日本でも始まるレジ袋有料化 生活者の脱プラ意識は?
2020年7月1日より、全国でプラスチック製買物袋(レジ袋)の有料化が始まります。一部の小売店では、4月から前倒しで有料化をスタートさせたり、「バイオマス素材の配合率が25%以上のもの」は有料化の対象外とされているにも関わらず、基準を上回ってバイオマス素材を使用していても有料とするなど、プラスチック削減に向けて、政府指針よりも積極的に取り組む動きも見られます。
軽量で丈夫、密閉性が高く、これまで我々の生活のさまざまな場面で活躍してきたプラスチックですが、近年では海洋プラスチックごみをはじめとする廃棄の問題など環境へのネガティブなインパクトがあるとして、槍玉にあがっています。再生可能な素材への切り替えや、リサイクルの推進など、さまざまな事業者が対応を打ち出していますが、これまで無料だったものの有料化や値上げなど、生活者への影響がある場合も少なくありません。
そこで、全国20-60代の男女7,803人にアンケートを実施、脱プラすべきプラスチック製品、値上げの許容範囲について聞きました。
半数前後が「レジ袋」「使い捨てのスプーン、フォーク」は脱プラを進めるべきと回答
生活者がどういったプラスチック製品の「脱プラ」を進めるべきだと考えているのか、「スーパー・コンビニのレジ袋」「ストロー」「洗剤・シャンプーのボトル」など23の製品について聞いてみました。
最も脱プラ推進派が多かったのは「スーパー・コンビニのレジ袋」で、5割以上が脱プラを推し進めるべきと回答。既に有料化することが決まっているだけに、既定路線として受け入れられているのかもしれません。次いで、「使い捨てのスプーン、フォーク」も4割以上が脱プラを進めるべきと回答しました
全体的には、50-60代の女性が多くの商品に対して脱プラを進めるべきと回答する傾向がありました。特に60代女性は「スーパー・コンビニのレジ袋」「使い捨てのスプーン、フォーク」に対しては7割前後が脱プラ派です。60代男性も一部の商品については脱プラ派が多い傾向があります。「弁当容器」「カップ麺・スープの素」は女性よりも脱プラを進めるべきと回答する人が多く見られました。
一方、20-30代の男性は、全体的に脱プラ推進には熱心ではないようです。「肉用食品トレイ」「魚用食品トレイ」などは、自炊をしない場合にはあまり自身とは関係がないとして回答されにくい可能性がありますが、「スーパー・コンビニのレジ袋」「使い捨てのスプーン、フォーク」「ストロー」などについても、脱プラすべきと回答した人が全体よりも10ポイント程度低い傾向が見られました。
「レジ袋」「使い捨てスプーン、フォーク」は半数近くが5円以上の値上げを許容。「洗剤・シャンプーのボトル」は2割近くが10円以上でも可と回答
脱プラしてプラスチックの代替品を使用する場合、原料コストが値上がりし、商品の価格にも影響する可能性がありますが、どのくらいの値上げ幅であれば許容できるのでしょうか。それぞれのプラスチック製品について、脱プラを推し進めるべきと回答した人に、許容できる値上がり幅を聞いてみました。
まず既に有料化が決まっている「スーパー・コンビニのレジ袋」については、半数近くが5円以上の値上がりを許容できると回答しています。「使い捨てスプーン、フォーク」についても同様に、半数近くが5円以上と回答しました。また、使い捨てプラスチックの代表格として槍玉にあがることも多い「ストロー」については、「1-2円」なら許容できると回答した人が1番多く、3人に1人程度でした。5人に1人は「5円」でも許容できると回答しました。
一方、「洗剤・シャンプーのボトル」については、2割近くが10円以上の値上げを許容。今回質問した23のプラスチック製品の中では比較的値段が高く、プラスチック使用量も多いため、値上げに対してやや許容の幅が大きいのかもしれません。
尚、「スーパー・コンビニのレジ袋」「使い捨てスプーン、フォーク」以外の21の製品で、その製品の脱プラを推進すべきと考えているにも関わらず、2割以上が「値上げは許容できない」と回答しています。脱プラを進めるには、メーカーや小売店に努力を求めるだけではなく、生活者側も必要な負担は受け入れるという意識を高めることが重要となりそうです。
本記事の分析に使用した自主企画のインターネット調査の概要は下記のとおりです。
調査地域:日本全国
対象者条件:20-69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「キューモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースにウェイトバック
標本サイズ:n=7803
調査実施時期: 2019年12月25日~27日
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