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生活者インデックスデータ

Z世代・アルファ世代のリアル-テックネイティブな未来の消費者を紐解く③TikTok売れは本当に存在するのか?SNSを活用した「〇〇売れ」

今後の消費の中心として注目を集めるZ世代と、その次に来る“生まれたときからデジタルに慣れ親しんでいる”アルファ世代。インテージでは、Z世代リサーチ研究分科会(1) を中心に複数の部署やグループ会社で連携し、産業能率大学の小々馬敦先生(2)とZ世代・アルファ世代といった“テックネイティブ”の情報接触・価値観・消費行動を明らかにするための共同研究を行っています。

知るギャラリーでは、この共同研究の結果を6回にわたって、お伝えしています。第1回第2回は主に定量調査の結果から、消費価値観や消費行動モデルを探りました。
第3回となる今回のコラムでは、定性調査、つまりZ世代へ直接インタビューを行うことで見えてきた、SNS(3)を活用した「〇〇売れ」のリアルを紐解いていきます。さらに話題となっている「TikTok売れ」を始め、InstagramやYouTubeといったSNSが実際の消費行動へどの様な形で関わり、影響を与えているのかを考察していきます。 今回は実際にインタビューも行った、インテージクオリス リサーチ推進部の大野がお伝えします。

「TikTok売れ」は本当に存在するのか?

マーケターであれば毎年年末に誰もが目にするであろう、日経トレンディと日経クロストレンドが発表している「20XX年ヒット商品ベスト30」。2021年は1位が「TikTok売れ」で「短尺動画サイトが利用者1000万を突破し、最強の動画コマースサービスに進化。グミから高級車まで、あらゆるモノが売れた」*1と記載されています。現在30代ミレニアル世代である私は、そもそも周りにTikTokユーザーがあまりおらず、自身もYouTubeのショート動画を見るくらいであまり実感が湧かない結果でした。

今回のインタビューにあたってはZ世代に33,000円、α世代に11,000円を進呈し、実際にお買い物をしてもらいました。その詳細についてお聞きしていくので、インタビュー前はさぞ「TikTok売れ」の話が出てくるかと身構えて臨んだのですが・・・そもそもTikTokの話題がほぼ出てこず、出てきても、ファッションやメイクに興味のある、主に高校生や大学生の女性がたまに見てみるくらい、とかなり限定的なものでした。となると、当然ながら「TikTok売れ」につながる話もほぼ出てこず。唯一話としてでてきたのは、ファッションに強く興味のある小学生の女子が「TikTokで流れてきたLOOKBOOKの動画を見て、通販サイトに飛んでみた」でした。

確かに短尺動画がこの世代に好まれる傾向はありそうですが、はたしてそれが「TikTok売れ」につながるのか、今回のインタビューからはそのつながりはまだまだ薄そうで、小さな動きを確認するに留まりました。ヒットした商品もありますが、消費者や期間が限定的なものであり、この世代のマジョリティに根付いた消費行動ではないのではないか、と読み取ることができそうです。ではどのSNSがより強く実際の消費行動につながっているのか、インタビューでの生の発言からさらに考えていきます。

「インスタ“映え”」は「インスタ“売れ”」につながっているのか?

「TikTok売れ」が2021年末から2022年の直近に話題だったとすると、その前に話題となったのは「インスタ映え」でした。ユーキャンが毎年発表している「新語・流行語大賞」で「インスタ映え」が年間大賞となったのは2017年のことです。そこでは「テキストよりも大事なのは画像。 SNSでの『いいね!』を獲得するために、誰もがビジュアルを競い合う。インスタグラムの投稿者だけでなく、ケータイで写メを撮る行為に『インスタ映え』という意識が浸透した」*2と紹介されています。確かに「インスタ“映え”」は定着しましたが、よくよく考えると「インスタ“売れ”」はあまり聞かないと思いませんか。

今回のインタビューを行う中で、Z世代のメインとなるSNSはInstagramでした。特に女性の活用度が高く、彼女たちの発言を借りれば、もはや「名刺」に近い必須の存在とのことです。そして自分の趣味や関心事に合わせて、多数のアカウントを使い分けていました。“ホーム画面や検索画面に自分の趣味や関心事が真っ先に表示されるため”という理由なのですが、こちらについてはとても興味深い話だったので、次回以降の連載で詳しくお伝えします。そして、そこまで活用しているからこそ、実際の買い物もInstagramを中心に行っているかと思いきや、必ずしもそうではありませんでした。

・Instagramはアカウントごとに日々チェックして、気になったものを必ず「スクショ」。
・衝動買いで後悔したくないので、いったん寝かせ、買いたい気持ちが続いたら、公式のホームページや通販サイトを改めて閲覧し購入。
・買いたい気持ちが続かなかった場合は、店頭へ買い物に行ったときにパラパラと「スクショ」を眺め、それに近い、自分の好みのものを購入。

こうした発言により、Instagramは購買に影響を持っているものの“いいなと思うものを発見→即購入”という、直接的な消費行動を引き起こしにくいということが読み取れます。つまり、Instagram以外の情報源(オンライン/オフライン問わず)も活用することで、購買に至るまでのプロセスが複雑化しており、Instagram内で“発見→購買”と完結していないという意味で、「インスタ“売れ”」は起こりにくいと言えるのではないでしょうか。

