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withコロナを象徴?「2022年、売れたものランキング」

2022年も残りわずかとなりました。今年はどのようなものが売れたのでしょうか。 全国約6,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+®(全国小売店パネル調査)で、日用消費財の中で何が特に売れたのかを振り返ります。

コロナ禍3年目 感染者急増に伴う市販薬の需要が増加

図表1は今年10月までの販売金額の前年比のランキングです。

図表1

2022年の金額前年比 上位ランキング

1位となったのは検査薬。昨年同時期比で277%と大幅に数字を伸ばしました。その主因となったのが新型コロナウィルス感染症用の抗原検査キット※1です。第7波の拡大が急速に進んだ夏頃から売り上げが伸び(図表2)、7月に363%になると8月には667%にまで続伸。9月、10月も前年比4倍程度となっています。感染者数と連動する動きを見せていただけに、今後第8波が拡大するようだと、さらなる需要増もありそうです。

図表2

コロナ関連医薬品の金額前年比の推移(2022年1‐10月)

同じくコロナ関連で売れたのが市販薬です。オミクロン株の罹患症状の特徴が「のどの痛みが強い」であることもあり、5位・口腔用薬は136%、特に感染が拡大した7月、8月は前年の倍近くまで数字が伸びました。同じく咳を鎮めたり、痰を喉から喀出しやすくする8位・鎮咳去痰剤も123%、コロナ禍になり衛生意識の高まりとともに販売が振るわなくなっていた13位・総合感冒薬(113%)も7月以降に特に大きく数字を伸ばしています。

2022年はオミクロン株により、これまでになかった規模で感染拡大が起きて「医者にかかりづらい」といった事態も起きました。一方で、重症化率が下がったことで、重症化リスクが低い多くの人は「感染拡大時には医者にかかれなくなる可能性を考慮し、自分で検査し、自分で対処できる様、事前準備をする」行動をとった人も一定数いたように思われます。今回上位に入ったこれらの対処用医薬品の需要は、これからも続く可能性が考えられます。

売れた食品のキーワードは「健康・手軽に本格」

2位・オートミールは、コロナ禍で最も売り上げを伸ばした商品の1つと言っても過言ではないでしょう。今年は156%ですが、コロナ前の2019年と比べると1280%。わずか3年で市場が10倍以上にまでなりました。コロナ太り対策や腸活などの需要を取り込んで女性を中心に愛用者も増えたほか、水を加えて加熱させお米のようにして食べる米化など使用方法の拡大により、朝食だけでなく昼食や夕食でも食卓に並ぶなどしています。
6位・乳酸菌飲料(131%)は、コロナ禍のストレス対策や睡眠問題などに効果を訴求した商品が売り上げを引き上げました。以前に比べて外出が減り、在宅勤務、感染への不安など、さまざまな変化や悩みを抱える生活者が手軽に摂取できることもあり受け入れられたようです。

また同じ食品・飲料系で、コロナ禍の影響で伸びたのと考えられるのが7位・液体だし(123%)と14位・冷凍水産(113%)です。家の食事で手軽に本格的な味を出せる、と評判の液体だしは、存在感を増しつつあります。同じように手軽にワンランク上の料理を作れる冷凍水産とともに、新たに定着した家庭も多かったかもしれません。

化粧品は外出増で復調の兆し

昨年との違いを見るために、2021年の売れたものランキングと販売苦戦ランキングの上位10カテゴリーを見てみましょう(図表3)。オートミールなど昨年1位、今年も2位と続けて売れたものがある中、目を引くのがマスクで隠れる部分の化粧品で、昨年の販売苦戦ランキングには3位・ほほべに、6位・口紅が入っていました。

図表3

これらは、今年は売れたものの上位に顔を出しています。4位・口紅は145%、12位・ほほべにも114%と復調の気配が見えてきました。外出増やマスク緩和などの影響などが考えられます。

口紅などとともに外出のバロメーター的な存在なのが、今年3位で乗り物の酔い止めなどが入る鎮暈剤(ちんうんざい)です。2021年に比べ146%と大幅に販売金額を伸ばしました。生活者の意識の変化に加え、自治体などの旅行支援策もあり、旅行などが活況だったことが分かります。9位・使い捨てカイロ(123%)、11位の日焼け・日焼け止め(118%)なども外出増に伴って需要が増える商品です。今年はイベントやお祭りの復活など、“3年ぶりの開催”といった言葉をよく耳にする年でした。そんな中、感染対策に気を付けながらも、外出行動を以前に戻していく、withコロナへのシフトがうかがえます。

もう一つ、今年注目のトピックスが表れているのが、15位のサラダ油・天ぷら油(113%)です。売り上げ容量が6%も減ったのにもかかわらず、販売金額は10%以上も増えました。食用油は食品・日用雑貨の中で最も値上げが顕著な商品の1つです。一般に広く使われているキャノーラ油の店頭販売価格は、今年10月の時点で本格的な値上がりが始まった2020年の平均価格と比べて1.8倍になっています。
値上げについては、今後も続いていくことが予想される中で、どのような影響が出てくるか注目されます。

いまだ続くコロナ特需の反動

最後に今年の「販売苦戦したランキング」を見てみましょう(図表4)。

表4

2022年の金額前年比 下位ランキング

1位は殺菌消毒剤(82%)。コロナ禍では建物などに入るたびに置いてあった手指消毒剤を含むカテゴリーです。以前より利用頻度や持ち運んでいる人が少なくなっている可能性が考られます。2位・体温計(83%)は1回買うとその後しばらく買うものではないため、昨年よりは減っていますが、それでもコロナ前に比べると201%と大きく伸びています。またダウントレンドが続く、3位・洗濯のり(84%)、4位・海藻サラダ(87%)、8位・米(88%)、なども上位に入りました。6位・しわ取り剤(88%)は衣服用のもので、ウイルス除去などを訴求したものが昨年は売れましたが、その反動もあり今年はふるいませんでした。

ステイホーム系では5位・住居用ワックス(87%)、7位・エッセンス類(88%)、11位・ガラスクリーナー(89%)なども売り上げを落としています。
徐々に日常を取り戻す中、「コロナ特需」は落ち着きつつあるようです。

今年のランキングには、コロナ禍3年目を迎え、自身でコロナに対処したり外出を増やしたりといった、withコロナの生活に対する向き合い方の変化が起きている様子が見られました。
加えて、昨年末頃から急速に拡大してきた値上げなど、ここ数年で人々の生活や消費行動に大きな影響を与える変化が続いています。知るギャラリーでは、今後も「売れたもの」から生活者の変化を読み解いてお届けします。

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【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません。
※:2022年12月現在

※1:検査薬に含まれる「コロナ用の抗原検査キット」は、医療用・一般用(OTC)で、弊社で判明できた製品のみ(研究用の抗原検査キットは除く)

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