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生活者インデックスデータ

Z世代・アルファ世代のリアル-テックネイティブな未来の消費者を紐解く④~テックネイティブとテレビとの新しい関係~

インテージでは、Z世代リサーチ研究分科会(1) を中心に複数の部署やグループ会社で連携し、産業能率大学の小々馬先生 (2)とα世代・Z世代といった“テックネイティブ”の情報接触・価値観・消費行動を明らかにするための共同研究を行っています。第1回~第3回はこちらからご覧ください。

 ・第1回:消費価値観から得る、未来の消費者理解のヒント
 ・第2回:テックネイティブの消費者行動モデル
 ・第3回:TikTok売れは本当に存在するのか?SNSを活用した「〇〇売れ」

第4回となる今回のコラムでは、インテージの調査から見えたα世代・Z世代のメディア接触行動の実態を、「テレビ」にフォーカスしてお届けします。若年層のテレビ離れが叫ばれる一方で、インターネットに接続されるテレビ、いわゆる「スマートテレビ」の普及で利用方法が大きく変化しているテレビ。テックネイティブとテレビとの新しい関係、その実態に迫ります。

α世代は「無料動画」、Z世代は「有料コンテンツ」にも意欲的

この記事では、各世代を以下の様に定義しています。
 ・ミレニアル世代:1980年生(41歳)~1996年生(25歳)
 ・Z世代:1996年生(24歳)~2009年生(中1/12歳)
 ・α世代:2009年生(小6/11歳)~2016年生(小1/6歳)

ネットに接続してインターネットコンテンツを見るなど、新しい情報通信機器としての側面を持つようになったテレビ。はじめに、それぞれの世代がテレビやスマホなどの情報通信機器をどのくらい利用しているのかを比べてみましょう。

図表1

図表2

α世代を除いたすべての世代で、スマホの利用率が最も高くなっています。テレビは、Z世代の利用率が最も低い一方で、α世代が最も利用していることが分かりました(図表1)。

細かく年代別にみると、α世代~Z世代(中学生)のスマホの利用率は、上の世代よりも低くなっています。α世代やZ世代は、小・中学生が含まれることから、個人のスマホを買い与えられていない方が多く、結果的にスマホの利用率は上の世代の方が高くなりました。テレビについては、Z世代(高校&大学)で下げ止まり、社会人にかけて利用率があがっていくV字型の波形になりました(図表2)。

次に、テレビで何を観ているのか、に注目しましょう。 近年、テレビの保有率や地上波テレビの視聴率は下降傾向です。一方、テレビのインターネット接続率が上昇し、動画視聴アプリ内蔵型のテレビが一般的になったことで、地上波テレビや録画番組に加え、様々な動画コンテンツが視聴可能になってきました。α世代、Z世代はテレビでどのようなコンテンツを見ているのでしょうか。

図表3は、テレビにおける各種動画コンテンツの視聴状況(利用率)を、世代間で比較した結果です。

図表3

依然としてTV番組(※)が最も視聴されていますが、動画視聴サービスはいずれの世代でも50%を超えて視聴されています。特にα世代の“無料の動画視聴サービス”の利用率は65%と、際立って高い数値となりました。録画番組利用が63%ですので、それを上回る数値となっています。
※今回の調査票では地上波、BS、CSは項目を分けていないため、全て「TV番組」に包含して回答されているものと考えられます。(動画配信や録画、DVDなどは選択肢を分けて提示)

“無料の動画視聴サービス“はα世代を頂点に、若い世代ほど視聴されており、年代が上がるにつれて視聴されにくくなります。一方でTV番組は年代が上がるにしたがって視聴が増えていることから、テックネイティブ世代はより身近に無料の動画視聴サービスをテレビで利用していることが分かります。
“有料の動画サービス”についてはZ世代の中でも「大学&社会人(21-24歳)」の層が最も高い利用率となりました。無料動画で配信コンテンツに親しんだ層が、ある程度自由にお金をつかるようになり、有料コンテンツも利用するようになったことが想像されます。

モニター化するテレビの実態~観たいものを映す窓

ここで、さらにα世代、Z世代のテレビの観方を「観察」というアプローチで掘り下げていこうと思います。今回、一部の調査協力者のご自宅にカメラを設置し、メディアの接触状況をモニタリングさせていただきました。図表4はZ世代のお兄ちゃんと、α世代の弟さんの夕食時の風景です。

図表4

Z世代のお兄ちゃんは、テレビの番組表をチェックするなど地上波放送も選択肢にありながら、有料の動画視聴サービスであるAmazon primeを観ています。その後、録画したテレビ番組を視聴しており、幅広い動画コンテンツの中からテレビで観るものを選択している様子が見て取れます。
一方のα世代の弟は夕食が済むまではお兄ちゃんと一緒にテレビ画面を見ていましたが、その後同じ空間で漫画本を読み始めました。食事の時はテレビ画面で同じコンテンツが共有されていましたが、その後は同じ空間にいながらも、異なるメディアで異なるコンテンツを個別に楽しんでいました。