これぞ「〇〇売れ」。YouTubeを軸としたゲーム関連商材の消費行動サイクル

TikTok、さらにはInstagramもまだまだ大きな動きとは言い切れませんでした。では一体どのSNSが直接的な購買に結びついていたかというと・・・それはズバリYouTubeでした。今回のインタビューでは2021年末に買い物をしてもらったのですが、丁度その時期がポケットモンスターの新作ソフト(4)の発売と重なっており、小学生から新社会人まで多くのα世代・Z世代が購入に至っていました。ポケットモンスターの人気を改めて感じたインタビューでしたが、それ以上に購入した後の行動がこの世代ならではの特徴を示すものでした。

ポケットモンスターのソフトを購入すると、彼らはどんどん先に進みたいので、Googleで「ポケモン+攻略」などと検索し、攻略情報を探し始めます。そして、Googleの結果ページや攻略サイトに埋め込んであるYouTubeのゲーム実況動画にたどり着き、その動画を視聴していきます。攻略に躓く度にこの検索を繰り返すと、実況動画を数多く投稿しているVTuber(バーチャルYouTuber)の実況動画に触れる回数が自然と多くなり、徐々にYouTubeのホーム画面にVTuberの動画が多く表示されるようになっていきます。その結果、VTuberが投稿しているポケットモンスターのゲーム実況動画以外も自然とチェックするようになり、最後にはよく見る様になった(推しとなった)VTuberが新たに実況し始めたゲームソフトが欲しい気持ちが高まって、新たに購入しようかと検討を始めていました。

このサイクルが、元々ゲームへの関心が高い人から、「お金をもらえるなら」と久々にゲームソフトを購入した人まで同じだったことから、この世代ならではの独自の消費行動サイクルであると捉えることができます。さらにZ世代より下のα世代では、初めて触れるSNSはYouTubeのゲーム実況動画であることが多いため、幼い頃から自然とこのサイクルに入っている可能性があると考察できます。

「〇〇売れ」による効果的なアプローチ

ゲーム関連商材の独自の消費行動サイクルの中でも、実際の消費に一番影響を及ぼしたのは「ゲームの実況動画」であると考えられます。その実況動画も、きちんとブランディングされた、完成した広告ではなく、一人のユーザーとしてのYouTuber、VTuberが実際に長期間利用(プレイ)してみることで、本来であれば購入しなければわからなかった様々な要素を自然と説明している点がポイントです。

過去にはPRなのか本当の消費者の声なのか不明瞭なSNSへの投稿を「ステマ(ステルスマーケティング)」と呼んで問題となりましたが、この世代では企業のPRは「案件(企業案件)」として明確に切り分けられていることが当然と捉えています。この結果、案件と明示されていないのであればファン(推し)が実際に使っている、おすすめしている商品であると認知し、自分も推しと同じものを持ちたい、そしてその後の動画配信の際にコメント等で共有したいという気持ちに進み、消費へとつながっていきます。つまりは、企業目線ではなく、一般の消費者目線でもなく、YouTuber、VTuberが実際に使ってみたい、プレイしてみたい商品を作ることがこの世代への新たなアプローチにつながるのではないかと考察できます。

では単純に有名なYouTuber、VTuberとのコラボ商品を開発すれば良いのかというと、必ずしもそうではありません。なぜならば、推しやインフルエンサーと消費の関係はより複雑で多様化しているからです。こちらについては連載第6回にて詳しく解説できればと思っています。


(1)【Z世代リサーチ研究分科会】
インテージグループR&Dセンターの分科会の一つ。マーケティング活動に資するZ世代の特性を理解し、グループの事業発展に繋がるZ世代の調査法・調査結果の活用法の確立を目指しています。これまでさまざまな形でZ世代にまつわるプロジェクトに関わったメンバーが集まり、社内外の知見の収集や自主調査の実施など精力的に活動を始めています。
(2)【小々馬敦先生】
産業能率大学経営学部マーケティング学科教授。ゼミの取り組みでは「Z世代の生活価値観」からマーケティングのニューノーマルを探究することを行っています。2015年から若者の価値観変容を追跡調査し、日本マーケティング協会と学生と社会人の対話「ミライ・マーケティング研究会」を開催するなど、精力的に若者のリアルについて研究されています。
(3)【SNS】
SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービスのこと。
本記事では幅広いサービス(Instagram/Twitter/TikTok/YouTubeなど)をSNSとして定義しています。
(4)【ポケットモンスターの新作ソフト】
ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール(2021/11/19発売)
Pokémon LEGENDS アルセウス(2022/01/28発売)


【参考文献】
*1日経クロストレンド,2021, 2021年ヒット商品ランキング 日経トレンディが選んだベスト30
*2生涯学習のユーキャン,2017,新語・流行語大賞

【調査概要】
期間:2021年12月28日から2022年1月26日
対象者:Z世代(1997年《24歳》~2009年《中1/12歳》と定義)22名
    α世代(2009年《小6/12歳》~2016年《小1/6歳》と定義)6名
※一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会 マーケティング・リサーチ綱領第17条に定められている通り、中学生以下の協力者は、保護者の同意・同伴を得た上で調査を実施しました調査方法:オンラインデプスインタビュー

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