

インテージでは、2020年から継続的にSDGsに関する自主企画調査を行っている。
2026年を迎え、2030年という達成期限が近づく中で、生活者はどのようにSDGsを捉えているのか、企業や商品/サービスを選ぶ視点にはどの程度影響が見られるのか、生活者の認知・意識・行動の変化共に明らかにしていきたい。
そして、ゴールである2030年以降もSDGsに代わる目標設定が必要と生活者が考えているのか、合わせて検証を行っていく。
TVや店頭でもSDGsに関するメッセージを日々目にする機会が増加している。
2020年からの7年間 のSDGs用語の認知率を調査した結果が(図表1)である。
SDGs用語認知(「言葉を聞いたことがあるが、内容は知らない」までを含める)は、2023年12月の84.6%をピークに減少しており、2025年12月では80.9%となり、3.7ポイント低下した。
「内容を知っている」は微増ではあるが年々上昇傾向にあり、2025年12月では17.8%となった。
SDGs用語の認知率の低下は、社会の話題が物価高騰・地政学・分断・安全保障へ移り、SDGsの露出が相対的に埋もれたのではなかろうか。
図表1

2025年12月の調査結果を年代別に分析すると、15~29歳の若年層が「内容を知っている」割合が最も多く31.9%に達し、30~49歳のミドル層と比較して約2倍となった。
この理由は、学校教育でSDGsに触れたか否かが影響しているようだ。SDGsに初めて触れたタイミングを確認したところ、15~29歳では82.5%が学校教育(小学校~大学)で初めて触れたと回答。一方、30~49歳では、その割合は17.0%に留まっている。今後、学校教育を通じてSDGsを知り、理解を深める/深めてきた世代が増えることが想定される。
企業としては、SDGsの内容理解が進んだ世代に対して、的確なメッセージを創出する必要が今後ますます重要になってくるだろう。
図表2

では、生活者は実際にどのようなサステナブルな行動をしているのだろうか。インテージでは、代表的な10のサステナブル行動の程度を確認し、その実践度からSuper(サステナブルな行動を進んで行い他者へも協力を求める)~Low(サステナブルな意識は低め)の4層に区分した「サステナブルセグメント」を作成している。
※サステナブルセグメントの詳細は「サステナブルな視点をビジネス課題の解決に活かす 」をご覧いただきたい。
このサステナブルセグメントの構成比の年次変化を示したのが(図表3)である。
図表3

過去6年間のサステナブルセグメントの変化を見ていくと、サステナブルな行動を進んで行い他者へも協力を求める「Super層」とサステナブル行動の意義を見出して積極性がある「High層」の合計のピークは、2021年であり33.8%であったが、直近の2025年12月では29.1%であり、4.7ポイントの低下がみられた。
サステナブル行動に肯定的な「Moderate層」の割合には大きな変化はないが、サステナブル意識が低めの「Low層」が年々増加している。
SDGs用語の認知は高止まりしているが、サステナブル行動を行う生活者の割合は低下している。要因としてコロナ禍で高まった意識醸成が、物価高や国際情勢の変化により社会や環境への意識が希薄になっていることが影響したと思われる。
次に、生活者は2015年に採択されたSDGsを現在どのように捉えているのか、SDGsに対応する企業に対してどのような思いを持っているのか確認したのが(図表4)である。
図表4

直近の2025年12月の調査結果では、「新しさを感じる」が2024年と比べ8.4ポイントダウンし、38.3%となっている。逆を言えば、生活者の約6割は、SDGsに関して「新しさを感じていない」と思っているようである。
一方で「SDGsに取り組む企業を応援したい」、「SDGs関連商品・サービスを購入(利用)したい」はこの3年間で微減にとどまっている。「SDGsに新しさを感じなくなった」=「サステナブルな行動を止める」ではなく、生活者がある程度サステナブルな行動に慣れて来たと言えるのではなかろうか。
SDGsでは2030年までの到達目標として17のテーマを揚げている。生活者がこの17の目標に対して何を優先的に取り組むべきと考えているのか、年代別に確認したのが(図表5)である。
図表5

全世代共通で1位「すべての人に健康と福祉を」2位「平和と公正をすべての人に」となった。昨年度の調査と比べて1位と2位の順位に変化はなかった。
3位以降は年代により差が出た。「気候変動に具体的な対策を」に関しては、15~29歳では7位(16.1%)、30~49歳では3位(20.8%)、50~69歳も3位(29.2%)と、年代が上がるにつれ優先的に取り組むべきと考える人が多くなっている。
「働きがいも、経済成長も」に関しては、15~29歳では6位(17.1%)、30~49歳では6位(18.3%)、50~69歳(12.8%)と、ミドル世代を中心に注目していることが分かる。 このように、自身のライフスタイルに合わせて、視点が異なることから、SDGsの目標に対しても取り組むべき優先順位が異なっていると思われる。
このSDGsの17の目標は、国連により2030年までに各目標・ターゲットを達成することが重要であると記載されている。
では生活者は17の目標が2030年までに達成できると考えているのだろうか。
2025年12月時点で、期限までに達成が困難だと思う目標を確認したのが(図表6)である。
図表6

