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人流データで見る五大ドームツアーの特性~嵐 編

人の流れは、そのエリアの特性を映し出します。
そこで、特定のエリアについて、人の流れをデータで見ることで、プロファイリングを行ってみます。

今月はアーティストのライブ会場に注目してみます。
同じアーティストの大規模公演でも、開催地が変われば集まる人の姿は少しずつ違います。

今回は、2026年3月~5月に実施された嵐のラストライブツアー「We are ARASHI」(札幌・福岡・東京・名古屋・大阪、全15公演)を取り上げます。本ライブは、1999年11月3日のデビューから26年半の活動を締めくくるツアーとして実施され、大きな話題となりました。
分析に用いるデータは、各地の公演日について、ドームを含む約1km四方の範囲における滞在者をカウントしたものです。こうしたツアーの特性と前提を踏まえ、会場に集まった“人の姿”を都市ごとに比較します。

五大ドーム別にライブ日と通常日の12時から23時における滞在者数の推移を比較して見ていきます。通常日は青線で示しており、ドームでのイベント開催がないライブ期間の前後1週間以内の日を基準としています。

グラフからは、全ての会場でライブの日に滞在者数が大きく増加し、開演の約1時間前に向けて山型のピークを形成していることが共通して確認できます。また、公演時間が約2.5~3時間と考えると、開演から3時間ほど経過したタイミングで滞在者数が減少する点も共通した特徴として読み取れます。これは、ライブ開催による一時的な人流の集中が明確に表れています。

次に、会場別に見ていきます。

滞在者数:札幌

・札幌:周辺に大型商業施設がないこともあり、通常日とライブ日の差と開演時間の人流の差が明確。「来場・観覧・帰宅」に収束する単目的型の人流であるため、イベント依存度が五大ドームの中でも特に高い傾向。

滞在者数:東京

・東京:通常日でも周辺の大型商業施設の影響で約6万人が滞在する高いベースがあるものの、他会場と比べて来場者数が多く、動員規模が最大。
公演日には早い時間帯から人流が厚く、終演後も高水準を維持するなど、長時間滞在型の特徴が顕著。また、5/31(日)のラストライブのみ来訪者数が大幅に減少している点については、本公演に限り配信が実施された影響に加え、最終公演においては公式からチケットを持たない来場の自粛が呼びかけられていたことも要因の一つとして考えられます。

滞在者数:名古屋

・名古屋:本ツアー唯一の平日18時開演のみの開催であり、来場ピークの位置や減少のタイミングが比較的安定して見られる、単調な人流が特徴。立地上、関東・関西圏からの日帰り来場が多いため、ライブ終了後の来訪者の減少率が最も高い。

滞在者数:福岡

・福岡:開演時刻に応じて来場のピークが前後するなど、時間の流れに沿った素直な集散が見られる傾向。土曜日の18時開演日は金曜日の滞在者数に比べて約10,000人多く、休日ゆえにライブ目的以外(周辺商業施設利用や雰囲気目的の訪問)も一定程度含まれている可能性が高い。

滞在者数:大阪

・大阪:札幌のような直前集中型と名古屋のような早入り型の中間に位置する、バランスの取れた人流構造が特徴。通常日との差は見られるものの過度ではなく、日常の人流とイベント来場がバランスよく重なる傾向。

次に性年代構成比で見てみます。
ここで示している値は、五大ドーム全体の「通常日からの増減率の平均値」で、ライブ日の15時から21時に各年代の来場がどの程度伸びたかをまとめたものです。全体としては、女性の伸びが特に大きく、10代から60代まで幅広い年代で増加が確認できます。一方で、男性もすべての年代で100%を超えていることから、嵐の幅広いファン層がうかがえます。

性年代構成比:通常日からの増減率の平均値

次に、会場別に見た性年代構成比です。
こちらは、各公演の開演直後1時間の来場者数の平均値を比較したものです。

性年代構成比:会場別

・札幌:全会場の中で最も女性比率が高く、特に20代女性の割合が突出している点が特徴。
・東京:男性比率が相対的に高く、年齢・性別ともに最も裾野が広い。
・名古屋:全体として平均的な構成で、若い女性を中心とした客層。
・福岡:札幌ほど若年層の割合が高いわけではないものの、他会場と比べて20代男性に厚みがあり、若い世代を中心とした構成。
・大阪:福岡と同様に全体の平均的な構成で、若い女性を中心とした客層。

次に居住地別(北海道、東北、関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄)で見ていきます。
こちらも、開演時刻を基準に、その直後1時間に来場した人数をエリア別に平均し、比較したものです。いずれの会場も地元エリアが中心となりつつ、一定割合で他地域からの来場も確認できます。全体としては“地元中心+広域からの一部流入”という構造が共通でした。