また、α世代、Z世代に行ったインタビュー調査では、地上波放送、特にリアルタイム放送をほとんど見ていないといった声も聞かれました(図表5)。

図表 5

この二人は特にYouTubeやTikTokといった動画メディア、SNSが好きだったこともあり、TV番組への関心の低さを物語る発言が多く見られました。

行動観察やその後のインタビューからは、テレビをモニターとして扱い、「リアルのテレビ放送」「録画番組」「配信動画サービス」など幅広いコンテンツから、その時々に観たいものを選択するZ世代の姿が確認できしたが、彼らはこれらのコンテンツをどのように使い分けているのでしょうか。

自分がテレビで観ているコンテンツのイメージを尋ねることで、テレビ画面という窓を通じて、「どのような気分」になっているか、あるいは「コンテンツからなにを得たか」も浮かんでくるように思います。そこで、エンタメとして重要な「楽しさ」というイメージと、情報メディアとして重要と考えられる「信頼性」について聞きました(図表6)。

図表6

「楽しさ」については、α世代はどのコンテンツもスコアが高く、テレビ番組も、動画配信サービスも、コンテンツに関わらず「楽しんでいる」ことが分かりました。
「信頼性」については、比較した3種の中では全ての世代でTV番組が最も信頼されていることが分かりました。絶対値のスコアは高くないですが、他のコンテンツと比較するとテレビ番組は「信頼できる情報源」として、多くの人に受け止められていることが伺えます。また、年代が上がるにつれてテレビ番組の「信頼性」のスコアが高くなり、「楽しい」のスコアが低くなることも分かりました。

冒頭の結果の通り、「テレビ」の利用率では、α世代が高く、また、コンテンツとして「楽しい」イメージを持っているのもα世代でした。 「若者のテレビ離れ」と言われて久しい昨今ですが、若者以前の「子ども」たちは、テレビで観ることができる地上波以外のコンテンツも積極的に楽しんでいる姿が浮かび上がりました。テックネイティブの彼らにとって、テレビは地上波放送(あるいはテレビ由来のコンテンツ)を観るためだけのものではなく、様々な動画コンテンツを映すプラットフォームとなっていることがよくわかります。

一方、TV番組(地上波)に目を向けると、スマートテレビの普及によって “テレビ利用の幅が広がり、競合環境の変化によって選ばれづらくなっている”という状況は間違いなく、今後、存在感を増すテックネイティブ世代がこの状況を加速させていくと思われます。

テレビとテレビコンテンツの新しい可能性

1)テレビ由来のコンテンツの可能性~ネット配信、オンデマンド
2)「テレビ」が創るシーンの可能性~大画面、リビング、家族

「テレビ離れは本当か?」という問いに対して、離れたのではなく、「新しい関係が生まれている」という表現の方がしっくりくる、と考えます。テレビはプラットフォーム、エンタメや情報の「窓」として、むしろ、その存在感を増している、と考えるべきでしょう。

ネットに接続されたことから視聴できるコンテンツは激増しました。そのため、コンテンツ間の競争は激化しています。しかしながら、「楽しい」ものは選ばれ続けるはずです。見逃し配信のTVerがぐんぐんと利用者数を伸ばしていたり、良質なテレビ番組が有料動画サービスでも人気コンテンツになっているケースもよく見かけるようになりました。(例:千鳥の相席食堂など)
こうした状況は、テレビ番組のエンタメコンテンツとしての質の高さを雄弁に物語っています。さらに、ネットの‘フェイクニュース’が大きな課題として取り上げられるように、「信頼性」もまたテレビの価値として再認識されています。そのような背景から、今後、ますますマルチプラットフォームや2次利用まで見据えた、総合的なコンテンツ戦略の重要性が増していくことが予想されます。

また、Z世代とα世代で傾向が異なる部分もあることから、“若者”と大きく括ることなく、より細分化したターゲティングを行うとともに、志向性や可処分所得の変化など、成長に応じたマーケティングやコミュニケーションが重要になると考えます。

これらもマーケティング戦略に資する生活者の意識の変化を、インテージでは追いかけ続けたいと思います。
次回の連載では、Z世代と異なるアルファ世代の実態について紹介します。


(1)【Z世代リサーチ研究分科会】
インテージグループR&Dセンターの分科会の一つ。マーケティング活動に資するZ世代の特性を理解し、グループの事業発展に繋がるZ世代の調査法・調査結果の活用法の確立を目指しています。これまでさまざまな形でZ世代にまつわるプロジェクトに関わったメンバーが集まり、社内外の知見の収集や自主調査の実施など精力的に活動を始めています。
(2)【小々馬敦先生】
産業能率大学経営学部マーケティング学科教授。ゼミの取り組みでは「Z世代の生活価値観」からマーケティングのニューノーマルを探究することを行っています。2015年から若者の価値観変容を追跡調査し、日本マーケティング協会と学生と社会人の対話「ミライ・マーケティング研究会」を開催するなど、精力的に若者のリアルについて研究されています。


【調査概要】
期間:2022年1月28日から2022年2月7日
対象者:11歳から50歳までの5850人(内訳:α世代652人、Z世代1881人、ミレニアル世代1929人、41-50歳 253人)
調査方法:インテージのネットリサーチによる自主調査
11歳~15歳は、承諾した保護者の聞き取りによる代理回答を加えた

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