わるか知らない」というような、相手の理解に対する「無知」が、私が調査を行う理由です。

このような調査に関する、私の考えの整理は、新しいマーケティングのすすめ(4)や、新しいマーケティングのすすめ(8)に、述べてきました。しかし、今回はその調査、特に生活者、消費者調査の現場で起きていることについて、考えてみたいと思います。

マーケターが、被験者に生活者や消費者をリクルーティングする調査を行う際、注意点があります。それは、フォーカス・グループ・インタビューでは、「誰に」「何を」聞きたいのかを明確することです。その時に、私たちマーケターはフォーカス・グループ・インタビューから得られる知見について予想を立てます。そして、その予想を確認するために、被験者の発言というデータを使って調査を行うのです。

そもそも、この「予想」がなければ、被験者のターゲット設計は無限空間になり、そしてフォーカス・グループ・インタビューの質問時間も無限になってしまいます。調査で確認したいこと。つまり予想があるからこそ、調査対象者をグルーピングでき、有限な調査時間で効果的に被験者からの発言を引き出すことが可能なのです。

最近の調査は予想がはずれることが多いのでは

ところで最近、フォーカス・グループ・インタビューや、インターネット・サーベイによるモニター調査などを行ったとき、「あれ?」と思ったことはないでしょうか?

私も、コンサルティングの現場で、さまざまな調査設計をご支援し、そのデータ分析を行いますが、「あれ予想と違うぞ」と思うようなことに出会います。

その際、自分のマーケターとしての能力が低くなったのか、それとも自分とマーケティング・ターゲットとの属性の違いに依存することなのかと、予想が外れた理由を片付けていました。が、少し落ち着いて冷静に考えると、私たちのお客様のグルーピングが的確ではなかったとことに依存している、と気づいたのです。

例えば、「缶コーヒー飲料」のマーケティングを行っていたと仮定しましょう。

典型的な、お客様のグルーピングの方法は、「缶コーヒーの飲用頻度」、「缶コーヒーの選択理由」など、「缶コーヒー」と「お客様の関係」で、消費者像を何象限かに分けることが多いと思います。

大量生産・大量消費時代のマス・マーケティングが有用な時期には、この手法でも大きな問題が発生していませんでした。そして、この成功体験が今も有益だと考え、多くのマーケティングの会議で、「マーケティングするモノ・サービス」と「マーケティングしたい人」との関係性を活用して、調査の設計を行っているのだと思います。

私が最近感じているのは、この整理論だけでは、生活者・消費者の理解が行いにくい時代になったということです。

今すぐ行えるチェックは、御社のGoogle Analyticsのデータを見て議論すること

ここでの私の議論を確認する方法と、生活者のグルーピングをバージョンアップする方法があります。

多くの読者の会社では、Webサイトを開設しているのではないでしょうか?

そして、開設している以上は、サイトの訪問者がいると思います。そのサイトの訪問者の「アフィニティー」という項目を調べてみることです。アフィニティーとは、Googleが理解している、お客様の識別子別のインターネットで接触が多い情報(インタレスト)のデータです。つまり、旅行に興味のある人が多く訪問しているのか、映画に興味のある人が多いのか、などがわかるのです。

ぜひ、会社のWeb責任者に連絡をして、自社のサイトの「アフィニティーのリストを出して欲しい」とお願いしてみましょう。

アフィニティー(ユーザー > インタレスト)のデータ

上記のデータは、私の会社の実際の、アフィニティー(ユーザー > インタレスト)のデータです。私は、マーケティングやデータ活用などのコンサルティングを行っているので、そのような人が多く集まっているのでしょうか。

実際に、一番多いのは、「Lifestyles & Hobbies/Business Professionals(ライフスタイルと趣味 / ビジネス専門家)」というグループであり、ビジネス・パーソンが多そうです。しかし、3番目に多いのは、「Technology/Technophiles(テクノロジー/テクノフィール)」なり、技術に興味の多い人がサイトに訪問していることがわかります。

生活者のグルーピングを、24時間で考えることが、バーションアップの1つ

今回のようなアプローチは、生活者や消費者を、マーケティングの対象との接点だけで考えるのではなく、24時間365日の視点で考えるという提案です。

今までも、24時間365日という言葉は出てきました。今までは、それがとても自社だけではできなかったのですが、今は、さまざまな方法で、生活者・消費者の生活や考え方を観察できるようになりました。

このような議論を行うと、今までマーケティングの対象を中心に、生活者をグルーピングしていた考え方に、違う視点を提供が可能です。

例えば、飲料のマーケティングを行っている際、今までは、週に何度飲むのかとか、よく飲む飲料のカテゴリーは、などでグルーピングしていました。

それが、この考えを使うと、スポーツ好きなのか、健康志向なのか、などのグルーピングも可能となります。

このように、生活者・消費者を俯瞰的に見てグルーピングすることで、今の多種多様な時代に即した、精度が高いマーケティングができるのではないでしょうか。

著者プロフィール

株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充プロフィール画像
株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充
1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

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