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生活者インデックスデータ

【2020年生活者が楽しみにしているコト~5 key stories⑤】~過去と対話する

『2020年、日々、生活者が楽しみにしているコト』と題した調査結果から、生活者の声を “デ・サインストーリー”としてご紹介してまいりましたこのコラム。最終回のテーマは過去との対話です。

2017年8月に調査を行った時には予想しえなかった2020年のコロナ禍。
当時、生活者は2020年という未来にどのような期待を託していたのでしょうか。2020年が“現在”となった今、それを振り返ることが、生活者の普遍的な価値観を理解し、新しい暮らしへの期待や展望をつかむ上で必要なのではないでしょうか。
2020年に生き、間もなく新しい年を迎える今、少しでも前向きな暮らし創造への刺激になることを願い、本コラムを執筆しています。

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【プロローグ】

調査を実施した3年前の2017年は、日本では天皇退位が決定、現在の自民党政権が発足、アメリカではトランプ政権もスタートした年でした。某有名企業での過労死が大きな社会問題ともなり、日本企業の働き方改革が大きく叫ばれる年でもありました。

当時から見た2020年といえば、東京オリンピックイヤーとして、大きな夢や経済効果が期待されていました。このことは調査結果にも“期待の大きな柱”として確かに現れていました。ただし、オリンピックに対して、世代によって、楽しみにしている“意味”が異なることも明らかになりました。
20代女性は、好きなアーティストのライブと同じように、コスプレも楽しめる総合エンターテインメントとして期待を寄せ、20代男性はスポーツとゲーム性の高いイベントとして認識、スマホで観戦するような気持ちも現れていました。50代女性では出場選手を子供の活躍を応援するような気持ちを投影しつつ観戦することを楽しみとし、50代男性ではオリンピックを契機にトレーニングやダイエット等、自身がスポーツに取り組むことに気づきを与えるといった自分ごと化しすぎる気持ちが文脈として現れていました。

もちろん、生活者の2020年への期待連想は、オリンピックだけに集約されていたわけではありません。
当時挙がっていたワードの中から、コロナ禍の今の生活にも関わりの大きい4つのキーワードに注目し、どのような想いが描かれていたのかを振り返ってみたいと思います。

詳細参照;https://gallery.intage.co.jp/2020seikatsusha/

※本デ・サインストーリーは、弊社自主企画『2020年、生活者が楽しみにしているコト』をテーマに実施したデ・サインリサーチの調査を実施。PAC分析の応用解析ツールPAC-iを活用し、期待構造を描き出した『マインドディスカバリーマップ』を生成、読み込み自主WSの分析結果より編集しております。

Story【“健康をシェアする”幸せを作り出そう】

パンデミックを経験した今年ほど、自分はもちろん家族、社会、世界規模でこれほど健康を願う年は、近年ではありえないでしょう。2020年現在の“健康”といえば“リスクからの守り”の意識が高まっているものと思われますが、3年前は20代男女、50代男女いずれも、健康の連想内容として“他の誰かと過ごすシーン”を思い描いています。20代男女、50代男性は、恋人や配偶者といった“健康であることを分かち合うパートナーがいる”という連想が2020年への期待として描かれていました。また、50代女性は家族の健康を願う一方で、健康である自分の楽しみとしては友人をパートナーとして連想していたのが特徴的でした。

現実の2020年は、withコロナすなわちwithリスクが続く生活となっています。健康であることに身近な人と、声を掛け合う、気にかけあう、当たり前のありがたみを分かち合う“健康をシェアする時間”として心身支え合えていることを願ってやみません。

図表1

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<健康に対する声なき声“デ・サイン”>
20代女性:自分磨きの一つとして健康であり、好きな人と恋愛を楽しみ、一緒に暮らすこと。
20代男性:iPhoneとコンビニを手放せない毎日だけど、彼女とレジャーに出かけられることが健康だ。
50代女性:とにかく友達とおしゃべりをしてワクワクして自分や家族の健康を願うわ。
50代男性:健康維持して、妻とのゆっくりした時間を楽しみ、ワインでも飲みたいものだ。

Story【睡眠は、自分のバージョンアップのための投資時間】

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、おうち時間が増えた2020年。在宅勤務などの生活スタイルの変化もあり、睡眠にまつわる環境が大きく変わった人も多いのではないでしょうか。
3年前にも、各世代に共通して楽しみにしていることとして“睡眠”は連想されていました。