2030年までに達成が困難なSDGsの目標は、「貧困をなくそう」37.0%、「気候変動に具体的な対策を」35.7%、「人や国の不平等をなくそう」32.5%、「平和と公正をすべての人に」29.3%が上位に挙がる。
先ほどのSDGs17の目標の中で優先的に取り組むべき目標1位「すべての人に健康と福祉を」の達成が困難だと考える人は25.7%、2位「平和と公正をすべての人に」は、29.3%が達成困難であると考えている。
これら17の目標の達成のためには、国際社会の協力の他、技術進歩による課題解決も重要になってくる。次に、技術の進歩によって2030年までに解決できると考える課題についても確認した。
図表7

1位「ドローンによるインフラ点検、防災対策」19.7%、3位「ロボットによる介護・介助の負担軽減」16.5%であり、人手不足を解決するための自動化技術開発が進むと生活者は考えているようだ。
SDGsの目標「すべての人に健康と福祉を」では、技術進歩による課題解決への期待が高く、「遠隔医療による医療アクセス格差の改善」11.9%、「IoTセンサーによる高齢者見守り」9.2%、「ウェアラブルデバイスによる予防医療の推進」7.0%となった。
「気候変動に具体的な対策を」では、「気象観測・予測精度の向上による自然災害被害の軽減」に11.9%が、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」では、「再生可能エネルギーによるエネルギーの安定供給」に9.6%が期待を寄せている。
これら健康・福祉や気候変動対策、エネルギーといった主要テーマに加え、
「食料」(スマート農業)、「教育」(オンライン教育)、「産業」(インフラ管理)など、日常生活や社会基盤に近い領域でも技術活用への期待は広がっている。
生活者は、SDGsのさまざまな領域において、先進的技術が具体的な課題解決につながると期待していることが分かる。
では、技術進歩が進む一方で、仮にSDGsの2030年目標が達成できなかった場合、2030年以降に新たな国際目標は必要だと思うか?を確認したのが(図表8)である。
図表8

結果は、2030年に17のSDGs目標が未達成だった場合、新たな目標が必要(ぜひ必要+必要)と考える生活者は59.6%で、約6割に上り、不要であると回答した人は、約1割に留まった。
年代別にみると、必要と考えるのは、15~29歳:61.7%、30~49歳:55.4%、50~69歳:62.1%であり、若年と年配層が、新たな目標が必要と感じているようである。
多くの人が、2030年までに現行のSDGs目標の達成が困難だと感じているが、テクノロジーの進歩により一部に関しての課題は解決できると期待している。
その上で、SDGsで掲げられた目標に対しては、期限の有無にかかわらず、引き続き目標達成に向け取り組んでいきたいと考えていることが分かる。
SDGsの理解は「内容を知っている」が17.8%にとどまる一方、若年層では31.9%まで進む。
しかし、サステナブル行動(Super+High)は29.1%へ低下し、「新しさを感じる」も38.3%まで落ちている。つまり“知っているのに動けない/慣れてしまった”層が増えている状況である。
マーケターは、SDGs訴求をスローガンではなく「生活課題の解決」と「選ぶ理由」とセットで丁寧に説明する必要がある。
企業の応援意向47.6%、SDGs関連商品の購買意向40.9%は微減ではあるが一定数存在しているため、物価高下でも納得できる便益(長持ち・節約・時短・安心)と、環境・社会価値をセットで提示することが有効であろう。
生活者がSDGsの17の目標の内、重要視する項目は「健康と福祉」「平和と公正」で、「気候変動」は年配層ほど重視傾向にあるなど世代差もあるため、カテゴリ×ターゲット別に“響くGOAL”を設定することが必要となる。
さらに、参加意欲の高い層(サステナブルセグメントのSuper層+High層)に対しては共創・参加型体験を提供すること、一方、Moderate層+Low層は日常の利便性や“ちょっとしたお得感”が行動のきっかけになりやすい特性がある。そのため、詰め替え商品を選ぶことや、食品ロスを低減することは、実は“お得”であり、かつ環境に配慮していると丁寧に説明することが有効であろう_。
最後に、2030年以降も新たな目標設定を必要とする声が59.6%ある今、引き続きSDGsが示す課題解決への継続コミットを企業・ブランドとして中長期的に、生活者へ示していくことが大事となるのではなかろうか。
※今回の調査で明らかになった詳細なデータやチャートは、無料のダウンロードレポートでご覧いただけます。レポートのみにて提供している項目は以下です。ぜひ、ダウンロードしてご覧ください。
<ダウンロードレポートのみ記載事項>
・SDGsを初めて学んだタイミング
・商品・サービスの選定時の「社会や環境」に対する重視度(カテゴリー別)
・サステナブルな行動をする理由
・サステナブル行動の実施率(45項目)
・関心のある社会課題
・企業が発する環境・社会課題に対するメッセージの評価
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】
調査概要
調査地域:日本全国
対象者条件:15~69歳男女個人
標本抽出方法:マイティモニターより適格者を抽出
標本サイズ:スクリーニングn=10479※ 本調査n=5434※
ウェイトバック集計:なし※
※国勢調査に基づき性別・年代・地域を人口構成に合わせて回収
調査実施時期: 2025年12月19日(金)~2025年12月22日(月)
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