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食品多数の新トレンド 「2024年、売れたものランキング」

2024年も終わりに近づいています。今年はどのようなものが売れたのでしょうか。全国約6,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+®(全国小売店パネル調査)で、日用消費財の中で何が特に売れたのかを振り返ります。

1位靴クリーナーは前年1.5倍、2位パックは1.4倍

ポストコロナの中、物価高や猛暑が直撃した2024年の日本。その中で1位となったのは靴クリーナーでした(図表1)。

図表1

2024年の金額前年比・上位ランキング(1位~15位)

その中でもスニーカー用のシートタイプは、年初から売れていたものの暑さが厳しかった6月~9月は前年同月の2倍近くに迫るまで伸びています 。靴クリーナーは上半期首位のパックを抜いて153%となり、堂々の1位となりました。
2位に入ったパック(144%)は昨年15位から一気のジャンプアップ。大容量の商品などを中心に、韓国コスメの拡大、有名タレントによるブームけん引などもあり、コロナ前を大きく上回る販売金額となりました。両商品とも、新型コロナ発生後の2020年からの売れたものランキングで10位以内に入っていたことはなく、新たなトレンドとして躍進しました。

米が3位、15位以内の過半数が食品に

猛暑の記憶も色濃い今年。夏場に浮上した、もう1つの大きな社会トピックが米不足でした。スーパーの棚から米がなくなっていき、代わりにパックご飯が置かれる店も出る中、米の店頭価格も瞬く間に上昇していきました。その米が前年比130%で3位、10位にもパックご飯を中心とした米飯類(113%)がランクインしました。
特に米が足りないと報道機関などで繰り返し報じられ、新米が出回る直前だった8月には、騒動とともに販売金額もピークとなり、前年同月比で172%まで上昇しました(図表2)。また店頭の米の商品数の推移をみると、近畿や首都圏などを中心に前年の半分程度まで落ち込み、価格も上昇すると以前の価格にはもどらない状態が続いています。

令和の米騒動と言われる動きの横で、食品を中心に値上げが続いたのも今年の特徴でした。その結果もあり、上位15位までに6商品が入っています。

図表2

食品の金額前年比の推移(2024年1-10月)

6位の玩具メーカー菓子(117%)は人気テレビアニメやゲームなどの関連商品がけん引しています。9位の冷凍水産(113%)はプライベートブランドの伸長が目立ちます。12位のキャンディ(113%)もグミの好調に加え、感染症関連でのど飴なども売れました。また飲料も、高騰したトマトの代替需要もあった4位のトマトジュース(125%)、無糖や甘さ控えめを訴求するヒット商品などもあって伸びた8位・炭酸飲料(113%)の2商品が入りました。インバウンド需要も堅調で、5位・強心剤(118%)、7位・リップクリーム(116%)などは訪日客の支持もプラスされ、販売金額を伸ばしました。

食品が16位~30位にも多数ランクイン 。例年にない動きの理由は

この食品の上位進出の動きは16位以下の順にも色濃く表れています。19位・パウチ入り食材(111%)はツナなど缶入りタイプのものから移行したものが好調。20位・煮干し(111%)は値上げの影響が大きく、23位のもずく・めかぶ(110%)は猛暑がプラスに作用していたようです。25位の冷凍農産(109%)は気候の厳しさが野菜の生産に直撃する中、割安感もあり求められました。日用雑貨では洗剤系が15位・中性洗剤を筆頭に16位以降も複数ランクインしていて、値上げの影響も色濃い中、洗濯用洗剤で使用が簡易など付加価値型ともいえる商品 が人気を集めるなどの動きもありました。

図表3

2024年の金額前年比・上位ランキング(16位~30位)

2020年以降の売れ筋変遷を振り返る

コロナ禍以降、毎年のように売れたものの傾向は大きく変わってきました。その変遷を見てみましょう。コロナ1年目の2020年はマスクなどの衛生系商品が爆発的に売れましたが、2021年になると巣ごもり需要もあり「1位・オートミール、2位・麦芽飲料」と健康訴求した食品などが上位に。2022年になると「1位・検査薬、2位・オートミール、3位・鎮暈剤(酔い止めなど)」と、コロナ対策から旅行に使う乗り物酔い止めまでWithコロナとも言うべき多様な商品が入り、さらに昨年はインバウンド需要の復活で「1位・強心剤」やマスク要件の緩和などで「2位・口紅」などが上位に入りました。

図表4

2021年・2022年・2023年の売れたものランキング

販売苦戦ランキング、コロナ禍に伸びたものが一転

最後に、今年販売苦戦したランキングも見てみましょう(図表5)。1位・検査薬(52%)、2位・マスク(75%)、3位・オートミール(79%)など、コロナ禍に大きく販売金額を伸ばしたものが上位に入っています。11位・プロテイン粉末(93%)なども同様ですが、これらの商品はコロナ前の2019年に比べると販売金額は大きく上回っている状態です。一方で生活様式の変化などで販売金額の減少が続いている商品もあります。

図表5

2024年の金額前年比・下位ランキング

記録的な猛暑や来年も続きそうな値上げなどの国内要因に加え、海外情勢の変化など、人々の生活や行動に大きな影響を与える事象は、今後も継続的に起こることが予想されます。その結果、どのような影響が出ているかを広く多くの人に知らせるためにも、インテージでは今後も「売れたものランキング」を発表していく予定です。

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【SRI+®(全国小売店パネル調査)】 
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 一部業態

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