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中国人訪日客が減少する中で、それでも「訪日外国人」が増えた街はどこか

――1kmメッシュで見る、インバウンド変化の“効き方”

2026年1月の訪日外国人入国者数は、前年同月比でやや減少した。
この減少の主因は、中国人訪日客数の落ち込みにある。

出入国管理統計の入国者数(千人単位)

しかし、モバイル空間統計®を用いて1kmメッシュ単位で人流を見ると、中国が減少しているにもかかわらず、訪日外国人の総数が前年同月を上回るエリアが、東京都内の一部に確認できた。

同じ「中国の減少」というマクロな現象が、なぜ街によって異なる結果をもたらしたのか。
その違いを、エリア構造の観点から見ていく。

多くの主要観光エリアでは「当時よりも減った」

まず、東京駅周辺、銀座、浅草といった、日本を代表する観光・商業エリアを確認した。
・東京駅は日本各地への移動拠点
・銀座は高付加価値な買物の場
・浅草は短時間で複数名が訪れる観光地
の様に、いずれも「訪日初期に立ち寄りやすい街」として利用されてきた。

これらのエリアでは、2025年1月時点で中国人の構成比が比較的高く、1kmメッシュによっては全体の2~3割を占めていた。

訪日外国人:総数 東京エリア
中国シェア(全体の訪日外国人のうち中国が占める割合) 東京エリア

2026年1月には中国人構成比が大きく低下し、結果として、訪日外国人の総数そのものが減少する形で可視化された。

同様の傾向は、京都駅周辺や清水寺周辺、大阪・なんば、心斎橋周辺など、観光ルートに組み込みやすく、短時間で多くの人が集中する性格を持つエリアでも、確認される。

訪日外国人:総数 京都エリア
中国シェア(全体の訪日外国人のうち中国が占める割合) 京都エリア
訪日外国人:総数 大阪エリア
中国シェア(全体の訪日外国人のうち中国が占める割合) 大阪エリア

一方で、池袋・新宿では「増えているメッシュがあった」

一方、池袋駅前や新宿駅周辺では、中国人訪日客が減少しているにもかかわらず、1kmメッシュ単位で訪日外国人の総数が2025年1月を上回るエリアが確認された。

これらの街は、観光バスで立ち寄る単一目的の観光地というよりも、宿泊・飲食・娯楽・乗換といった複数の用途が同じエリア内で重なりやすい構造を持っている。
昼夜を問わず人の入れ替わりが発生するため、特定の国籍に依存しない多国籍な人流が形成されやすい。

その結果、中国人訪日客が減少した場合でも、他国からの訪日外国人によって人の流れが下支えされ、エリア全体としては減少が吸収された可能性がある。

訪日外国人:総数 池袋・新宿エリア
中国シェア(全体の訪日外国人のうち中国が占める割合) 池袋・新宿エリア

実際、2026年1月は、韓国・台湾・欧米を中心に訪日客数が増加しており、それらの国・地域と親和性の高いエリアでは、中国人減少の影響が相対的に小さく表れた可能性がある。

団体中国人が減り、FITが増えたのか?

ここで注意すべき点がある。

今回用いた
・出入国管理統計 (入国者数)
・モバイル空間統計
からは、中国人訪日客が「団体旅行だったか」「FIT(個人旅行)だったか」を直接判別することはできない。

したがって、
・2025年1月は中国人団体客が多かった
・2026年1月は団体がキャンセルされ、FIT中心になった
といった表現を、断定的に用いることはできない。

ただし、データから言えるのは、

団体観光や大量来訪との親和性が高いエリアほど、中国人減少の影響が、1kmメッシュの人口減として表れやすいように見える

という、構造的な示唆である。

中国人減少は「どこでも同じように効く」わけではない

今回の分析から浮かび上がるのは、中国人訪日客の減少そのものよりも、減少の“効き方”がエリアによって大きく異なるという点だ。

・中国人構成比が高かったエリアでは、総数が減少する
・多国籍・個人旅行者が混在するエリアでは、減少が吸収される

同じマクロ変化でも、1kmメッシュで見ると、街の姿は一様ではない。

おわりに

インバウンドを「国別の増減」だけで見ると、中国人減少はネガティブなニュースに映る。

しかし、地図に落としてみると、どの街が影響を受け、どの街が耐えたのかが、はっきり分かれる。

中国人訪日客の減少は、都市の構造や受け入れ方の違いを可視化する一つの転換点になっているのかもしれない。

データについて:
モバイル空間統計®・国内人口分布統計(リアルタイム版)】
※モバイル空間統計®は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報です。
集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、お客様個人を特定することはできません。
インテージは「モバイル空間統計」の1次販売店です。

著者プロフィール

星合 秀宣プロフィール画像
星合 秀宣
株式会社インテージ
マーケティングソリューション本部
ソリューション統括部
マネージャー

人流データのモバイル空間統計を通じ、観光戦略の立案や施策の効果測定、店舗の出店計画や顧客分析などに従事。現在はドコモデータおよびインテージのリサーチノウハウを組み合わせるシナジー領域も担当。

株式会社インテージ
マーケティングソリューション本部
ソリューション統括部
マネージャー

人流データのモバイル空間統計を通じ、観光戦略の立案や施策の効果測定、店舗の出店計画や顧客分析などに従事。現在はドコモデータおよびインテージのリサーチノウハウを組み合わせるシナジー領域も担当。

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