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“美容デビュー”は、どこから始まるのか─ローティーンの化粧品エントリー実態

近年、アメリカでは、世界最大の化粧品専門店チェーン「Sephora(セフォラ)」で化粧品を購入する通称Sephora Kids(セフォラキッズ)と呼ばれるローティーンの子供が登場。さらに「Sephora」はエバーエデン(Evereden)というスキンケアブランドと提携し、ベビー・キッズ(3歳〜)・ティーン(11歳〜)を対象にしたスキンケアを上市するなど、化粧品・美容市場は低年齢化の様相がうかがえます。日本でも2024年11月には「日本キッズコスメ協会」が設立されるなど、アメリカ同様に低年齢化を意識した動向もあるようです。
『はじめて』の化粧品体験は、本当に低年齢化しているのでしょうか。スマートフォンやSNSが浸透し、ECなどの購入チャネルも多様化する中、化粧品体験はどのように変化をしていくのでしょうか。本稿は前後編の構成とし、ティーン(11~19歳)の中でもローティーン(おおむね10~15歳、小学校4年生~中学校3年生の女性)に着目していきます。前編では18~34歳・女性の記憶を手がかりに、世代ごとの化粧品エントリーの傾向を整理します。後編では、ローティーン本人を対象とした調査結果から、現在進行形の実態を読み解いていきます。

化粧品デビューの入り口アイテム

まずは、現在の18-34歳が使用したアイテムが何か、スキンケア・メイクそれぞれについて年代別で確認していきます。

図表1

はじめて使ったスキンケア化粧品【複数回答】

はじめて【使った】スキンケアアイテムは、洗顔料がトップ、次いで化粧水となっており、この順位は現在18–19歳/20–24歳/25–29歳/30–34歳のどの年齢層でも同じになっています(図表1)。はじめて【使った】メイクアイテムは、現在18–19歳/20–24歳/25–29歳/30–34歳のいずれの層においても、「口紅・リップグロス」が最も高くなっています。年代を問わず、メイクデビューの入口はリップを中心としたポイントメイクであった様子がうかがえます(図表2)。スキンケアは、「洗顔料」「化粧水」から、メイクは「口紅・リップグロス」から、というのが定番の流れであるようです。

図表2

はじめて使ったメイク化粧品【複数回答】

スキンケアの定番アイテムである化粧水使用のきっかけをみてみると、「家族(親)に勧められたため/影響されたため」が約30%弱でもっとも多いきっかけとなっています(図表3左表)。きっかけを年齢別にみると、年齢が下がるにつれて「家族(親)に勧められたため/影響されたため」のスコアが高くなっており、年齢が若い層ほどスキンケアを始めるきっかけに親が積極的に関与していることがわかります。『スキンケアをしたほうがいいよ』『これを使ってみたら?』といったように、子供のスキンケアに対して親が働きかけている傾向は、近年強まっている可能性があります。
メイクの「口紅・リップグロス」使用のきっかけをみてみると、「美容や身だしなみに興味を持ったため」「メイクにあこがれたため」が上位となっており、メイクは“自己表現”や“意識の変化”を背景に使い始められるようです(図表3右表)。18–19歳、20–24歳の層では、メイクデビュー時に「口紅・リップグロス」を使用したという回答が他のアイテムと比較し特に高く、まずは取り入れやすいポイントメイクから始める姿が浮かびあがります。

図表3

はじめて使ったきっかけ(上位5項目)

使用デビュー年齢をみてみると、化粧水の使用デビューは、すべての年齢層で中学生のスコアが最も高くなっています(図表4左表)。注目したいのは、30–34歳層と比較すると、現在18–19歳層では「小学生高学年」以前に化粧水を使い始めたという回答が増えている点です。使用開始のタイミングは数年単位で前倒しになっており、スキンケアは特別な行為ではなく、“身だしなみ習慣の一部”として早期に組み込まれつつあると考えられます。
口紅・リップグロスの使用デビューは、各年代のボリュームゾーンが明確に変化しています(図表4右表)。現在18–19歳層では、「中学生」に口紅・リップグロスを使い始めた、という回答が32%で最も高く、20–24歳層、25-29歳層では「高校生」が27~28%、30–34歳層は“大学生/専門学生”が32%とこちらも、使用開始タイミングが前倒しになっている傾向が見て取れます。18~34歳・女性の体験・記憶から、スキンケア・メイクを問わず、化粧品の使用開始年齢は年々早まっていると言えそうです。

図表4

初めて化粧品使った年齢

スキンケアが親の関与を起点として比較的早期に導入されるのに対し、メイクは本人の意識変化や周囲・メディアからの影響によって自発的に始まる点が大きな違いと言えるでしょう。化粧品デビューの低年齢化が進む一方で、肌への影響や外見への価値観の形成について慎重に考える必要があるという声があることも、同時に留意しておきたいポイントです。

“使う”から“選ぶ”へ。「自分買い」の実態は

はじめて【使った】と比較し、より自分の意志や好みが反映される【買った】行動にはどのような傾向があるのでしょうか。
スキンケア化粧品でみると、どの年齢でもはじめて【使った】アイテムの上位である「洗顔料」「化粧水」が、自分で【買った】アイテムとしても上位にあがっています(図表5)。親のすすめで使い始めたアイテムを、“自分専用のもの”として選び直すプロセスが想像できます。年齢別にみると現在18–19歳層では、洗顔料・化粧水ともに「はじめて自分で購入した」アイテムとしてのスコアが、他の年齢層と比較して低くなっています。この点からも、低年齢層では、洗顔料・化粧水は、親が購入したものを使用している可能性が考えられます。ローティーンにとっては、洗顔料・化粧水といったアイテムは、家庭で親が用意する身だしなみアイテムとして、ボディソープやはみがきに近しい位置づけになってきているのかもしれません。