居住j地分布

・札幌:地元の北海道地方が約4割にとどまり、関東地方からの来訪が約3割、近畿地方から約1割と他地域からの流入比率が高い。全会場の中で最も地元比率が低く、遠征比率が高い。
・東京:地元の関東地方が9割、近隣の東北,甲信越地方など他地域は1割で圧倒的な首都圏集中型の構成。
・名古屋:地元の東海地方が約7割、関東,近畿地方を中心とした他地域が約3割と、地元を主体に東西大都市圏が加わるバランスの取れた会場。
・福岡:地元の九州・沖縄地方が約7割、中国地方が約1割で、地元を中心に西日本広域からの流入比率が高い。
・大阪:地元の近畿地方が約8割、関東,東海,中国地方で約2割と、東京に次ぐ集中型の構成。

会場別の差として、札幌は地元比率が約4割と相対的に低く、関東・近畿からの流入が大きい遠征型の構成がうかがえます。これは、地理的に近隣の大都市圏が限られていることから、広域からの来場に依存しやすいと考えられます。一方で、東京や大阪は人口規模が大きく、その都市圏の中で集客が成立するため、地元圏中心の構成が見られます。
名古屋と福岡は地元比率が約7割と中間的で、名古屋は関東・近畿地方、福岡は中国・関東地方からの流入が一定程度見られます。名古屋は東西の中間に位置する立地、福岡は九州・西日本の拠点的な役割といった点が影響していると示唆されます。

最後に、アーティストによって来場者の姿が変化するのか見ていきます。
今回は、2月に同じカテゴリーで取り上げたSnow Manの五大ドームツアーを比較対象としており、嵐とSnow Manで来場者の姿の差が大きかった要素を紹介します。
人流データで見る五大ドームツアーの特性 ~Snow Man編

アーティスト比較:福岡

各会場の性年代別の構成比を見ると、会場ごとに一定の違いが見られるものの、両アーティスト間で最も差が顕著に表れているのは福岡会場です。こちらも、開演時刻を基準に、その直後1時間に来場した人数をエリア別に平均し、比較したものです。
まず共通点として、いずれのアーティストにおいても20代女性が最も厚いボリュームゾーンとなっており、来場者の中心を担っている点が確認できます。そのうえで差分を見ると、Snow Manは20〜30代女性の比率が相対的に高く、若年層への集中がやや強い構成となっています。一方、嵐は20代女性に加えて40〜60代女性にもボリュームが分散しており、より幅広い年齢層に支持されている傾向がうかがえます。また、男性に着目すると、嵐はSnow Manと比較して全体的に男性の比率がやや高く、なかでも20代男性の増加が特徴的に見られます。
これらの違いから、Snow Manは女性の若年層を中心とした比較的集中度の高い構造であるのに対し、嵐は年齢・性別ともにより広がりのある構造を持つ可能性が示唆されます。

アーティスト比較:札幌

最後に、居住地別の会場構成を全体で比較すると、両アーティスト間で最も差が大きく表れているのは札幌会場でした。
札幌会場では、Snow Manは北海道が約6割を占めるのに対し、嵐は約4割にとどまっており、地元比率に大きな差が見られます。一方で嵐は、関東の比率も高いものの、それ以上に近畿が約1.5割と、Snow Man(約0.5割)と比較して大きく伸びており、関東以外の遠方地域からの来場が増加している点が特徴として確認できます。この背景として、高倍率の中で北海道公演にのみ当選した来場者が遠征を選択した結果、広域からの来場が増加した可能性があります。また、遠征を伴う来場が目立ったことから、受験時期との重なりが話題となったと考えられます。
こうした違いから、Snow Manが地元圏中心の来場構造であるのに対し、嵐は札幌という立地においても遠方からの移動を伴う来場が相対的に多い可能性がうかがえます。

本記事では、嵐の五大ドームツアーにおける人流・性年代・居住地の観点から、来場者の特徴を整理しました。会場ごとに人の動きや構成に差が見られたものの、いずれにも共通していたのは、嵐が年齢・性別を問わず幅広い層を惹きつけている点です。あわせて遠方からの来場も多く、広域かつ多層的な動員構造を持つアーティスト像が浮かび上がります。さらにSnow Manとの比較では、来場者像の違いがより鮮明になりました。 Snow Manが若年層を中心とした集中型の構造であるのに対し、嵐は世代・地域の双方に広がりを持つファン構造を有している点が際立ちます。

今後も同様の視点から、人流データを通じて“人の姿”を捉え、さまざまなテーマで紹介していきます。

データについて:
モバイル空間統計®・国内人口分布統計(リアルタイム版)】
※モバイル空間統計®は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報です。
集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、お客様個人を特定することはできません。
インテージは「モバイル空間統計」の1次販売店です。

著者プロフィール

諏訪 秀実プロフィール画像
諏訪 秀実
マーケティングソリューション本部 ソリューション統括部

2025年に大学卒業後、インテージに新卒で入社。
主に位置情報商材「モバイル空間統計」「ココリサ」の製造業務を担当し、データ処理・品質管理・納品を中心に業務を行う。
また、位置情報データの特性を活かした分析設計やプロジェクト支援にも従事。

マーケティングソリューション本部 ソリューション統括部

2025年に大学卒業後、インテージに新卒で入社。
主に位置情報商材「モバイル空間統計」「ココリサ」の製造業務を担当し、データ処理・品質管理・納品を中心に業務を行う。
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