

富裕層に次ぐ新たな高購買力層として、近年注目されている「パワーファミリー」。知るギャラリーでは2024年11月にもこの層に着目した記事を公開し、多くの方にご覧いただいた。
本記事で取り上げるパワーファミリーとは、夫婦共働きで、いずれもフルタイムで働き、子どもがいる世帯のうち、世帯年収が1500万円以上(※1)の層を指す。共働き世帯の増加や女性のフルタイム就業(※2)の広がり、物価高を背景とした賃金上昇などにより、こうした世帯は今後も市場の中で存在感を高めていくと考えられる。
昨今、金融資産が多い富裕層が注目を集めている。しかし富裕層の中心は60歳以上の家庭が多く、日常の消費が決して多いわけではない。そのため、従来の資産(ストック)ベースの富裕層とは異なり、高い年収(フロー)を背景に活発な消費を行う「準富裕層」の実態を捉えたいというニーズが高まっている。
今回は、より購買力の高い比較的若い世代が中心のパワーファミリーを対象とし、特に準富裕層クラスとも言える「年収3000万円以上」の上位層までを含めた実態と特徴を明らかにするため、世帯年収別(1500~2000万円未満・2000~3000万円未満・3000万円以上)の3層に区分。一般層と比較しながら、働き方、家事分担、所有している商品や利用サービス、食事スタイルや、消費・価値観のタイプを分析した。
物価高や円安が続く中でも高い購買力を保ち、市場をけん引する可能性のあるこのパワー層の実態から、今後の商品・サービス開発のヒントを探っていきたい。
<調査対象の定義>
【パワーファミリー】(パワー層)
既婚:夫婦共働き(フルタイム)かつ、子あり 、世帯年収が1500万円(税込 )以上
【一般】(一般層)
既婚:子あり、世帯年収600万円~900万円(税込)、夫婦の働き方はフルタイム/パート/無職を問わない
最初に、アンケート結果よりパワー層、一般層の基本属性から確認をしていく。
図表1

年齢による収入上昇の影響もあり、平均年齢は一般層と比較しパワー層が高い傾向にある。しかし、世帯年収3000万円以上のパワー層は46.4歳であり一般層に近しい。
子どもの人数に関しては、世帯年収が上昇するにつれて多くなる傾向がある。
住居形態では持ち家率がパワー層では80%台後半であるが、一般層では79.4%であり、7~9ポイントの差がある。
マンション等の集合住宅の比率も、一般層と比較すると、各パワー層は6~13ポイント程度高くなっている。
図表2

居住エリアに関しては、パワー層の半数以上が一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に集中しており、特に世帯年収3000万円以上では、その割合が68.1%に達していることがわかる。
一都三県では、夫婦がフルタイムで働ける企業や高収入の職種が集まっていることが背景にあると考えられる。
次に働き方の違いを確認する。月1回以上リモートワークを実施しているパワー層は43.0%~55.6%であり、夫婦ともにリモートワークを行っている割合は18.0%~41.9%となった。どちらかがリモートワークを行っているまで含め、一般層と比較すると約20~30ポイントの差がついた。
特に3000万円以上のパワー層では、夫婦ともにリモートワークのある世帯は41.9%となった。
共働きでフルタイムのパワー層は年収が増えるにつれ、フレキシブルな働き方を手に入れているようである。
図表3

次に、働き方が異なるパワー層と一般層では、夫婦間の家事分担はどのようになっているのだろうか。平日の家事分担実態を比較した(図表4)。平日、妻が70%以上家事を担っているケースはパワー層では約50%~70%であり、一般層の82.2%と差が生じている。
世帯年収3000万円以上のパワー層を確認すると、妻が70%以上担っている割合は53.5%にとどまり、一般層との差は30ポイント近くまで拡大している。
互いにフルタイム勤務で繁忙であるパワー層は、夫婦で協力しながら家事を担っている姿が確認できる。
図表4