女性は20代、50代とも、“睡眠”は自分のフィジカルコンディションを整えるだけではなく、美容や体力増強、資格取得等と同じ文脈にあり、“心身のバージョンアップ”に不可欠なものと捉えています。(図表2)
マップ上もレジャーエリアの真逆にあり、遊びの対極である学びや投資の近くに表出しています。未来に向けてアップデートさせる活動であることが、まさに“睡眠”への期待です。
男性は20代、50代とも、“睡眠”と結婚や家族、妻との時間との連想が女性より強めに現れています。女性が個人の時間と捉えていたのに対し、男性層では「マイホーム」にいる自分や、家族と暮らすサイクルの中での休息や、家族との幸せを得る期待が投影されています。

図表22020seikatsusha5_02_1.png2020seikatsusha5_02_2.png

なお、2020年に期待することの連想トップ1ワードは、いずれのセグメントでも「旅行」でしたが、
2020年12月現在、コロナ感染状況第3派の波が来ていることからGoToキャンペーン事業も停止が発表され、多くの人が求めている「旅行」への期待は諦めざるを得ない状況が現実にはあります。
「旅行」がない世界では、“睡眠”の位置づけは変わってくるのでしょうか?『マインドディスカバリーマップ』から、「旅行」ワードを削除し、「旅行」がない世界での“期待連想構造”をアウトプットして読み解いてみまし
た。

その結果、20代男性だけ、【旅行なし】と【旅行あり】の世界の構造変化が大きく、特に「健康」「睡眠」の位置づけに変化が見られました。(図表3)

図表32020seikatsusha5_03.png

20代男性は、【旅行なし】の世界では、「健康」と「睡眠」を同じ文脈として捉えているのに対し、【旅行あり】の世界では、「健康」と「レジャー」との結びつきが強くなりました。「旅行」や「レジャー」を楽しむには「健康」でないとならない気持ちの強さが窺えます。
更に、「旅行なし」の世界では、「健康」「睡眠」が勉強や自己研鑽にも文脈がつながっており、裏を返せば、
「レジャー」や「彼女」「旅行」がある世界では、「健康」は「レジャー」に意識が取られてしまっているといえます。これらを含めて全ワードマップに戻り、改めて“睡眠”の意味をみると、「結婚」「マイホーム」に近いことから、結婚をしてマイホームをもてばゆっくり“睡眠”がとれると考えていそうです。

ちなみに、2020年12月2日のあるネットニュースでは、withコロナ時代を反映しGoogle Play(米) が選ぶ2020年のベストアプリは睡眠改善アプリであるとのこと。深夜までスマホを見過ぎて睡眠時間を削ってしまいがちな行動を、スマホアプリで睡眠をマネジメントできるのは理にかなっているかもしれません。

<睡眠に対する声なき声“デ・サイン”>
20代女性:エステや筋トレなど、自分磨きアクションと同じく、睡眠も自分を高めるための重要な時間。
20代男性:結婚してマイホームを持ち、ゆっくり寝られるのが夢だな。
(今は十分に取れていないという裏返しか)
50代女性:ヨガ、資格取得、投資に向け、睡眠は自分を高めるための原動力的ね。
50代男性:睡眠は、健康維持や妻との時間を楽しみ、今後の社会参加のためのセルフマネジメントでもある。

Story【“ラーメン”は、日本のソウルフード?!】

今年は、“巣ごもり消費”というワードも生まれ、食卓をめぐる環境変化や行動変容も生まれています。日常の食シーンでは、在宅ワークによってランチを自宅で摂る機会の増加や、外食頻度の縮小は想像に容易だといえるでしょう。
12月2日の日経MJ紙面では「コロナ下食卓、ラーメン人気」という記事も取り上げられていました。本記事によると、2019年に比べ、食卓に登場するメニューで最も増加幅が大きかったメニューは、ラーメンなどの中華麺類であるとのこと。外出自粛や在宅の巣ごもりの中で簡単に作れる昼食として需要が高まったようです。また製麺カテゴリの大手食品メーカーも過去最高益を記録しています。

現実の2020年、思わぬ事情で大人気となっている「ラーメン」ですが、3年前の本調査結果にも、日々の楽しみの期待の“食の星”のように登場していました(因果関係は全く異なりますが、3年前からラーメン人気は見えていた?!)。実現できる日常性の高いレジャーの文脈で楽しめる“食”の代表として20代・50代の男性マップに現れており、意味としてはレジャー(外食)の連想として考えられますが、ワクワクする楽しい時間を彩る食として、「ラーメン」は外せないメニューであるといえそうです。

図表4

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※詳細は知るギャラリーURL 20代男性、50代男性
https://gallery.intage.co.jp/2020seikatsusha/

Story【未来へ続く道をドライブしたい】

2020年への期待連想ワードランキング(図表5)では、各世代に共通して「旅行」がトップ1の連想であったことは前述で触れましたが、それ以外にも目を向けますと「車/自動車」「ドライブ」への期待も大きいことがわかります。

