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よくわかる「定性調査」③定性調査の質を上げる、対象者の「履歴確認」とは?

「定性調査」の基本のプロセスや、実施のコツについて、シリーズで解説。
第3回の本記事では、対象者リクルートにおける品質担保として重要な「履歴確認」についてご紹介します。

1. はじめに:「履歴確認」とは

そもそも、履歴確認とは何でしょうか。
市場調査業界では調査参加者のことを「対象者」と呼びます。定性調査では数値で表現される量的なデータではなく、数値では測ることができない嗜好や行動など、質的なデータをインタビューなどによって集めます。定性調査の対象者をどのようにリクルートしているのかについては、以前「定性調査の進め方 ~対象者の集め方」でまとめましたが、対象者を集めるために行う品質担保が、「履歴確認」です。具体的には、対象者のこれまでのインタビュー参加状況や参加した調査の内容・回数などをチェックする作業となります。
履歴確認の具体的な内容や、履歴確認をしなかった場合に起こりうるトラブルなどを紹介してまいります。

2. 対象者はなぜ“何度も”インタビューに呼ばれるのか

定性調査は、食品・飲料・化粧品・日用雑貨品など、さまざまなテーマで日々行われています。調査テーマが幅広く、年間の実施数も多いため、同じ人が複数のジャンルでインタビューに呼ばれるケースは珍しくありません。さらに、生活実態や購買経験は人によって異なるため、「チョコレートも該当するし、化粧品も当てはまる」「家電でも日用品でも話せる」と、複数のテーマに条件が合致する人も一定数存在します。

このように、“参加し得るテーマが多い” + “調査自体が多い” という構造によって、対象者のインタビュー参加履歴は自然と積み重なっていきます。そのため、候補者の過去参加状況を確認し、“調査慣れ”が生じていないか、などを判断する「履歴管理」が不可欠となります。

例えば、実施したインタビューの対象者情報について参加履歴をデータベースで保管し、誰がいつどのインタビューに参加したのかが分かるようにするといいでしょう。

リクルートの流れ

3. “インタビュー慣れ”が引き起こすリスク

では、インタビューの参加経験が多いことで起こりうるトラブルは具体的に何が考えられるでしょうか。
インタビューは、インタビュアーやほかの対象者など、知らない人と話すことが前提となります。初めてインタビューに参加する人は、緊張したりうまく話せなかったりする可能性があります。逆に、インタビューに参加したことがある人は、インタビュアーや、ほかの対象者がいる状況に慣れているとはいえ、緊張することなく話せたりします。

一方で、多くのインタビューに参加している方は、「調査慣れ」によって次のような発言をする可能性があります。

例①:顔色をうかがう発言
インタビューに多く参加している方は、またインタビューに呼集されたいという意識から、自分自身が思っている意見ではなく、場の雰囲気を壊さないためにほかの対象者の意見に合わせたり、クライアントに都合の良い意見しか言わないなど、インタビューの流れや内容を意識した発言をする懸念があります。

例②:他人事な発言
対象者によっては、「若い女性は嫌いだと思う」「おじさんを対象とした商品だ」のように、主語がご自身ではなく広義な発言をされることがあります。インタビューに慣れると、自身の感想ではなく「市場的に(世間的に)どうか」という視点で発言する懸念があります。

定性調査で大事なのは、「その場に合わせて答える」ではなく、「対象者自身が本当に思っていること」を聞くことです。なぜなら、前者だと実際の生活や気持ちとは違う内容になり、正しい生活者理解につながらないからです。

こうした“調査慣れ”による発言のゆがみや、インタビューの進行に影響する行動を避けるためにも、事前の履歴確認が大切になります。次の章では、履歴確認によって具体的にどのようなリスクを防げるのかをご紹介します。

4. 履歴確認によって防げること

履歴確認では、ある候補者が過去にどんなインタビューに参加した経験があるかを参照し、参加可否について判断をしています。これにより、次のようにリスクを防ぐことができます。

・直近1年間に 同じクライアント や 同じブランド の調査に参加していないかをチェック
 → 過去のインタビュー内容に影響されて回答が偏る(=先入観が入る)ことを防ぐ
・競合クライアントの調査に参加していないか を確認
 → 機密情報が混ざる可能性を避け、安全な調査運営につなげる

ほかにも、例えば、お酒のインタビューでは、題材によって試飲をしていただくことがあります。その際に、試飲のお酒を飲みすぎて泥酔し、インタビューを阻害するような言動や振る舞いをされた方がいた場合、データベース上にその旨を記録として残しておくと良いでしょう。
記録を残すことによって、今後、再びお酒関連のインタビュー候補者としてリストアップされた際に、過去に“インタビューを阻害したことがある”という記録を元に参加可否判断を行い、懸念があればNGにすることができます。

また、インタビューでは積極的に発言でき、自分自身について話してくれることが重要です。リクルート時にも積極的に発言することに協力いただいたうえで参加をお願いしていますが、人によってはインタビュー中に自分の意見を言えない方もいらっしゃいます。インタビュアーも対象者に積極的に話題を振ったりと工夫をしていますが、どうしてもインタビュー中発言が少ない方はデータベース上にその旨を記録する場合があります。
記録を残すことによって、「〇〇という商品の魅力を時間いっぱい話してもらいたい」「●●の商品を買った経緯について、詳しく深掘りしたい」といった、対象者が知っていることや経験したことを積極的に話していただく必要のあるインタビューの際に、参加NGとして除くことができます。

履歴に情報を記録しておくことで、インタビューに参加いただいた方から実のある意見を聞くことができるよう、品質の向上に努めることが重要です。

5. まとめ

今回は、対象者を集める際に必ず行っている「履歴確認」について紹介しました。定性調査では、言わずもがな「対象者を集める」ことが肝となります。ここでの対象者とは、テーマに合う条件を満たし、実体験を本音かつ忖度なく具体的に話せる人を指します。加えて、直近の同テーマや競合調査への参加が少なく、“調査慣れ”の影響が小さいことも大切です。それらを見極める意味で、過去の参加状況などを事前に確認する「履歴確認」は重要な工程です。

インテージでは今回ご紹介した「履歴確認」をはじめとして、「インタビューフロー作成」や当日の場づくりなど、お客様の意思決定に偏りを生まないための様々な工夫を行うことで、調査自体の品質を担保しています。

関連資料

i-Guide はじめてのマーケティングリサーチ 定性調査の基礎 編
定性調査の基礎知識をわかりやすくまとめました。調査設計から結果をまとめるまでのポイントをステップに分けて解説します。

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