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いまカメラを購入する20代ってどんな人?~あえてカメラで撮りたい若者たち~

はじめに

「スマホがあれば十分」。
そう言われ続けてきたカメラ市場だが、成熟・縮小と見られていた市場が、再び動き始めている。カメラ映像機器工業会統計のデジタルカメラ生産出荷実績によると、デジタルカメラ合計で生産・出荷ともに前年よりも増加している。タイプ別にみると、レンズ一体型(コンパクトデジタルカメラ)とレンズ交換式のミラーレスカメラで増加が見られる。
回復の兆しが見られる市場を読み解くために、カメラ購入者への理解を深めていこう。

▼デジタルカメラのタイプについて

デジタルカメラのタイプについて

図表1

デジタルカメラの2025年生産出荷実績

本稿では、2023年1月~2025年10月にデジタルカメラを新品購入した人 を対象にしたアンケート調査の結果をもとに 、タイプ別にカメラ購入者の特徴を見ていく。中でも、生産・出荷台数が増加しているコンパクトデジタルカメラとミラーレスカメラに着目する。
昨今、20代を中心として中古のコンパクトデジタルカメラ、いわゆる「オールドコンデジ」がブームとなっている。市場としては重要ではあるものの、新品と中古では購入時の評価軸・流通の仕組みなどが異なる。そのため、今回は新品購入のみを取り上げる。

1. デジタルカメラ購入者における新規・買い替え・買い増しの割合

まずは、購入者が、新規ユーザーなのか、既存ユーザーなのかを確認しよう。
購入者における新規・買い替え・買い増しの割合を見てみると、いずれのカメラタイプでも買い替え・買い増しが7割以上を占める。つまり、既存ユーザーのリピートによって支えられている市場であると考えられる。

図表2

ミラーレスカメラ・コンパクトデジタルカメラ購入者の新規・買い替え・買い増し

年代別でみると、 20代ではミラーレスカメラ・コンパクトデジタルカメラともに、新規ユーザーが約半数を占める。30代にも一定の新規層が存在するものの、40代以降ではその割合が大きく低下する傾向である。
20代のカメラ購入者に新規ユーザーが多い理由として、比較的早い段階からスマートフォンが身近にあったことも要因の一つと考えられる。30代以上では、自宅にいわゆる「デジカメ」があり、カメラに触れる機会が自然にあった人も多いだろう。一方、20代 では、カメラ自体を使った経験が少ない人も一定数いると考えられる。
エントリー層が多い20代のカメラ購入者の理解を深めていこう。

図表3

年代別のミラーレスカメラ・コンパクトデジタルカメラ購入者の新規・買い替え・買い増し

2. 20代はカメラ購入時に何を期待しているのか?

それでは、20代が購入前にカメラに期待していたことを見てみよう。ミラーレスカメラ、コンパクトデジタルカメラに共通して、「ボケ・立体感」「暗所でもきれいに撮影できる」「風景・自然をきれいに撮れる」ことを期待している。これらは、スマホでの写真撮影で満足しきれないポイントが、カメラへの期待として表れているのではないだろうか。

図表4

20代がカメラ購入時に期待していたこと

カメラタイプ別での違いに着目してみよう。
ミラーレスカメラでは「動きの速い被写体を撮影できる」「オートフォーカスが速い」など、撮影プロセスや機能面へのこだわりが見られる。
一方、コンパクトデジタルカメラでは「スマホよりきれいな写真が撮れる」「簡単にきれいな写真が撮れる」といった回答が中心で、撮影の結果や手軽さに価値を置く傾向が強い。現在市場にあるラインナップでは、撮影プロセスや機能面を重視する層にとってはコンパクトデジタルカメラは物足りなく、逆に、結果・手軽さ重視の層にとってはミラーレスカメラがオーバースペックに感じられてしまうのかもしれない。

3. 20代はどのようにカメラを使用しているのか?

ここからは、20代がカメラをどのように使用しているのかを見ていく。使用実態に着目することで、20代にとってカメラが日常の中でどのような役割を担っているのかを整理したい。

3-1. 被写体

まずは、撮影している被写体。カメラタイプ問わず、「日常・旅行先でのスナップ」が中心である。

図表5

20代のカメラユーザーが撮影している被写体

タイプ別に違いを見てみると、ミラーレスカメラでは「花・植物」「山」など、自然の撮影割合が高い。一般的に、自然の撮影においては天候などの外部条件、被写体の大きさや距離によって設定や撮影方法を変えることが必要になる。ミラーレスカメラ購入者の被写体を踏まえると、購入前の期待として撮影へのこだわりが見られた点もうなずける。
一方、コンパクトデジタルカメラでは「カフェ・飲食店」の撮影割合が高い。1枚の写真をこだわって撮影するというよりも、日常・旅行の記録という要素が強いのかもしれない。加えて、店内で大きなカメラを構えて撮影することに抵抗がある可能性があるため、「コンパクトでスマホよりきれいに撮影できる」ことがキーワードになると考えられる。

3-2. レンズ交換式であることの必要性

ミラーレスカメラとコンパクトデジタルカメラの最大の違いである「レンズ交換」について確認しておきたい。ここで注目したいのは、20代のミラーレスカメラ購入者のうち、半数以上がレンズ交換をしていない点である。さらに、約25%の購入者が「レンズを複数持っているが、現在は1本しか使っていない」と答えている。

図表6

20代のミラーレスカメラユーザーのレンズ交換状況

このことから、日常的な使用において、レンズ交換を必ずしも前提としていないミラーレスカメラ購入者も多く存在すると考えられる。 必要な機能・性能がそろっていれば、実はミラーレスカメラよりもコンパクトデジタルカメラに魅力を感じる人もいるのではないだろうか。昨今、高性能・高機能を備えた高級コンパクトデジタルカメラの人気が高いこととも整合的な結果である。

4. 20代にとっての「カメラとスマホの違い」は?