図表52020seikatsusha5_05.png

20代男性、50代男性とも、「車/自動車」「ドライブ」を合わせると、「旅行」というワードを上回るほどの2020年への期待、トップワードでした。男性層を中心に、近未来をイメージする代表的なプロダクトは「車/自動車」が象徴的であるといえます。

国内の自動車市場では、近年、小型車や軽自動車が相次いでリリースされてもいます。コンパクトで小回り利くスペックや機能だけではなく、自動化や脱炭素社会への貢献を始め、ウィルス対策面でも安全な移動手段、在宅ワーク時のワーク空間など、様々な形で需要が見込まれるといったニュースも散見されます。
移動の考え方がギアチェンジするwithコロナ時代だからこそ、究極のパーソナル空間として、
移動目的だけではない逆転の発想が生まれる可能性もあるかもしれません。

【エピローグ】

今回のコラムのトピックを簡単にまとめてみますと「ラーメンのようにレジャーを紐づけて考えられる手軽な食メニューに、日々の食を楽しみにしつつ、健康であることへの感謝を分かちあい、今までの睡眠負債を返済するほどの睡眠を積極的に取ることで、少し先の未来に向かって心身のバージョンアップを図る」といったことを、ある意味普遍的に変わらぬ期待として、生活者は求めているのではないでしょうか。
年末年始へ向けて外出自粛の巣ごもりが続くこととなる当面は、このような時間を通じて、日々のちょっとした楽しみが少しでも増えることを願います。

さて、2021年はどんな年になるのでしょう?
生活者のコロナ禍の暮らしへの不安は、弊社が毎週更新しているwithコロナ関連のウィークリーレポートにも掲載があるように、今後の見通しとしても過半数の人が「今より悪くなる」と感じています。「ソーシャルディスタンスを保つこと」がコロナ禍のマナーとして定着しつつある中で、人と人が接するという人間の根本的な営みへの変化は、数年後にはどうなっているのか、見えない不安もつきません。

各企業も成長拡大だけを追求する姿勢から、持続可能性を目指して企業活動をつくり変えていかれる潮流が強まっていくでしょう。これから私たちが手にするモノやサービスの意味も変わっていくことが考えられます。
withコロナに生きる私たちは、今までと比べ実現できない活動に対し、それを補うのか、あるいは別の価値観で考える視点を持つのか、いずれにせよ、別の手段や知恵を手に入れて日々の経済活動を止めることなく関わっていきます。

また、情報過多も加速する時代、たくさんの情報が自分に紐づき留まることなく届けられます。情報を価値あるものとして取り入れるには、自分の“ありたい姿”への意志のもと、常に取捨選択と小さな判断が求められます。コロナショックで、当たり前の生活価値観も揺れてしまいましたが、私も変化に流されることなく、新たに生まれる自分や周囲への“問い”や“疑問”に気づく力や想像力、具現化できる行動力、社会や関わる多くの人への洞察力を養うと同時に、“自己との静かな対話”も増やしていきたいと考えます。

2021年、日々、皆様が楽しみにしたいと期待し、実現したいこととは何ですか。


参考・出典元
▼インテージ コロナウィークリーレポート
https://gallery.intage.co.jp/mind-weekly/
▼インテージ 「知るギャラリー」 新型コロナの影響で、消費者の移動手段に対する意識が変化
https://gallery.intage.co.jp/covid19-mobility/
▼インテージ 「知るギャラリー」 GoToTravelキャンペーンの宿泊割引やキャンペーンを利用したいか
https://gallery.intage.co.jp/covid19-dcgs-3/

●厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html

●米Google Playが選んだ2020年ベストアプリは睡眠改善のLoóna、コロナ時代を反映(2020年12月2日)
https://jp.techcrunch.com/2020/12/02/2020-12-01-google-plays-best-of-2020-awards-highlight-the-stressful-year-its-been/

●日経MJ 2020年12月2日(水)発行号11面記事

著者プロフィール

鮎澤留美子
鮎澤 留美子(あゆさわ るみこ)
飲料メーカー、航空会社、広告代理店グループ調査会社を経て、インテージ入社。生活者リサーチ全般、ワークショップデザイン、ビジネスエスノグラフィの知見を活かし、ファクトベースでアイデア発掘、新価値創造、コンセプトメイキングまでをリサーチデータと行き来しながら導出する『デ・サインリサーチ』を開発、推進を担当。自称、歴女(戦国時代の研究から進展しない笑) 。

※分析手法、解釈の仕方はこちらの動画でご覧ください。

 
 
今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
調査地域:日本全国
対象者条件:20~29歳、50~59歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:20代女性 n=556、20代男性 n=555、50代女性 n=555、50代男性 n=545
調査実施時期: 2017年8月21日(月)~2017年8月24日(木)

分析手法:PAC-i

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「出典:「インテージ 知る Gallery」●年●月●日公開記事」

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