前出のリモートワークが多いパワー層では在宅時間が長く、夫の家事参加率が高いことが想定される。「時短」や「簡便化」などが夫婦共通のニーズとなり、高機能な家電や、代行サービスなどが好まれるのではなかろうか。
前章では、パワー層において夫婦が協力して家事を行っている実態が明らかとなった。
では具体的に、家事に際してどのような商品を所有し、どんなサービスを活用しているのか、パワー層のお金のかけどころを見ていきたい。
パワー層全体と一般層の保有率・利用率の差が大きい上位3位は「ドラム式洗濯乾燥機」19.2ポイント差、「ロボット掃除機」18.3ポイント差、「食器洗い乾燥機」14.9ポイント差であり、1~3位共に、自動化、省力化や時短に役立つ家電製品である。
3000万円以上のパワー層、一般層の保有率・利用率 の差が顕著だったものは「ミールキット」(3000万円以上のパワー層19.0%、一般層1.8%)、「マッサージ機」(3000万円以上のパワー層24.1%、一般層6.3%)、「衣類スチーマー」(3000万円以上のパワー層24.1%、一般層6.6%)であり大きな差が開いた。
図表5の掲載範囲外であるが、3000万円以上の層が利用している特徴的なサービスは「オンライン学習(英会話など)」19.8%、「掃除代行サービス」14.9%、「家事代行サービス」15.1%など、学習系や代行系のサービスがあり、いずれも一般層と比較し大きな差が見られた。年収3000万円未満の パワー層に対してもこのような学習系のサービスや、代行サービスが今後拡がるのではなかろうか。
図表5

次に、家事の中でも日々の準備が必要となる食事において、食事のスタイルを確認したのが図表6である。
図表6

パワー層の中でも高収入である世帯年収3000万円以上の世帯では、週に3回以上の外食(夕食)は26.7%、中食(惣菜の購入など)が21.1%、出前デリバリーが12.8%、ミールキットの利用が13.4%であり、外食や中食、デリバリーを一般層と比較して、3~6倍多く活用していることが確認できる。
パワー層は食事の準備に関しても、様々な手段を活用して時間の創出を行っている姿を確認できた。
次に、日々仕事に家事に忙しいパワー層がどのように疲れを癒し、リラックスをしているのか、疲れのリカバリー策に関して確認した。
図表7

パワー層が疲れのリカバリー策としている上位(パワー層合計)は「入浴剤」27.1%、「サプリメント」25.2%、「マッサージ」18.6%であった。
一般層と差が大きいのは、「高機能マットレス」パワー層合計と一般層との差は13.6ポイント、「サウナ・岩盤浴」同12.4ポイント、「高機能まくら」同10.8ポイントであった。
最近話題の「リカバリーウェア」は、3000万円以上のパワー層では17.1%が利用している。
このように、日々の仕事、家事、子育てに取り組むパワー層は、時間の創出のために、時短家電、外食や中食、デリバリーを積極的に活用し、かつ日頃の疲労回復を目的としたリカバリーグッズを利用している姿が確認できた。特に世帯年収3000万円以上の層では、各商品・サービス利用率が概ね他パワー層と比較して高く、サービス活用による時間創出の傾向がより顕著である。
マーケットから見ると、パワー層は高収入を背景に、多くの商品・サービス・グッズを積極的に導入している。このことから、パワー層は、市場をけん引する高購買層であることがわかる。
ここまで、パワー層の働き方、家事、所有している商品/利用しているサービスから暮らしぶりを確認してきた。
一方で、生活スタイルが多様化する中、お金や時間の自由度が相対的に高く、決して一様ではないパワー層に対しマーケティングを行うには、世帯年収による購買力の違いを捉えるだけでなく、彼らの「お金の使いどころ」を左右する価値観や生活スタイルでタイプ分けを行うことが不可欠である。何に価値を見出すかによって響く商品やサービスは大きく異なるからだ。より詳細なターゲット像を描き、具体的なアプローチへとつなげるために、この価値観の軸を掛け合わせることが有効であろう。
そこで、今回の調査結果をもとに、価値観や消費行動の質問を使ってクラスター分析を行い、パワー層を7つのタイプに分類した。(図8)
図表8