20代カメラユーザーの購入前の期待を見ると、やはり「スマホとの違い」がカメラの購入動機として重要である。
では、「スマホとの違い」とは具体的にはどのようなことが挙げられるだろうか。まずは画質の観点から考えてみよう。

4-1. 20代のカメラユーザーが重視する画質とは

以下は、カメラに求める画質について聴取した結果である。
20代のほうが30代以上よりもスコアが高い上位5項目に着目すると、「フィルム調・レトロ調」「エモい雰囲気」や「ボケの強さ」が上位に挙がっている。20代カメラユーザーでは、画質としてリアルさ・写実性だけでなく「情緒的な表現・世界観」も求められている点が特徴である。
ただし、上記の項目だけでなく、「解像感」「細部の表現力」や「色の正確さ」「肌色の自然さ」なども期待されている点は押さえておきたい。

図表7

20代のカメラユーザーが求める画質<20代のほうが30代以上よりもスコアが高い5項目>

4-2. 20代のカメラユーザーにとっての「エモい」写真とは

先ほどのデータから、20代のカメラユーザーは「エモい」画質を求めていることが分かった。ただ、一言で「エモい」写真と言っても、どのような写真を指すのかは具体的には分からない。そこで、 アンケートにて異なる雰囲気の写真を5枚提示し、どれが最も「エモい」と思うかを聴取した。写真は筆者が撮影し、5枚それぞれ雰囲気が変わるよう編集した。

図表8

聴取時に提示した写真

図表9

最も「エモい」と感じる写真

カメラタイプ・年代問わず、画像Tを「エモい」と感じる人が多いようだ。画像Tの印象として「レトロ」や「セピア」がキーワードとなっている。
コンパクトデジタルカメラユーザーの20代では、画像Tと僅差ではあるものの、画像Pが最も「エモい」と感じられている。画像Pを選んだ人の自由回答を見てみると、画像Tに対して「加工しすぎ」という意見も複数見られる。自然な仕上がりの写真であることも、加点要素となりそうだ。

4-3. 20代カメラユーザーの価値観

最後に、20代カメラユーザーにおける「カメラとスマホの違い」について、異なる角度から見てみよう。以下の対になる価値観【A】【B】について、どちらに近いかを6段階の選択肢で聴取した。

図表10

カメラ・撮影に対する価値観:カメラでの撮影へのこだわり

図表11

カメラ・撮影に対する価値観:カメラのファッションとしての位置づけ

まずはカメラを使うことの動機をみてみよう。ミラーレスカメラ・コンパクトデジタルカメラユーザーともに、単純にきれいな写真を撮りたいという気持ち以上に、「カメラで撮影すること自体が好き」なようだ。最近、20代ではアナログレコードをはじめとして、手間がかかるものをあえて使う、という様子が見られる。より便利なものや性能がよいものが手に入るとしても、体験自体に価値を感じているのだろう。
加えて、30代以上と比較すると、20代はカメラを撮影手段としてのみでなく、「ファッションの一要素」と捉えている傾向がある。「スマホではなくカメラを持っていること」自体が自分のスタイルや自分らしさを表現する手段になっているのではないだろうか。

5. まとめ

今回は、新規購入者が多い20代に着目し、ミラーレスカメラ・コンパクトデジタルカメラの購入者の特徴を取り上げた。当たり前ではあるが、大前提として、カメラには「スマホとの違い」が求められている。今回の結果からは、具体的には、「情緒的な表現・世界観を演出できる画質」と「カメラで撮影すること自体の魅力」がスマホとの違いとして挙げられた。
スマホのカメラ機能の向上により、筆者の周りでも、「写実的な写真はスマホのカメラで満足している」という声もよく聞かれる。そのため、ユーザーに「カメラで自分が好きな世界観を表現する体験」に対して価値を感じてもらうことが、より一層重要となっていくのではないだろうか。


調査概要
調査地域:日本全国
対象者条件:20-69歳男女、ミラーレスカメラ・コンパクトデジタルカメラ購入者(直近3年以内・新品)
標本抽出方法:弊社「近況パネル」「生活パネル」「ライフスタイルパネル」よりカメラ購入者を抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,477
調査実施時期: 2025年11月28日(金)~2025年12月10日(水)


リサーチャーとの上記のデータを基にしたディスカッションも可能です。
その際には、上記に含まれない以下のデータもご紹介させていただきます。
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著者プロフィール

坪野 航大プロフィール画像
坪野 航大
2021年に大学院を修了後、インテージに入社。電機領域のリサーチャー。
カメラ、美容家電、イヤホン、プリンターなど、BtoC, BtoB問わず、様々な商材を担当。

カメラ歴10年以上。フィルムカメラから始め、現在はフルサイズのミラーレスカメラがメイン機。

2021年に大学院を修了後、インテージに入社。電機領域のリサーチャー。
カメラ、美容家電、イヤホン、プリンターなど、BtoC, BtoB問わず、様々な商材を担当。

カメラ歴10年以上。フィルムカメラから始め、現在はフルサイズのミラーレスカメラがメイン機。

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