図表5

はじめて自分で購入したスキンケア化粧品

メイクアイテムでも、はじめて【使った】アイテムのトップである「口紅・リップグロス」が、18-19歳層、20–24歳層、25-29歳層で、自分で【買った】アイテムとしてもトップとなっています(図表6)。30-34歳層では、「口紅・リップグロス」と僅差で「ファンデーション」がトップとなっています。購入アイテムの傾向は、24歳以下の層と25歳以上の層で違いがみられています。24歳以下の層は、「口紅・リップグロス」に次いで、「アイシャドウ」とポイントメイクが続きますが、25歳以上の層は「ファンデーション」「化粧下地」といったベースメイクアイテムが上位となっています。購入デビューアイテムの違いには、年齢ごとにメイクへの意識が異なる可能性が考えられそうです。

図表6

はじめて自分で購入したメイク化粧品

スキンケア(化粧水)の『自分買い』のきっかけをみると、「美容や身だしなみに興味を持ったため」に次いで、「肌荒れが気になったため」「ニキビが気になったため」「乾燥が気になったため」が続きます。スキンケアの『自分買い』は、美容意識の高まりに加え、具体的な肌悩みへの“対処行動”として成熟していくことがうかがえます(図表7左表)。メイクアイテム(口紅・リップグロス)の購入のきっかけをみると、「美容や身だしなみに興味を持ったため」「メイクにあこがれたため」といった内的変化に加え、「知人・友人に勧められたため/影響されたため」「店頭で気になったため」「美容専門家やインフルエンサーが発信するSNSの情報を見て気になったため」「テレビ・雑誌などの情報を見て気になったため」といった外部情報が続きます(図表7右表)。メイクにおける『自分買い』は、メディア・リアル・店頭といった複数の接点が重なり合い、試す・選ぶ行動へとつながっていることが特徴的です。

図表7

はじめて化粧品を買ったきっかけ

はじめての『自分買い』の買い場をみると、スキンケア、メイクともに「ドラッグストア」が最も高く、身近なドラッグストアが化粧品購入デビューの主要な舞台となっています(図表8)。

図表8

はじめて化粧品を買った場所

「ドラッグストア」のスコアは、圧倒的なトップではあるものの、年齢が低くなるにつれて、下がる傾向もみられています。若年層ほど通販やバラエティショップ、均一ショップのスコアが高くなっており、スマートフォンでのSNS接触など、情報接触の幅広さが買い場の多様化にもつながっているようです。

まとめ 化粧品エントリーの実態は

本稿では、18~34歳の記憶を手がかりに、化粧品エントリーの実態とその変化を読み解いてきました。そこから見えてきたのは、単なる低年齢化ではなく、「誰が関与し、どのような意味づけで美容が生活に組み込まれていくのか」というプロセスの変化です。
スキンケアは親の働きかけを起点に、生活習慣・肌悩みへの対応として比較的早期に導入され、自分専用のアイテムを選ぶ行為へと発展していきます。一方、メイクは自己意識の高まりや周囲・メディアからの影響を受け、憧れや自己表現として取り入れられていきます。
化粧品へのエントリーは、そのエントリー年齢だけで語れるものではないようです。家族や社会、SNS等のメディアとの関係性の中で、どのように“美容との最初の接点”がつくられていくのでしょうか。
次回は、今まさにその只中にいるローティーン本人を対象とした調査を通じて、美容をどう捉え、どんな期待や戸惑い、悩みを抱いているのか、そのリアルを紐解いていきたいと考えています。


【調査概要】
調査方法:インテージ・マイティモニターに対するWeb調査
調査地域:日本全国
対象者条件:18~34歳・女性
標本サイズ:n=10,525(国政調査から算出した年齢別人口構成比に倣うようウエイトバック集計)
調査実施時期:2026年3月31日(火)~2026年4月2日(木)

著者プロフィール

牟田 朋未
株式会社インテージ リサーチマネージャー。
化粧品業界を担当するリサーチャーチームを率い、国内外のプロジェクトを統括。
カスタムリサーチの企画・分析を強みとし、生活者データを起点に市場や行動の変化を捉え、クライアント支援につなげている。
プライベートではローティーンの子どもを育てる2児の母。

株式会社インテージ リサーチマネージャー。
化粧品業界を担当するリサーチャーチームを率い、国内外のプロジェクトを統括。
カスタムリサーチの企画・分析を強みとし、生活者データを起点に市場や行動の変化を捉え、クライアント支援につなげている。
プライベートではローティーンの子どもを育てる2児の母。

著者プロフィール

川本 野々華
新卒にてインテージ入社後、国内を中心にカスタムリサーチ(定量調査/定性調査)を担当

マスブランド~高価格帯ブランドまで多様なブランド様を支援。化粧品業界担当としてリサーチャー経験を積んでいる。

新卒にてインテージ入社後、国内を中心にカスタムリサーチ(定量調査/定性調査)を担当

マスブランド~高価格帯ブランドまで多様なブランド様を支援。化粧品業界担当としてリサーチャー経験を積んでいる。

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