
知るギャラリーで毎月更新している「生活者のお金の使い方」。この記事に掲載の物価指数の動きを見ると、物価の上昇率は2023年ピークを迎えた後徐々に緩やかになっていましたが、2024年10月以降、再び増加し始めています。物価高に加え、円安など消費を取り巻く環境の変化が続く中、最新の生活者マインド調査では、消費者全体の68%が「家計の節約を心がけている」と回答しており、この傾向は、新型コロナウイルスの第一波が落ち着いてきた2020年7月頃に、以前の数値から10ポイント以上急上昇して60%を超えて以降続いています。
では、商品購入に関わる意識や行動は直近でどのように変化したのでしょうか?本記事では、日常的に購入される消費財の主なカテゴリーである食品・飲料、雑貨・化粧品の2つのカテゴリーについて、
・節約・非節約の意識の違いと2023年からの変化
・節約の仕方の変化
を、インテージの消費者パネルSCI®のモニターに調査した結果をもとにまとめました。消費者の節約意識が具体的にどのように変化したのかを見ていきます。
図表1は、食品・飲料に関する節約意識をカテゴリー別に2023年と2024年で比較したグラフです。2024年は食品・飲料すべてのカテゴリーで節約意識が増加しており、特に調味料や加工食品、主食などの必需品で増加幅が大きく、嗜好品よりも節約意識の強まりが読み取れます。
図表1
同様に、雑貨・化粧品のすべてのカテゴリーでも「高くても買いたいものを買う」層が減少していることから、雑貨・化粧品全体で節約意識が高まっていることが読み取れます(図表2)。特に住居用品、洗濯用洗剤では節約意識の増加幅が大きく、食品・飲料同様に必需品の支出を抑える傾向が見られました。
図表2
食品・飲料、雑貨・化粧品の両カテゴリーともに、節約意識層は2023年比で増加し、全カテゴリーで半数以上を占めています。特に「どちらかといえば節約している」と回答した“ライト節約層”が増加傾向であることが分かりました。
続いて、実際にどのように節約しているのか、節約方法について聞いてみました。
食品・飲料では、「安いお店(ディスカウントストア等)を活用する」「特売品を買う」方法での節約が多いようです。(図表3)
図表3
一方で、2023年と比較すると(図表4)、「特売品利用」は昨年より減少し、「安いお店」の他、「安いブランドを買う」「プライベートブランド(以下PBと表記)を買う」節約方法が増加し、安いブランドやPBの利用などの“商品選び”による節約が増加したこと分かりました。
図表4
雑貨・化粧品でも2023年比で「特売品利用」が減少し、「安いお店」の利用が増加しました。また食品・飲料と同様に「安いブランド」利用も増加しており、特にメイクアップ化粧品で顕著でした。住居用品や洗濯用洗剤等の洗剤類は「詰め替え品を買う」が微増しました。(図表5)
図表5
両カテゴリーともに、2023年比で「特売品利用」が減少し、「安いお店」「「安いブランド」の利用が増加していることが分かりました。では、男女での違いはあるのでしょうか?
2023年比で節約意識の増加幅が大きかった必需品について、男女別の節約方法の違いを見ていきます。図表6は食品・飲料のうち、調味料と主食について男女別に節約方法をまとめたグラフです。どちらも男性は「安いお店」の利用が多い一方で、女性は「特売品」利用が多くなっています。
図表6
雑貨・化粧品カテゴリーの必需品である「洗濯用洗剤」も同様に、男性は「安いお店」の利用が多く、女性は「特売品」が多い結果となりました。また、「詰め替え品」の利用も女性で顕著でした。(図表7) 両カテゴリーともに、男性は安いお店を活用する等の店選びの段階で工夫する人が多い一方で、女性は特売品や詰め替え品を買う等、棚の中でも買い方を工夫している人が多い傾向がみられ、男女で節約方法に違いがあることが分かりました。
図表7
この記事では、日常的に購入される消費財の主なカテゴリーである食品・飲料、雑貨・化粧品について2023年と比較する形で、節約意識・行動の変化をお伝えしてきました。両カテゴリーともに、節約意識層は2023年比で増加し半数を占めること、「どちらかというと節約」のライト層が増加傾向であること、そして長引く値上げの影響を受け、これまで節約されやすいカテゴリーだった嗜好品に加え、生活必需品においても節約意識が広がっていることが分かりました。このような状況下でも選ばれるためには、「価格以上の価値」 を感じてもらう工夫が必要になってきそうです。
今回の分析では、インテージの SCI(全国消費者パネル調査)を使用しました。自社ブランドは節約意識の高い層や高くても買う非節約層に買われているのか?どんな人が自社ブランドのターゲットになり得るか?等、自社ブランドユーザーの意識を確認することも可能です。ご興味・関心がありましたらぜひお問い合わせいただければ幸いです。
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