中でも、ライフスタイルへのこだわりが強く、消費行動が特にアクティブな4つのタイプに関して確認をしていく。
①合理的シンプル志向層
時短家電や、代行サービスなどを活用し徹底的に無駄な時間を削減し、創出した時間で、スキルアップのための自己投資や、趣味の時間に充てる合理主義層
②上質な私生活重視層
単なる贅沢ではなく、素材の良さやストーリー性を重視する「本物志向」を好み、家族との時間を重視し、プレミアムな体験や、上質なインテリアなどを望む層
③コダワリの強い自己投資層
流行には目もくれず「自分が最高と思うもの」へのコダワリを追求する。パワー層の中でも自由になるお金も多く、趣味や自己研鑽に多額の資金を投じる探求層
④アクティブ・パワー層
パワー層の中で一番女性の割合が多く、かつ平均年齢も若い。仕事も育児も全力でこなし、一番アクティブでエネルギッシュであり、家族との思い出作りにも積極的な層
このようにパワー層の中でも、積極的な消費で、市場をけん引する可能性の高い層が上記4タイプで43.8% を占めている。
ターゲットとしたいこれらパワー層に対しては「本物志向」「徹底した効率化による時間創出」「最新トレンドを取り入れた家族体験」など、彼らの価値観と生活スタイルに沿った商品やサービスの提供が考えられる。
パワー層の多くは、高い年収を得るため、賃金水準の高い都市部で夫婦ともにフルタイムで働き、高額な住宅に住み、物価が高い都市環境で生活している。
その中で、家事や子育ての負担を軽減するため夫婦で協力しながら、時短グッズや外部サービスを活用するなど創意工夫をしつつ自分や家族との時間を捻出 し、楽しみを探している様子が読み取れた。
このような生活の中で、パワー層は一般層と比べ、「時間創出」や「疲労回復」に関する強いニーズを抱えている。
商品やサービスがあふれ、生活者の強いニーズが少なくなっている現代において、これらのニーズがパワー層の高い購買力につながっていく。
ただし、その解決手段は年収帯によって異なる。1500万〜2000万円台の層では主に高性能家電などの「モノ」による効率化がベースとなるが 、年収3000万円以上の最上位層になると、代行サービスや外食・デリバリーなどの「サービス(外部委託)」への投資が顕著になる傾向がみられた 。したがって、ボリュームゾーンに向けた時間を創出するための「高性能時短家電」から、最上位層に向けた「家事代行・外食サービス」 、さらには疲れを癒すための「リカバリーグッズ」、家族との団らんを生む「旅行や体験」など、それぞれの生活水準に応じたまだまだ新しいニーズはありそうだ。
これらパワー層のニーズをより精緻に捉えるためには、今回区分した7つのタイプを活用し、購買力の高いパワー層をより精緻にターゲティングし、商品・サービス開発や、販促活動に活用していただきたい。
(※1)世帯年収1500万円以上の世帯は、日本の世帯全体で3.2%、児童(18歳未満の未婚者)がいる世帯では6.6%を占める。
(令和5年国民生活基礎調査)総務省統計局
(※2)既婚者で、フルタイム勤務の女性は、20代で66.5%、30代49.3%、40代36.4%、50代29.5%を占める。
(男女共同参画白書 令和5年版)内閣府
※今回の調査で明らかになった詳細なデータやチャートは、無料のダウンロードレポートでご覧いただけます。レポートのみにて提供している項目は以下です。ぜひ、ダウンロードしてご覧ください。
<ダウンロードレポートのみ掲載項目>
・【生活パターン】オンとオフの時間配分
・【今後欲しい】 商品/サービス
・【子育て】子どもの習い事の数の違い
・【休日のパワー層】3日以上の休みに行ったこと/今後したいこと
・【パワー層のお金事情】1カ月の生活費/月に自由に使えるお金/月収に占める貯蓄率
・【暮らしの不安・悩み】 パワー層 VS 一般層
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】
<調査概要>
調査地域:日本全国
対象者条件:20~59歳男女個人
標本抽出方法:マイティモニターより適格者を抽出
標本サイズ:合計n=1213 パワー層1500~2000万円:n=344、2000~3000万円:n=302、
3000万円~:n=135、一般層:n=432
ウエイトバック集計:あり※
※性年代構成比を、2020年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2024年度の構成比にあわせてウエイトバック
調査実施時期: 2026年4月17日(金)~2026年4月23日(木)
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「出典:インテージ 「知るギャラリー」●年●月●日公開記事」
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